文明の交代は近い【森島 賢・正義派の農政論】2023年5月8日
いま世界は、文明の交代期に立っている。
一方には、資本主義経済を土台にし、NATO(北大西洋条約機構)の軍事力に支えられた文明がある。他方には、、協同組合経済を土台にし、軍事力を否定した非暴力の文明がある。この両者がたがいに攻めぎ合っている。
先月、それを示唆する資料をIMF(国際通貨基金)が発表した。
それによれば、今後の世界経済を短期的にみると、アジア、アフリカが中心になって発展し、米欧は後退するという。日本は残念なことに後退組に入る。
このことは、軍事力が、つまり暴力が、政治や文明に及ぼす影響力の衰退を意味するだろう。
上の図と表は、IMFが先月に発表した予測結果で、2022、3、4年の実質GDP成長率の予測値である。
この結果が意味するものは、日本や米欧など先進国の経済発展の停滞である。その一方で、中国やインドなどアジア、アフリカの発展途上国の隆盛である。
残念なことに、日本は最低に近い1%程度である。
米欧の成長率は2%程度だが、中国やインドの成長率は5%程度である。ここには、大きな差がある。
このことは、何を意味するか。
◇
この結果を、ウクライナ紛争、コロナ禍などを原因とする、経済への短期的な影響とみるのは、一面的な見方だろう。その底にある長期的な経済変動を見なければならない。
ここには、経済力という力に基づく軍事力、つまり、暴力で紛争を解決しようとする文明と、それを否定する思想に基づく文明との攻めぎ合いがある。
◇
アジアにはインドのガンジーのような、アフリカには南アフリカのマンデラのような、非暴力・不服従という思想に基づく文明がある。
これは、米欧の軍事的な、つまり暴力的な植民地支配に対峙する思想だった。だが、いまはそうではない。人道的な思想に基づくものである。そうしていま、正義が世界を支配しようとしている。
◇
ウクライナ紛争は、この攻めぎ合いの最前線にある。一方にはNATO軍がいる。他方には、非暴力の思想を持ったアジア、アフリカの人々がいて、それを苦々しく見守っている。
そして、歴史の必然は、NATO軍の敗退に終わるだろう。冒頭の図表は、このことを示唆している。
(2023.05.08)
(前回 温暖化で穀倉地帯が大移動)
(前々回 多様な自由と民主主義の共存)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより『コラム名』をご記入の上、送付をお願いいたします。)
https://www.jacom.or.jp/contact/
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(164)-食料・農業・農村基本計画(6)-2025年10月18日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(81)【防除学習帖】第320回2025年10月18日
-
農薬の正しい使い方(54)【今さら聞けない営農情報】第320回2025年10月18日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第114回2025年10月18日
-
【注意報】カンキツ類に果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 高知県2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(1)2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(2)2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(3)2025年10月17日
-
25年度上期販売乳量 生産1.3%増も、受託戸数9500割れ2025年10月17日
-
(457)「人間は『入力する』葦か?」という教育現場からの問い【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年10月17日
-
みのりカフェ 元気市広島店「季節野菜のグリーンスムージー」特別価格で提供 JA全農2025年10月17日
-
JA全農主催「WCBF少年野球教室」群馬県太田市で25日に開催2025年10月17日
-
【地域を診る】統計調査はどこまで地域の姿を明らかにできるのか 国勢調査と農林業センサス 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年10月17日
-
岐阜の飛騨牛や柿・栗など「飛騨・美濃うまいもん広場」で販売 JAタウン2025年10月17日
-
JA佐渡と連携したツアー「おけさ柿 収穫体験プラン」発売 佐渡汽船2025年10月17日
-
「乃木坂46と国消国産を学ぼう!」 クイズキャンペーン開始 JAグループ2025年10月17日
-
大阪・関西万博からGREEN×EXPO 2027へバトンタッチ 「次の万博は、横浜で」 2027年国際園芸博覧会協会2025年10月17日
-
農薬出荷数量は0.5%増、農薬出荷金額は3.5%増 2025年農薬年度8月末出荷実績 クロップライフジャパン2025年10月17日
-
鳥取県で一緒に農業をしよう!「第3回とっとり農業人フェア」開催2025年10月17日
-
ふるさと納税でこどもたちに食・体験を届ける「こどもふるさと便」 IMPACT STARTUP SUMMIT 2025で紹介 ネッスー2025年10月17日