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飼料用米は遺伝子組み換えイネも選択肢なのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2022年12月20日

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農水省の試算によると2040年には主食用米の作付面積96万haに対して主食用米以外の面積が107万haになり、その比率が逆転するそうである。一般社団法人日本飼料用米振興協会は政策提言として現在の飼料用米生産量目標70万tを280万tに大幅に引き上げるように求めているが、農水省の試算を見る限りそのぐらい飼料用米を作らないと水田は維持できないことになる。ただ、それだけの飼料用米を生産するのにいくら財政負担すればよいのかという記述はない。

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飼料用米の生産コストについては日本再興戦略2015において2025年までに60㎏当たり7,615円という目標が掲げられている。どうやって低コスト生産を実現するのかについて例として①多収の実現(生産コスト16%~19%減)・多収品種の導入・適正な肥培管理②産業界の努力も反映した生産資材の低減・未利用資源の活用(肥料価格7%減)②海外向けモデルの国内展開(農機価格20%~30%減)③大規模経営に適した省力栽培技術・品種の開発・導入・直播栽培(労働時間25%減)・ICTを活用した作業管理などがあげられている。

多収品種の導入については、2024年産から一般品種は標準単価を5000円引き下げて10a当たり7万5000円に、25年産は7万円、26年産は6万5000円に段階的に引き下げて多収品種への転換を促す措置をとる。2022年産の飼料用米作付面積は14万2055haまで拡大したが、このうち多収穫米の作付面積は5万2059haで37%にとどまっている。このため来年から飼料用専用品種等多収穫品種を作付けしようと思ってもタネがないということで一般品種の減額措置は再来年からになった。もう一つは多収穫品種を作付けしても単位面積当たりの収穫量が増えているのかというとそうはなっていない。その原因が何なのかということを「深堀り」しないと、多収品種を作付けしても生産量は増えないということになりかねない。

とくに不思議なのが23年産米から飼料用米の収量を篩い上で計算するという措置だ。これは23年産米から1.7ミリ上だけを助成対象にするという措置だが、農水省に言わせると統計上の玄米重の収量はライスグレーダーの網目1・7ミリ以上で計算しており、これに合わせると言うのだが、餌になるものをわざわざ篩わなくてはいけないという理屈がわからない。いわゆるくず米、青未熟粒はGABを多く含んでおり、これを健康食品として商品化した通販会社もいたぐらいなのでこうしたものを除いてしまえば栄養価が劣る餌米になってしまうのではないか。それどころかスーパーで売られているブレンド米の中には明らかにくず米を精米にしたものが売られており、このままでは人間がくず米を食べて家畜がちゃんとしたコメを食べるという図式がより強まりかねない。

飼料用米を生産している生産者は大規模農家が多いが、そうした大規模農家からも「飼料用米の生産はモチベーションを下げる」、「飼料用米は(経営上)やらざるを得ないが、新米を人間ではなく家畜が食べるという状況では正直やりたくない」と言った声も聞かれる。極めつけは「今から遺伝子組み換えイネを準備しておかないと増産したくてもできない」という意見があったこと。

これは16日に東京で開催された「いよいよ日本でも遺伝子組み換え作物の出番か」~食料安全保障のあり方を考える生産者の本音のトーク~のセミナーで、参加者との質疑応答のなかで、千葉県で120haでコメ作りをしている大規模農家が発言したもの。セミナーではフィリピンで遺伝子組み換えイネ「ゴールデンライス」の商業栽培が開始され、現地での模様を紹介した映画が上映され、その後、大規模稲作農家、貧困問題や環境問題の解決策としてフェアトレードや地域支援型農業に関心を持つ女性起業家、GM普及に取り組んできた研究者が登壇して「食料安全保障とGM作物の関係を考える」をテーマにパネルディスカッションが行われた。その中で海外から輸入される飼料穀物の多くは遺伝子組み換え(GM)作物で、このことについては大きな反対運動は起きていないので、飼料用米であればGMでも作付けされても良いのではないかという話の中で出てきた発言。

この生産者は周辺農家が離農、その土地を借り受けて規模拡大してきただけに急激に衰退する稲作の現場を肌身に感じており、このままでは日本が食糧不足に陥るという危機感を示し、遺伝子組み換えによる除草剤耐性稲を今から準備しておかないと食糧危機は回避できなくなると述べた。

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