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嗚呼、植民地エレジー【小松泰信・地方の眼力】2021年12月8日

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11月30日に青森空港に緊急着陸し、駐機したままとなっていた米軍のF16戦闘機は、5日午後3時半ごろ青森空港を離陸し、三沢基地に帰還した。

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この空は誰のもの

エンジンに不具合が生じたため、30日午後6時頃、二つの燃料タンクを投棄した後の緊急着陸。
最初に発見されたタンクは、あろうことか、青森県深浦町の町役場に近い町の中心部。最寄りの住宅までわずか20メートルほどのところ。2日に発見されたもう一つは、最初のタンク発見場所から約900メートル離れた雑木林の中。まさに重大事案。
青森放送(12月1日12時57分配信)は、関係者から上がる不安や憤りの声を伝えている。
「本当平和な町にこんな大きなことが起きるというその恐怖におびえていなきゃいけない」(深浦町民)
「安全管理をきっちりとしていただくということはきつく申し上げたいと思います」(深浦町長)
「大変遺憾なことであり三沢の米空軍に対しても防衛省に対しても厳重に抗議しようと思っていますけども詳細を承ってから行動を起こしたいと思っています」(青森県知事)
今回のトラブルのあと、安全対策の説明もなくF16戦闘機の飛行が再開された。
日本国憲法の上位に位置づけられる日米地位協定がある限り、植民地の空は宗主国アメリカのもの。

デジタル植民地、ニッポン

日本農業新聞(12月7日付)に、「新型コロナウイルス禍がもたらした最大の変化は、デジタル化の急速な進展である」ではじまる柴山桂太氏(京都大大学院准教授)の論考が掲載されている。デジタル関連需要の供給大手のほとんどが米国企業であることから、「GAFAやビッグ・テックと呼ばれる新興企業が、今や日本人の生活の命綱を握っている」とする。「以前、米国企業の情報技術の背後には、米国政府の諜報(ちょうほう)網があるとエドワード・スノーデンが告発したにもかかわらず」「米国企業が行政や学校のサービスを一手に担っている現状には誰も文句ひとつ言わない」と嘆く。
そして「公官庁まで米国企業にシステムのクラウド化を依存している日本は、今や立派なデジタル植民地」と喝破し、「深刻なのは、日本人にその問題意識がないということ」と指弾する。

前のめりのデジタル信仰

植民地のトップである岸田文雄氏は、6日に招集された臨時国会で所信表明演説を行った。
「新型コロナによる危機を乗り越えた先に私が目指すのは、『新しい資本主義』の実現」であることを強調した。「新自由主義的な考えは、世界経済の成長の原動力となった半面、多くの弊害も生みました」と述べ、成長も、分配も実現する「新しい資本主義」を具体化することを宣明した。
その「新しい資本主義」の下での成長戦略のひとつにあげられているのが、「デジタル田園都市国家構想」。その項は「新しい資本主義の主役は地方です」で始まる。
「4.4兆円を投入し地域が抱える、人口減少、高齢化、産業空洞化などの課題を、デジタルの力を活用することによって解決していきます」と意気込む。海底ケーブルで日本を周回する「デジタル田園都市スーパーハイウエー」を3年程度で完成させ、そのデジタル基盤上で、自動配送、ドローン宅配、遠隔医療、教育、防災、リモートワーク、スマート農業などのサービスを実装していくそうだ。ここまで来れば、デジタル信仰そのもの。
明らかに、前のめりで「デジタル植民地」への道を突進している。つまずき、転倒し、致命傷を負わぬことを願うのみ。

デジタルにも絡む政商竹中

『デジタル・ファシズム 日本の資産と主権が消える』(NHK出版)の著者堤未果(つつみ・みか)氏は、「サンデー毎日」(12月19日号)で、次のようにインタビューに答えている。
「便利なサービスと引き換えに、私たちはさまざまな形でビッグテック(世界で支配的影響力を持つIT企業群の通称)に動かされています。消費行動を誘導され、行動履歴や購入履歴を見られ、米国のように選挙の時の投票行動にまで介入される。個人情報は知らぬ間に売買され、常に日常生活は監視されている」と注意を喚起する。
「このまま拙速にデジタル化を進めれば、本来一番に守るべき自国民が守られないまま、政府のお友達企業の利益優先がデジタルで国民から見えなくなるという、ますます歪んだシステムになってしまう。さらに、そんな日本のデジタル化にうまく入り込み、私たちの個人情報を吸い上げようとしているのが米中なのです。だからこそ、私たちは、立ち止まって世界の事例を見ながら慎重に議論しなければなりません」と、ブレーキを踏む。
そして、「岸田政権の『デジタル田園都市国家構想実現会議』のメンバーには、これまで新自由主義の旗振り役をしてきた竹中平蔵・慶應義塾大学名誉教授の名前が入っています。(中略)この人事が今後の岸田政権の方向性をよく表していると思います」と核心を突き、「焦って良いことはありません。むしろ周回遅れを〝強み〟にするくらいに開き直って、効率より一つ一つのプロセスを大事にしながら、丁寧に設計していってほしい」と訴える。

秋丸機関の教え

80年前の今日(12月8日)、わが国は対英米戦争に突入した。今朝のNHK「おはよう日本」は、1939年、陸軍上層部の指示により設けられた秘密の調査機関「陸軍省戦争経済研究班(通称、秋丸機関)」がわが国を代表する経済学者を結集させ、戦争経済という視点から詳細な調査をおこなっていたことを報じた。調査からは、日本と英米との間には経済的な戦力に圧倒的な格差があることが明らかとなったものの、指導者たちは正しい情報を生かすことなく、無謀ともいえる戦争を選択した。
「既に開戦不可避と考えている軍部にとっては都合の悪い結論であり、消極的和平論には耳を貸す様子もなく、大勢は無謀な戦争へと傾斜した」と、研究班を率いた秋丸次朗氏(あきまる・じろう、陸軍主計中佐)は、手記に残している。
学者らが客観的に出した結論を受け入れず、勝手な楽観論で無謀な戦争へと突き進んだ軍部の罪は計り知れなく大きい。
この秋丸機関をめぐる秘話が昔話ではないことを、学術会議の任命拒否問題が証明している。植民地、後退すれども進歩せず。
「地方の眼力」なめんなよ


本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

小松泰信氏のコラム【地方の眼力】

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