【JCA週報】農業災害ボランティアと協同組合間連携(伊藤治郎)2023年5月8日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長 中家徹JA全中代表理事会長、副会長 土屋敏夫日本生協連代表会長)が、協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、本機構の協同組合研究紙「にじ」の最新号である2023年春号のオピニオン「農業災害ボランティアと協同組合間連携」です。
農業災害ボランティアと協同組合間連携
日本協同組合連携機構 伊藤治郎常務理事
2022 年6月の当機構理事会で常務理事に選任いただきました。協同組合間連携の推進と食育・食農を担当しています。日本生協連の出身です。よろしくお願いいたします。
2023 年は関東大震災から100 年の節目です。
自分の生協人生の中でも、阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震ほか多くの地震・震災がありましたが、そのたびに被災地および全国の生協による緊急支援や組合員と役職員による息の長い復興支援が行われてきました。その後、地震のみならず台風や集中豪雨も発生しており、災害は明らかに激甚化・頻発化しています。そして南海トラフ地震が今後40年以内に発生する確率は約90%であると予測されています。
阪神淡路大震災が発生した1995年は「ボランティア元年」と呼ばれますが、ボランティアという言葉は、賀川豊彦が関東大震災の翌年に賀川が編集する月刊誌で、復興のためのセツルメント活動に参加してくれる人々を「ボランチャ―」という単語で表現したのが日本で初めてといわれています。
食と地域を支える農業や漁業の復興は大変重要であり、協同組合は、事業としても、組合員や役職員によるボランティア活動としても復旧や復興に携わることができます。
しかし、農地の復旧は営利目的とみなされ、社会福祉協議会が設置する災害ボランティアセンターの活動の対象外となっています。また、各協同組合はセクターごとに活動していることが多く、セクター間の連携の事例は、台風や豪雨災害後の生協役職員による産直産地の支援、東日本大震災の際にJA と生協が協力して実施した福島における土壌スクリーニング・プロジェクト、岩手県田老町漁協への生協のボランティアなど、個別事例にとどまっています。
組織化された農業ボランティアセンターの事例としては、2017 年7月の九州北部豪雨災害をうけ、福岡県朝倉市に開設された「JA筑前あさくら農業ボランティアセンター」や2019年10 月に発生した台風19号の際に長野県で組織された「信州農業再生復興ボランティアプロジェクト」があります。JA、生協、行政、NPOなどが参画し、支援活動を行いましたが、他地域への広がりはこれからという状況です。
JCAは都道府県域において各種協同組合が集まり地域の課題について話し合い、協力して取り組む「ラウンドテーブル」の開催を呼び掛けています。その中で自然災害への備えや対応について話し合い、具体的な連携につながれば大きな力になることを確信しています。
「にじ」は本オピニオンを含めたすべての論考を当機構のウェブにて掲載しておりますので、ご覧ください。
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