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栄養サミット「光と影」 酪農乳業界参加かなわず【記者 透視眼】2021年12月7日

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12月7日開催の「東京栄養サミット2021」は栄養と絡め飢餓問題を論議する。「栄養」で貢献する酪農・乳業界は国内外に実績をアピールの機会ととらえた。だが、実際には一連の会議に正式参加できず、サミットへの期待がしぼんでいるのが実態だ。

■夏季五輪と並行開催

首脳級が一堂に会す国際サミット中でも、あまりなじみがない「栄養サミット」。4年に一度、夏季五輪と並行して開催国で行う。英国政府の提案で2012年のロンドン五輪から始まった。国連の持続可能な開発目標であるSDGsと連動し、9月にニューヨークで開催した国連食料システムサミットとも関連する国際会議だ。特に2030年までのSDGs17目標の2番目「飢餓ゼロに」と深く関係する。

五輪は、世界のアスリートが国家、宗教、思想・信条の違いを超えて一堂に会す平和の祭典だ。「栄養サミット」は同じ開催年に、スポーツと裏表の関係にある「栄養」に焦点を当て、世界各国の関係者が集うものだ。「栄養」の視点は、先進国と途上国との格差、食料問題などとの密接に関連する。気候変動とも連動し、地球規模で議論するにはそれなりの意義がある。

■コロナ禍の飢餓問う

先週3日の会見で松野博一官房長官は、7、8両日に政府主催で「東京栄養サミット」を開催すると正式に発表した。岸田文雄首相や林芳正外相らが出席。海外からはオンラインで参加する。

今回の「栄養サミット」は、これまでとは様相が全く違う。

新型コロナウイルス感染拡大の中での開催となる。コロナ禍で飢餓問題は深刻となり、栄養不良人口は増えている。いわゆる経済的な「格差」拡大は、栄養問題の重要さを裏付ける。松野官房長官は「新型コロナで世界的な栄養状況は一層悪化している」と課題を指摘。「サミットでは、各国政府や国際機関らが課題解決に向けて議論する」と説明した。

外務省などによると、コロナ禍で食料サプライチェーン(供給網)が寸断され、2020年には飢餓人口は8億人以上となったと推計される。これは19年に比べ1億6000万人以上増えた計算だ。

■岸田首相20億ドル資金援助表明へ

サミットで岸田首相は、世界の栄養不良、飢餓対策で途上国に20億ドル余の資金援助を表明する見込みだ。

日本など先進国が直面する生活習慣病の「過栄養」も初めて取り上げる。成果文書は「東京栄養宣言」として取りまとめる。

栄養面で日本は、特に栄養士会や学校給食プログラムで主導的な立場にある。日本栄養士会は「ニッポンの栄養100年を、世界へ」を掲げ、サミット期間中にシンポジウムなどを行う。

■農水省は「みどり戦略」PR

「栄養サミット」が先の国連食料システムサミットと連動していることから、農水省ではサミット期間中に、持続可能な「健康と食事」「食料システム」構築をテーマにサイドイベントを開く。この中では持続可能な食料生産の展開として農水省が主導する「みどりの食料供給システム」などを取り上げ、日本の環境調和、脱炭素への農業の道筋を説明する。

■国内農業団体は不参加

「栄養サミット」は、こうした極めて重要な位置づけ、コロナ禍での今日的な農業、食料問題に直結するにもかかわらず、気候変動に比べ関心は高くないのが実態だ。

JA全農、農林中金など農業団体も組織的な正式参加はない。「栄養」ということから所管が厚生労働省、外務省で、国際機関は世界保健機関(WHO)ということが大きい。農水省も国連食料システムサミットなどの関連で関わるが、サイドイベント主催だ。農水省の担当も大臣官房新事業・食品産業部企画グループで、省を挙げた態勢とは言えない。

■Jミルク「門前払い」

コロナ禍で飢餓問題を国際規模で話し合うこと自体は時宜にかなう。東京での「栄養サミット」に照準を合わせ、準備を重ねてきたのは酪農乳業界だ。

良質タンパク質である牛乳・乳製品は栄養食品の象徴でもあり、「栄養」問題が盛り上がるサミットを前後して国内の酪農乳業の社会的役割、存在感を示す機会ととらえた。先の企業中間決算で、業界最大手・明治HDの川村和夫社長は、「東京栄養サミット」への期待を問われ「栄養とも深く関わる食品メーカーとして、どういったことができるか注目している」と応じた。現在、業界は生乳需給問題に直面し、サミットを機に「栄養」から国産牛乳・乳製品の良さをアピールすれば、需要拡大につながる効果も期待できた。

だが、実態は違った。生処販で構成するJミルクは、関係機関として正式なサミット参加を求めたが、事実上の「門前払い」となる。「栄養サミット」を主導するのは、国際機関の中でもWHO。農業、食料問題を所管し飢餓問題、栄養不良人口削減を目指し、1996年からローマで世界食料サミットを開催してきた国連食糧農業機関(FAO)も関連するが、あくまでWHO主体となる。ここで、Jミルクの期待が外れる。酪農乳業界は、「栄養」、特に幼児対象には粉ミルクで対応する。だが、「WHOは母乳中心の考え方。粉ミルク、代用乳のセクターとは相容れなかった」とJミルクは見る。

■独自に持続可能な食セミナー

「栄養サミット」メンバーから外れたとはいえ、酪農乳業界は「栄養」面で大きな役割を果たしているのは間違いない。

Jミルクは11月30日、「日本の持続可能で健康な食を考える」をテーマにウェブ会議を開いた。7日からの「栄養サミット」を踏まえ、医学、栄養学、食料安全保障、乳資源研究などの専門家や研究報告、問題提起、デスカッションなど多彩で重層的な催しだ。むろん、同会議でも前段で厚労省などから「栄養サミット」を説明したが、あくまで紹介に過ぎない。

大手乳業には「栄養」を意味する「ニュートリション」の専門部署があり、新商品開発、販売促進の柱の一つ。今回の「栄養サミット」でも内外にアピールする狙いが「空振り」となった。次回サミットは3年後のパリ五輪の時だ。「栄養」は農業・食料と表裏一体の関係にあるだけに、同サミットの今後の在り方を議論する必要がある。

(K)

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【記者 透視眼】

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