相対的貧困率【閑人の独り言】2023年3月25日
大きな人だかりが、前後左右に少しづつ移動していく。人だかりの中心には、一人の店員さんがいて、「40%引き」「30%引き」「20%引き」とプリントされた値引札を、惣菜や弁当などの食品に貼り付けていく。割引札が貼られるとすぐに人だかりから手が伸びて貼られた惣菜や弁当類などが買い物籠に移動していく。
夜9時に閉店する食品スーパーの、閉店前の1時間から1時間半位前から始まるほぼ日常的な風景だ。勤め帰りの独身サラーリマンや女性客もいるが、高齢者それも男性が多いのも最近の傾向だという。
買い求めるのは、生肉類や鮮魚よりは、電子レンジでチンすればすぐに食べられる、弁当類やフライ、天ぷらや煮物などの惣菜類が圧倒的に多い。
何種類かの弁当を買った高齢の男性に話を聞いた。弁当を複数買うのは、「年寄りには量が多いし、節約にもなるから、ご飯とおかずをばらばらに分けて、これを何食かに分けて食べるから」だという。一人暮らしの高齢男性の「暮らしの知恵だよ」と笑う。
OECD(経済協力開発機構)は、その国の等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯人員の平方根で割って調整した所得)の中央値の半分の額しか満たない状態のことを「相対的貧困」と定義、その全世帯への割合を「相対的貧困率」とよんでいる。その国の等価可処分所得が300万円ならその2分の1の150万円ということになる。
日本のそれは2015年に15.6%、子どもの貧困率は13.9%だとした。さらに一人親家庭の相対的貧困率は50.8%と、大変に深刻な状況にあることも明らかになった。
これは先進国35カ国中、7番目に高く、最も相対的貧困率が高いのはイスラエルで、ついで米国、トルコ、チリ、メキシコ、エストニア、日本となっている(2017年)。一番低いのはアイスランドで、ついでデンマーク、チェコとなっている。
絶対的な貧困が語られることは多いが、この相対的貧困について語られることは少ない。もっと注目すべきではないだろうか。
日本の場合、相対的貧困層に高齢者の一人暮らしが多いのが特徴ともいわれている。
3月2日の朝日新聞によれば「生活保護の申請が増加している」という。貧富の格差が静かにしかも確実に拡がっている。この問題を引き続き考えていきたい。(くにさん)
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】水稲にイネカメムシ 県南部で多発のおそれ 栃木県2025年7月9日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」【公明党】米政策が農政の柱 谷合正明参議院議員2025年7月9日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」【日本維新の会】農業者への直接支払い実現を 池畑浩太朗衆議院議員2025年7月9日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」【国民民主党】食料安全保障基礎支払いの創設めざす 舟山康江参議院議員2025年7月9日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」【社民党】ミサイルよりコメを! 福島みずほ党首(参議院議員)2025年7月9日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」【参政党】10年以内に自給率を倍増 神谷宗幣代表(参議院議員)2025年7月9日
-
【第46回農協人文化賞】地域ブランドつなぐ 営農経済部門・福岡県・にじ農協組合長 右田英訓氏2025年7月9日
-
【第46回農協人文化賞】「不易流行」で農支援 営農経済部門・熊本県・球磨地域農協組合長 福田勝徳氏2025年7月9日
-
【第46回農協人文化賞】人とのつながり糧に 営農経済部門・長野県・グリーン長野農協元組合長 竹内守雄氏2025年7月9日
-
「不幸の書簡」とストックホルム症候群【小松泰信・地方の眼力】2025年7月9日
-
【アンパンマンはなぜ生まれたか】 ノンフィクション作家・梯久美子さん 第46回農協人文化賞特別講演2025年7月9日
-
7月21日、広島でトラクターデモ 令和の百姓一揆 欧米並みの所得補償求め2025年7月9日
-
【人事異動】農水省(7月10日付)2025年7月9日
-
【JA人事】JA上士幌町(北海道)高橋昭博組合長を再任(6月6日)2025年7月9日
-
【JA人事】JA筑前あさくら(福岡県)熊本廣文組合長を再任(6月26日)2025年7月9日
-
【JA人事】JAグリーン近江(滋賀県)大林茂松組合長を再任(6月21日)2025年7月9日
-
【JA人事】JA新得町(北海道) 組合長に太田眞弘氏を再任2025年7月9日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」鳴戸部屋で兵庫の食材使用「ちゃんこ」を堪能 JAタウン2025年7月9日
-
健診施設機能評価認定更新 JA熊本厚生連2025年7月9日
-
JA鹿本のグリーンハウスミカン出荷順調 7月中下旬ピーク、総量130トン見込み2025年7月9日