最初の一粒がない【閑人の独り言】2023年3月7日
「最後の一粒までしっかり食べるのよ。日本の食卓では、そんな風にいうのかもしれません。でも…。『最初の一粒がない子』が、世界にはたくさんいるのです」
女優の杏さんのナレーションで、こう語りかけてくるWFP国連世界食糧計画のPRをテレビやラジオで聞いたことはありませんか?
ユニセフ・FAO・IFAO・WEP・WHOが共同で発表した「世界の食料安全保障と栄養の現状」2022年版によれば、2021年には世界人口の29.3%の約23億人が中度または重度の食料不足にあり、9億2400万人近く(「世界人口の11.7%)」が深刻な食料不足に直面していると報告している。
さらに推定4500万人の5歳未満児が、もっとも命を落とす危険性が高い栄養不良の形態「消耗症」に陥り、1億4900万人の5歳未満児が食事に含まれている栄養素が慢性的に不足しているために発育障害に陥っているとも報告している。
こうした報告の内容は、テレビや新聞などを通じて、すでに多くの人々に伝えられているものだが、どれだけの日本人が記憶し、深刻な問題と考えているのだろうか。多くの人は指摘されれば思い出すことがあっても、私たちや私たちの子どもたちの未来にとって、深刻な問題とは考えていないように見える。
何故なら、肉類やスイーツなどを食べたときに、「罪悪感を感じる」とか「...感じない」と発言する女性タレントやアナウンサーが多く、否定されることなく電波に乗って流されているからだ。この「罪悪感」は、世の中には食事もとれず苦しんでいる人が大勢いるのに、自分たちは満腹になるまで食べられている、からではない。自分のダイエットや体形に影響があるかどうかという程度の問題が、一大事だということだからだ。
この感覚は、情けないことに、同じ地球上で多くの人が飢餓に苦しんでいること、日本の食料自給率がわずか38%ということが、頭のなかからスッポリ抜け落ちているとしか思えない。しかも日本国内にも食べられず苦しんでいる人が大勢いるのにだ。それは次回に。(くにさん)
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