シンとんぼ(36)スマート農業は役に立つのか?⑩2023年3月25日
シンとんぼは、現在、スマート農業が本当に役立つものなのかをテーマに検証するため、農水省ホームページに紹介されているスマート農業技術を、まずは耕種農業に絞り、①GPSを利用した自動操舵・制御による農業機械、②農業用ドローン、③水管理システム、④自動草刈り機、⑤収穫機、⑥出荷調整機の6つに整理し、検証を進めている。
今回は、⑤収穫機である。
収穫機とは、文字どおり収穫に使用される機械である。水稲や麦ではコンバイン、大豆やバレイショ・ニンジンなどの根菜類ではハーベスターと呼ばれるものである。農作業で重労働なのは、収穫作業であるのは間違いなく、稲麦大豆はもちろん、特にバレイショ、ニンジン、キャベツ、ハクサイなどいわゆる重量野菜といわれるものは収穫作業をいかに楽に正確に行うようにするかがスマート農業機械開発におけるテーマであり課題である。
例によって、収穫関係の機械にどんなものが開発・販売されているかは、農水省ホームページからスマート農業カタログ・耕種編をご覧いただきたい。
水稲では、コンバインにGPSを装着し、ほ場内を正確に自動運転し、位置ごとの収量を計測する機能を持ったものが多く開発されすでに実用化されている。位置ごとの収量がわかることで次年度の施肥量の調整用のデータとして使うことができる。ただ、刈り取りは自動化されても、収穫物の運搬は人手がないとできないし、何よりも壊れやすいので、人間によるこま目なメンテンナンスが必要だ。
余談だが、多くの産地で、作業分散と収量向上のために多収穫米(品種)の導入が進められているが、この多収穫米は、実は肥料分を多く必要とし、通常品種よりも茎が固くどっしりとしたものになる。このため、コンバインの刈取部の摩耗・消耗が通常品種よりも早く進むため、早めの部品交換などが必要になるので、多収穫米を栽培する場合は、このことも計算にいれないといけない。と考えてみると、収穫作業のスマート農業化は、刈取(取込み)作業だけでなく、メンテナンスや収穫物運搬など収穫前後作業の自動化が進まないと、本来の目的である収穫作業の効率化・軽労化にはならないだろう。ただ、稲麦大豆、根菜類については作物の取込作業だけでも自動化によってかなりの労力軽減に役立っているのは間違いないが、野菜の自動収穫機はまだ発展途上のようだ。例えば、キャベツやハクサイ、ホウレンソウなどの葉物野菜の場合は正確な切取り位置の調整が難しく、ほ場の凹凸などによって刈取部が上下すると、作物を傷つけてしまうことがある。
この問題は、大型の機械であれば自重が重く安定させやすいため解決できているようだが、小型のものでは上下動を完全に抑えることができずまだ改良が必要なようだ。また、トマトなど果菜類にいたっては、トマトの自動収穫機は登場してはいるが、キュウリなどその他果菜では構想はあってもまだ実用化されたものはない。なので、スマート農業収穫機が役にたっているかどうかを考えると、まだまだ改良の余地が残っており、特に園芸作でも十分に対応できるスマート農業機械の登場に期待したいというところか。
(スマート農業カタログ・耕種編)
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/smart_agri_technology/smartagri_catalog.html
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