【JCA週報】職員数削減の先の将来展望を(古賀成祐)2022年6月13日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長 中家徹JA全中代表理事会長、副会長 土屋敏夫日本生協連代表会長)が、各都道府県での協同組合間連携の事例や連携・SDGsの勉強会などの内容、そして協同組合研究誌「にじ」に掲載された内容紹介や抜粋などの情報を、協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、「にじ」2006年秋号に当時の協同組合経営研究所の理事長であった古賀成祐氏が執筆された「職員数削減の先の将来展望を」です。
職員数削減の先の将来展望を 財団法人協同組合経営研究所 古賀成祐理事長
4月(2006年当時)から当研究所の理事長に就任いたしました。「JA総合研究所」との兼務で非常勤ですが、皆様のご指導・ご鞭捷を賜り一生懸命努めさせていただきますので宜しくお願いいたします。
近頃、JAの現場を訪れるたびに強く感じるようになってきたのは、「職場が暗いな一」、「活気がないな一」ということです。このように感じるのは、私だけでしょうか。
今JAの全国的な経営状況を俯瞰してみますと、事業取扱高は、貯金を除きおしなべて減少し続けています。また、事業総利益も、この数年ほぼ毎年減少を続けています。このような中で、事業管理費特に人件費がそれ以上に減少することによって剰余金が生み出されている状態が続いています。そして、その人件費の減少は、職員数の減少によってもたらされているのです。要するに、職員数を削減して利益を捻出していることになります。
このようなことは、数年前の一般企業でも行なわれてきました。不況を乗り切るために、3つの過剰つまり「従業員の過剰」、「設備の過剰」、「不良債権の過剰」を大胆なリストラで乗り切ってきたのです。そして今や、大企業を中心に史上最高の利益を更新し続けています。
JAも同じように、JA全国大会で「JA改革の断行」を決議し、体質の強化に努めてきました。それが職員数の削減に現れているのでしょうか。しかしながら、職員数を削減して利益を出すやり方はそろそろ限界にきているように思います。
あと数年で、いわゆる団塊の世代が定年退職してしまいます。そうすると、むしろ労働者の不足の時代がくることは間違いありません。職員数の削減が、一人当たりの仕事量や時間外労働の増加を招いたり、職場風土の荒廃やダブルチェックの省略から不祥事の多発になって現れてきているように思います。
事業取扱高が減少するなかで、今後も経営の帯を結ぶためには職員数の削減も致し方ないのかもしれません。ただ、何故職員数の削減が必要か、組合員サービスのレベルをどのように確保するか、どのようにして少数精鋭化するか、職員数削減の先にどのような将来展望が開けるのかなどを明確に示す必要があります。
それが役員の務めですし、そのことによって職場が明るく、活気が出てくるのだと思います。
財団法人 協同組合経営研究所 協同組合経営研究誌「にじ」2006年秋号 No.615のオピニオンより
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