大谷野球-花開いた二刀流 伊藤澄一 日本協同組合連携機構(JCA)客員研究員【リレー談話室】2022年10月25日
大谷翔平は10月6日(日本時間)に今季最終戦を二刀流で飾った。5回を投げて被安打1、奪三振6、失点1の力投も9敗目を喫した。エンゼルスでの投手大谷を象徴するゲームだった。
■ 大谷の記録が語るもの
最終戦で大谷は投手の規定投球回数162を超え、打者の規定打席数とともにダブルの規定に到達した。例えていえば、二人の一流選手がひとりの人格として実在したのである。先発投手が降板後も指名打者で継続出場できる大谷ルールがそれを可能とした。15勝&34本塁打が二刀流を象徴する記録なのだが、相手打者の砕けたバットの急襲や度重なる自打球の痛みを超えての「二刀流の開花」であった。日々の大谷のプレーににじみ出る人格とともにその強靭な体躯の維持をこそ讃えたい。NHK・BS放送の後半では高齢女性の方からのメッセージが増えた。日常の時間の過ごし方が、放送時間に合わせて変ってしまう。大谷と過ごす時間が優先されるのだという。
記録の詳細をみてみよう。
●投手...先発登板数28、投球回数166(20位)、15勝9敗(4位)、防御率2.33(4位)、奪三振数219(3位)、奪三振率11.87(1位)、与死球2、与四球44、援護点4.28(19位)、平均球速97.3マイル(2位)など。
●打者...試合数157、666打席、586打数160安打・打率0.273(25位)、本塁打34本(4位)、打点95(7位)、得点90(8位)、三塁打6(4位)、二塁打30(25位)、四球72(7位)、申告敬遠14(3位)、三振161(5位)、長打率0.519(5位)、1塁到達時間4.09秒(5位)、最高打球速度119.1時速マイル(2位)、盗塁11(31位)、OPS[出塁率+長打率] 0.875(5位)など。この1年の大谷の投打の活躍がわかる。
大谷の記録で注目されるのは、投手として与死四球数が少なく、死球で打者を傷つけないコントロールの良さがある。9イニング換算での奪三振数は1位で防御率もいいが、味方の援護点は少ない。トラウト、レンドンなど主力打者の不在もあって、逆境を自らの力で切り開いたことを数値が物語る。そのような日々、大谷の魅力は動きのスピード感にあった。投げるボールの速さ、飛ばす打球の速さ、塁間を走る速さは、大リーグ随一である。大谷の記録は「ベストを尽くす」ことから生じている。
■ MVP論争を超えて
アメリカンリーグのMVPは、ヤンキースのアーロン・ジャッジと大谷の対決で話題となっている。惜しくも3冠王を逃したジャッジだが、62本塁打を放ち61年ぶりのリーグ新記録を達成した。打者として打率を除く各部門でトップを占める。彼の人柄とともにOPSの1.111(1位)は素晴らしい。だが、この二人を比較する基準はない。大谷は昨年のオールスター前のホームラン競争以降厳しいマークもあって、本塁打は昨年の46本から34本に減ったが、投手では9勝から15勝に増えた。
MVP論議では、投手経験者は大谷を推す人が多い。打者部門の派手な攻撃力と投手部門の地味な守勢のイメージが、比較では投手部門には不利なのだという。彼らは投手大谷が打者としても活躍していることが信じがたいと指摘する。大谷はア・リーグというより大リーグ全体で論ずべき活躍をしているのだという。ジャッジの価値は、62本塁打にあるが、大谷の二刀流の記録は実に複雑で多様で神秘に満ちている。比較する目安・経験値がないから、すっきりとした結論にたどりつくことはあるまい。ここにきて、ポストシーズンで完敗したヤンキースの主砲ジャッジの不振もあって、さらに混迷するだろう。このような破格の事態が来年以降も続く可能性がある現実を、どのように受けとめればいいのか。大谷とジャッジの切磋琢磨によるア・リーグ史上最強のMVPを決めても、今後、経過する時間のなかで論評され続けることになろう。
それより何より、両リーグ30チームのうち、12チームが競ってワールドチャンピオンを決するポストシーズンに、大谷翔平の姿がないのは残念としか言いようがない。
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