世界を分断する三重苦 伊藤澄一 JCA客員研究員【リレー談話室】2022年6月8日
戦争よりも恐ろしいのが疫病であることは歴史の教えるところである。その事例は枚挙にいとまがない。しかし、核戦争と地球の温暖化は疫病よりも恐ろしい事態かもしれない。世界は今まさに核戦争と温暖化そしてコロナ災禍の三重苦に直面し分断されている。
コロナ禍の今後
100年前のスペイン風邪による死者数は5000万人を超えるともいわれる。第一次世界大戦中のアメリカ軍基地で発症して、軍隊が世界に感染を拡大させた。日本でも約40万人が犠牲となった。現下のコロナ禍は、世界での感染者数が6月7日現在で5.3億人を超えた。死者数も630万人に達し、疫病では人類史の第7位となった。因みに、スペイン風邪は第3位。そのほかはペストの5回と天然痘とエイズが10位以内に入る。
日本でのコロナ禍の第6波は収束しつつあると報道され、経済のアクセルが踏み込まれている。1月半ばから始まった第6波は、2月中旬から3月中旬までの長い期間をピークとして、緩やかな下降を見せている。しかし、第6波だけで710万人の感染者と1.2万人の死者をだした(5月末)。それまでのコロナ禍29カ月のトータルは感染者数が883万人、死者数は3.06万人であるから、第6波の規模は非常に大きい。
では、第7波はどのような波になるのか。終息は考えにくいので、第6波より小さい収束波か、大きい拡大波かということになる。気になるのは、第4波のアルファ株、第5波のデルタ株、第6波のオミクロン株(BA1→BA2)の次にくる第7波で、重症化リスクが高い変異株が出てくるかどうかである。日本はマスク着用と手洗い、何らかのファクターX、そして高齢者のワクチン接種効果で先進国のなかでも死者数を抑えてきた。対100万人の死者数(6月6日)を見ると、アメリカ3010人、イギリス2610人、ロシア2550人、フランス2310人、ドイツ1660人、ブラジル3100人、韓国473人、中国4人に対して、日本は245人となった。医療体制(在宅療養)、保健所機能(限界)、PCR検査(みなし陽性)などの医療インフラは崩れたままなのに、である。コロナ禍で、国は国民を守らない(守れない)ことがわかっただけに、第7波にどう備えるのか知りたいところだ。
人間責任による複合災禍
ウクライナ戦争では、プーチン大統領がウクライナ侵攻の際に「国の存亡の危機には核の先制使用を排除しない」と示唆したことで、全世界を恐懼させた。プーチン氏は2018年3月のTV番組でインタビューに答えて、「核攻撃があれば世界は終わる」との認識のもとに「ロシアの存在しない世界など無用ではないか」、「核攻撃されたら、世界が終ろうとも必ず核で反撃する」と国内向けに発言している。このことで、NATO(北大西洋条約機構。欧米30カ国の軍事同盟)や日本など世界各国で軍備増強の動きがでている。確かに、疫病よりも怖いのが核戦争のもたらす結末だろう。わからないのは、だから核廃絶、核軍縮へと事態を進めようとするのではなく、核を含む軍拡競争になっていることである。日本でもウクライナ戦争の悲劇を横目に不見識な核共有論がでているほどだ。
この度の戦争は人の犠牲ばかりでなく、すさまじい環境破壊とCO2などの有毒ガスを排出し続けている。温暖化が一気に進んでしまう状況だ。地球の温暖化責任は100%人間にあると断定したのが、昨年8月の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の「第6次評価報告書」であった。コロナ禍も人間の行動に起因するので、今や地球は人間による核戦争と温暖化とコロナ禍という三重苦の危機に瀕していることになる。ウクライナ戦争は100日を過ぎて、激しい戦闘が続いている。核使用の示唆でアメリカやNATOの軍隊派遣を抑えたロシアだが、ウクライナは欧米からの情報や最新兵器の大量支援でロシアと闘っている。「核の先制使用=NATO軍隊の派遣」の手前での暫定的で不安定なバランスは、プーチン氏とバイデン氏の二人が導いた紙一重の核抑止で折り合っている。
日本での第7波や世界のコロナ禍では同じことが繰り返されるのか。ウクライナ戦争さらには温暖化阻止に向けたCOP27の11月開催の行方など、世界の三重苦は続く。
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