(336)ある学会シンポジウムを終えて【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2023年6月16日
先週の土日は日本フードシステム学会の年次大会でした。一般的に学会の年次大会ではシンポジウムが行われます。今回、いろいろな経過から共同座長の1人として壇上に上がりました。
さて、学会とは「学問や研究の従事者らが、自己の研究成果を公開発表し、その科学的妥当性をオープンな場で検討討議する場」であるとともに、「査読、研究発表会、講演会、学会誌、学術論文誌などの研究成果の発表の場を提供」し、「研究者同士の交流、文化団体として学者の利益を代表するなどの役目を果たす機関」というのが、Wikipediaの説明である。
なるほど、そういえば大学教員になりたての頃、他大学の教員から「研究交流をよろしく」というご挨拶を頂き面白い表現だと感じた記憶がある。日本では公的学会とそうでないものがあり、日本学術会議協力学術研究団体として指定されているかどうかが公的学会か否かの違いとなる。そこで日本学術会議のホームページを見ると、公的学会として認められるための申請要件は以下の4つが記されている。
1. 学術研究の向上発達を主たる目的として、その達成のための学術研究活動を行っていること
2. 活動が研究者自身の運営により行われていること
3. 構成員(個人会員)が100人以上であり、かつ研究者の割合が半数以上であること
4. 学術研究(論文等)を掲載する機関誌を年1回継続して発行(電子発行を含む)していること
さらに、同会議のサイトでは「学会名鑑」という一覧表が閲覧できる。50音順に掲載された最初は「愛知県理学療法学会」、最後は「和文化教育学会」である。名称の最初に「日本」がつく「日本〇〇学会」が多いため「日本」での検索も可能である。こちらで最初に掲載されているのは「日本衣服学会」、最後は「日本ワクチン学会」である。
それにしても数が多い。全てを数えるのは大変なので再びWikipediaを参照すると、やや古い数字だが会員数で見た場合、農学系で最大の学会は「日本農芸化学会」(○○学会という名称ではない学会はいくつもある)の11,000人である。人文科学系で最大の学会は「日本地理学会」の約3,000名、社会科学系で最大の学会は「日本心理学会」の約7,500名、次いで「日本社会学会」が約3,600名となっている。心理学が文系学部に存在すること自体いろいろと議論や経過があるのだろうが、ここでは深入りしない。
ざっと見たところ、人文科学、社会科学の学会は2,000名前後が多い。それに比べると自然科学系は桁が違う。日本最大の学会は「日本内科学会」の約105,000人である。医学系は流石に多く、会員数1万人以上が複数並んでいる。とりあえず、2018年時点で公的に認定されている学術研究団体は約2,000である。
さて、先週末に筆者が参加した学会もそのひとつである。今回のシンポジウムのメインテーマは「リスク・不確実性が増大する世界食料市場とフードシステム:食料の安定的な調達にむけて」であり、研究者や実務家からの報告・コメント、さらに討論を実施した。
こうしたシンポジウムの場合、進行上、事前打ち合わせである程度の内容は登壇者に共有される。しかし、全てがシナリオ通りだと会場は退屈である。そこで発言内容が交錯しないようにとか、会場からの予期せぬ質問に登壇者としてどう答えるかなど、終了時間を見ながらの座長としての議論の回し方は意外と難しい。
シンポジウム最中の登壇者達は各々が真剣だが、見ている方は意外と冷静である。また、シンポジウムの真価はリアルタイムの会場での雰囲気や印象もさることながら、後日その内容が学会誌に印刷されることで時間をかけて再検証される。報告内容を正式な論文として提出する場合には、口頭で実施した報告とは異なるレベルでの厳密性が求められる。こうした作業は全てシンポジウムが終了後の目に見えない地道な作業になる。
* *
シンポジウムでは「市場vs国家」の課題が提起されましたが、「個人vs組織」の問題も大事だなと痛感した次第です。
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