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【やさしい経済の話】望ましい金利(下)円安に財界筋は"沈黙" 浅野純次・元東洋経済新報社社長2023年3月14日

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【やさしい経済の話】望ましい金利(上)低金利の経済効果鈍くより続く

大地 ごちそうさま。桜餅とコーヒーっていうのも意外性があって、おいしかった。今度、家でもやってみよう。さて、貸出金利の話だったよね。

里花 貸出金利ということは貸すほうから。なら、借りるほうからすれば借入金利かな。

大地 企業だと調達金利と呼ぶのが一般的だね。短期というのは、例えば秋に収穫があって収入があるまで、春先には種や肥料、農薬、資材などを購入しなければならないので、その半年間のつなぎ資金を借りるような場合ということになる。

里花 長期は大掛かりな資金がいる場合などね。

大地 温室を作るとか大きな投資をしたときなど、何年もの収穫で少しずつ返済しないといけない状況が該当するね。

里花 長期のほうが金利は高くなるとして、貸し出す相手によっても金利は違うのでしょ?

大地 相手が優良企業かどうかとか、優良な担保があるかどうかでも違うね。信用度の高い貸出先に対する金利は標準金利、あるいは最優遇金利ともいう。でもむしろプライムレートという英語のほうが、通りがいいかもしれない。

里花 プライムミニスターといえば総理大臣よね。

大地 うん。プライムというのは第一級のとか最高のとかいう意味だね。でも住宅ローンではサブプライムというと、信用度の低い借り手を対象とした金利の高いものを指すんだ。

里花 私が20歳前後の頃、米国のサブプライムローンがきっかけで経済が大混乱したわね。

大地 例のリーマンショックだね。ところで、おカネを借りるとき大事なのが単利と複利の違いだ。単利は借りた元本だけに利息がかかるのに対して、複利は利息に対しても利息がかかる。100万円借りて月の利息が0・2%だとすると最初は2000円だけれど、翌月はその2000円に対しても4円利息が必要で、2004円になる。

里花 あまり大差はないのね。

大地 最初は大したことはないけど、3年、5年も経つと大変だよ。ひまがあったら計算してみたら? 利息を毎月、元本に組み入れる場合と、毎年、組み入れる場合とではだいぶ違ってくるけどね。

里花 利息がたまるということはもちろん元本も返済できていないということだわね。昔のサラ金を思い出すわ。

大地 今はもっぱら消費者金融という。サラリーマンや主婦が浪費したりして消費者金融でカネを借りると、大変なことになりかねない。消費者金融は金利が高いし、複利なので元利を返さないでいると、雪だるまみたいに膨れていってしまうから。

里花 私たちがいちばんおカネを借りるのは住宅ローンね。

大地 何千万円もの大金を借りて何十年もかけて返していくのだから神経を使うよね。金利がちょっと上がるだけでも最終的に何十万、何百万も違うこともありうるのだから。

里花 今はマンションブームだとかで、値上がりが激しいので乗り遅れないようにという焦りもあるのだとか。

大地 今は長期金利も低いからね。3月から住宅ローン金利が少し上がったけれど、それでも固定型10年の最優遇金利で1・1~1・4%くらいだ。30年とかの長期返済だと2%くらいだね。うちの父母の頃は金利が5~6%もしたので、毎月の給料で利息を返し、年2回のボーナスで元本を減らすという繰り返しで大変だったそうだよ。

里花 住宅ローンには固定金利と変動金利があるそうだけど。

大地 途中で金利が急上昇すると思えば今の低い固定金利で借りてしまうほうが得だし、逆にずっと上がらないと思えば変動金利のほうが得になる。今のところ大きな差はないけれど、本来は差があって当然なところだね。

里花 それにしてもこれだけ低金利が続くと、喜ぶ人、そうでない人、人によって受け止め方もいろいろでしょうね。

大地 喜ぶのは借金の多い人や企業だね。特に競争力がなく財務体質も良くなくて借金に頼っている企業だと、低金利さまさまだ。でもエコノミストからは本来、金利が高ければ市場から退出せざるをえない問題企業を救うような経済構造を温存するゼロ金利政策には批判の声が聞こえてくるけれどね。

里花 日銀の黒田東彦総裁はゼロ金利を続けたからこそデフレ脱却も達成できた、と言っているんじゃないの。

大地 いわゆるリフレ派の日銀関係者やエコノミストはゼロ金利を続けてこなかったら日本経済はもっとひどいことになっていた、と主張している。これは神学論争といって自分の教義を互いに主張し合って妥協や一致がありえないような議論だから容易に結論は出ないだろう。もちろん逆にゼロ成長や長期停滞は低金利と金融大緩和だけでは解決されない構造的なものであることが確認されたという、反リフレ派のエコノミストも少なくない。日銀トップの交代を契機にマスコミの論調もそちらへ少し変わってくると思うよ。

里花 金利を上げると景気にはマイナス作用があるので上げるに上げられない、ってよく聞くような気がするけど。

大地 確かに今の日本の状況では簡単に利上げとはいかないだろうよ。でもそうかといって黒田さんの10年をさらに10年続けるわけにはいかないと思うね。ゼロ金利政策の修正のことをよく「出口戦略」って言うんだけど、とりあえずさっき言った長期金利の歪みを訂正してイールドカーブを正常化することから始めてはどうかな。

里花 それにはゼロ金利政策の問題点もしっかり整理しないといけないわね。

大地 いちばんは行き過ぎた円安だね。輸入物価の値上がりは消費者だけでなく、中小企業、酪農家などたくさんの被害者を生んでいるけど、輸出中心の大企業はむしろ円安でもうかっているものだから、財界は概して押し黙っている。

里花 トウモロコシなど飼料高で酪農家はほんとに大変ね。輸入肥料高もボディブローみたいに効いてきているわ。

大地 それと、ゼロ金利が金融市場の機能を歪めていることも軽視してはいけないね。何しろ2000年頃には0・4%あった総資金利ざやが今はたった0・1%だからね。これでは金融機関が健全に貸し付けを増やしていくはずがない。日本経済が活力を取り戻せないのも無理はないと思うよ。いや、ちょっと難しい話になってしまったかな。

里花 そうね。夜にでもメールで質問するわ。

大地 それともう一点。国債を発行してもゼロ金利で利息ゼロのようなものだから、発行に金利が高ければかかるはずのブレーキがかからない。これは由々しき問題だよ。財政規律をしっかりさせるために国債にはほどほどの金利が必要だと思うね。

里花 過ぎたるは及ばざるがごとしで、金利は下も上もほどほどがいいってことね。

大地 まあ血圧のようなもので、高すぎるようでは経済が過熱しているのだから早く下げないと危ない。逆にゼロ金利という名の低血圧もやる気のない人みたいなものだ。経済のダイナミズムを取り戻すために、ほどほどの金利水準で金融市場の機能を復活させないとね。あ、もうこんな時間だ。そろそろ失礼しようかな。

里花 最後のほうはちょっと難しかったけど、確かにほどほどの物価、ほどほどの賃上げがきっかけになって、ほどほどの金利になるといいわね。大ちゃん、今日はどうもありがとう。

大地 ぼくも頭の中がだいぶ整理された気がする。またしばらくしたら来るから、それまで元気でね。今日はごちそうさま。

浅野純次氏 あさの じゅんじ 東洋経済新報社で「会社四季報」「週刊東洋経済」各編集長、論説委員などを歴任し1995年社長、2001年会長。経済倶楽部理事長を経て、現在、出版企業年金基金、全国出版協会各理事長、石橋湛山記念財団評議員などを務める。

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