担い手コンサルコンペティション開く 優良5事例を表彰・発表 農林中金2026年2月19日
農林中金は2月18日、東京都千代田区のJAビルで「担い手コンサルコンペティション」の発表会と表彰式を開いた。優良事例として5県域の発表者23人が参加したほか、オンラインでは全国の約210人が視聴した。
担い手コンサルコンペティションの様子
同コンペは各県域から優良事例の推薦を受け、担い手コンサルを実施している農林中金・信連・JAが投票を行い、上位事例を選定するもの。選定基準は「農業所得の向上」「担い手の経営方針または事業内容の変革に大きな影響を与えた案件」としている。
農林中金の尾崎太郎専務
冒頭、農林中金の尾崎太郎専務は「2021年度に開始した担い手コンサルティングの実施件数は、2024年度までの累計で節目となる1000件を達成し、今年度も300件を超えるなど着実に実績を積み重ねている。農業の持続的発展に貢献するため、JAグループが一体となって連携を図り、施策を一層推進したい」とあいさつした。
優良事例として、農林中金青森支店(青森県)、JA庄内たがわ(山形県)、JAながの(長野県)、JA金沢市(石川県)、JAみなみ筑後(福岡県)の5県域の代表者が、尾崎専務から表彰状を授与された。
優良事例の県域代表を表彰
肉用牛肥育農業法人への経営管理高度化:農林中金青森支店
支援した肉用肥育農業法人は約1万2000頭を肥育する、県内最大級の規模で投資意欲も大きい。また、ホルスタインから和牛への切り替えを進めていたが、体制上の問題から、経営実態を把握しきれておらず、円滑な資金調達の阻害要因になっていた。そこで、経営管理高度化と取引金融機関への説明力を向上し、与信対応に有益な判断材料を提供した。
財務面では、畜種切り替えに伴う長期運転資金5億円の融資を実行。経営の可視化では、動態・資金繰り表作成、複数の取引先全金融機関に対する実績検討会の開催などを支援した。また、飼料費高騰に対しては、「アミノ酸バランス改善飼料」を提案し、温室効果ガス削減によるJ-クレジットを創出。効率化データベースシステムの導入による伝票作業の省力化なども進めている。
水稲農家を収支改善し次世代も育成:JA庄内たがわ
水稲中心の農家を支援した。農事組合法人から株式会社に組織変更し、水稲と大豆を生産しているほか、ほ場も貸し出している。担い手の経営者は若く、将来を地域農業の将来を担う存在。しかし、高温障害の影響や賃金負担などで、設備投資を賄う営業キャッシュフローを捻出できず、借入金で賄っていた。財務分析とヒヤリングを実施し、課題として、①販売単価の向上②収量の増加③次世代の育成を提示した。
販売単価では、販売先別数量・単価を可視化。収量の増加では、「ザルビオフィールドマネージャー」(BASFジャパン)などJAグループが提供するサービスを紹介し、改善を支援した。また、次世代の育成では、山形県農業会議やアグリフューチャージャパンのセミナーを紹介した。事後フォローとして、同JAの米の複数年契約を提案し、契約の締結に至った。
所得向上で水稲農家の系統出荷を回復:JAながの
高齢化が進むなかで、農地引き受けの重要な担い手と位置付ける水稲の個人農家に対して支援を行った。この農家では、高温障害の影響もあり、一部品種の収量低下が収支悪化の要因となっていた。そこで、品種構成の見直し提案などで所得向上につなげ、商系集荷から系統出荷に戻り、JAの取引回復・拡大につなげた。
品種ごとの収支分析で赤字品種を特定し、「風さやか」「あきたこまち」を高温耐性品種「にじのきらめき」に切り替えた。また、ほ場が広範囲に点在し、水管理が行き届いていなかった。そこで、同JA独自の助成金を活用し、設備投資として水管理システム「farmo」を導入、作業の省力化・効率化に貢献した。「アグリノート」によるほ場の可視化なども進めている。
農地集積を進める水稲農家の経営合理化を支援:JA金沢市
支援先は、主に水稲を生産する法人で、2020年に事業承継で現代表が就任。地域の担い手として期待が高く、大規模な農地集積も進んでいる。財務は健全で高い生産技術を持つ一方、人員は家族と臨時雇いで人員が不足。労働力不足を補う仕組みや、コスト管理など経営管理の高度化が課題だった。また、味噌の販売も行っているが、売り上げは減少しており、テコ入れが必要だった。
支援策としては、農林事務所の営農支援システム「アグリルック」を活用した「ゆめみずほ」の追肥により収量を改善し、収益が高い品種を踏まえた作付計画も検討。人員は農福連携やJAの無料職業相談所を活用し、繁忙期の短期アルバイトや正社員も募集した。経営合理化では、 規模拡大に向けたシミュレーション、不要な農機具の整理を検討している。
果樹農家の規模拡大を適正化:JAみなみ筑後
対象は、みかんとキウイフルーツを生産する管内唯一のかんきつ法人。経営者は40代と若く、地域の中核的な存在で、規模拡大による収支改善を進めている。財務分析により、利益剰余金の変動が大きく、利益率の改善により安定した収益確保が必要なこと。また、短期的支払能力は高いが、規模拡大に対応した経営管理帳による資金繰りの管理が必要なことが分かった。
そこで、「マネーフォワード」を活用した資金繰り表を作成し、月次の収支を管理して従業員とも共有。みかんとキウイフルーツの作業マニュアルを導入し、労働時間の短縮化などコストの見直しも進めた。収支シミュレーションには、家族のライフプランも盛り込んだ。ライフプランでは、子息の3人の教育費のピークなどへの所要資金手当も明確化した。
講評
優良事例に対する講評では、JA全農耕種総合対策部の鈴木富隆部長は、「いずれの発表も担い手課題で多いものに親身に対応された」と述べた。農中総研リサーチ&ソリューション第2部の長谷川晃生部長は、「担い手支援は、人手不足や高齢化といった現象への対応から一歩踏み込む必要がある」と指摘。具体的には、①経営の可視化②懸念点を特定し納得感がある提案③規模の違いや拡大への意向を踏まえた持続可能性、の3点を指摘した。
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