会議の場所、形態、運営、もうちょっと工夫しようよ!【JAまるごと相談室・伊藤喜代次】2023年6月27日
創造や工夫が足りない?JAの「会議」あれこれ
JAで長年仕事させてもらってきて、コンサル屋の立場から、気になることがいくつかあるが、その一つが、JA内部で開催される多くの会議の形態や運営方法についてである。
JAは協同組織、人の組織だから、何かと会議が多い。組合員のみなさんの会議が多いのは当然だが、営農関係の連絡や情報の提供方法など、もっと工夫をすれば、減らせる会議も多い。やはりOA化(オフィス・オートメーション)やデジタル化を取り入れ、有効に活用することが急がれる。
5年ほど前、あるJAの生産部会のアンケートをしたが、700万円以上の販売高のある農家の9割近くは、PCでのメール・ネットを利用し、スマホを所有してSNSを利用している。これらを活用し、JAがリードして、農家のサポートを行えば、営農関係の部会組織の運営は劇的に変化する。しかも、気象関係や病害虫被害、販売価格などの市場情報など、農家に急ぎ必要な情報が迅速に提供でき、喜ばれ、その結果、JAへの出荷率、利用度も上がる。
定例会議や集会にこだわっていては、JAのスピード感ある営農販売職員の行動やJAの進化を理解してもらえない。
もっと知恵を集め、組合員農家を巻き込んでデジタル化を進め、会議は、悩ましい問題や議論すべき課題のために開催すること。これは、組合員農家にとっても、JAにとっても有意義ではないかと思う。
工夫したい、ワンパターンの会議設定、机の配置
JAの会議の机の配置は、ロの字型、コの字型、スクール型の3つが基本形だ。ロの字は、机で真四角に取り囲む会議形態。コの字型は、ロの字型の一辺に議長か司会席をつくる会議形態。スクール型は、学校の教室のような机の配置だ。小さな会議も大きな会議も、すべてのこの3つの形態でセッティングされる。
2人の話合いなら机を挟んで向き合い、3人ならコの字型で、4人はロの字型、5人も6人も10人もロの字型で、40人くらいまではこの形態だが、集会タイプになると、スクール型である。ワンパターンで、世の中の変化と無縁の職場といえそうだ。
余談だが、いくつかのJAのコンサルで、机が固定されている理事会会議室に驚いた。固定だから、理事会専用。基本的に月1回の利用だから不稼働資産である。本店の建設のどさくさで、当時の経営陣が設計を認めたか要請した結果だ。その工事の施行は県連合会。でも、上部組織としてのムダの指摘はなかった、情けない話である。
あるコンサルJAでのこと。5階以上の新本店ビル建設計画で、最上階に役員室と理事会会議室の計画が公表された。さすがに、コンサルとして見過ごすことはできず、「この計画は、当時の組合長が決めたとあなたの名前が子々孫々残るから、やめた方がいい。むしろ喜ばれる計画に変更を」と説得した。そして、職員の食堂、休憩室、資料室、スポーツジムに代わった。
私のコンサルとしての新店舗建設(支店・事業店舗)のこだわりは、もっとも陽当たりの良い、最高の場所を職員の休憩室にすること、である。これは、譲らない"鉄のルール"で、理事会でも認めてもらってきた。
会議の話に戻ろう。
私がJAの職場でのコミュニケーション研修で話しているのは、次のようなことである。
2人の打合せは対面形式より、90度の直角に座るほうが、話しやすい場合が多い。対面で座ると、取調室のスタイルで会話が進まない。ビジネスでは、お客様対応も含め薦められない。3人・6人の会議なら、机を三角形に並べる。4人・8人なら、菱形にする。5人・10人なら、五角形に机を並べる。五角形は、米国のペンタゴン・国防総省の建物で、事業戦略の会議に向いている。
もちろん、なかには、机に座らず、立ったままの会議形式もある。あらかじめ時間を決めて話合いをする場合に有効だ。会議の進行も創造以上に早い。
会議の基本は、正面に人が座らない形態である。ひとり一人の発想やアイデアを活かすには、回りに左右されないこと、正面の職員の反応が目に入らないようにしたい。
コピー機能を持つホワイトボードのない"昭和の時代のJA"
会議の目的やメンバーによって、主催者は資料だけでなく、会議の持ち方、形式、机の配置にも注意を向けて欲しいのである。何を論じるか、検討したいか、そのために、どんな会場のセッティングが必要かを考えることである。
それと、データにコピーできるホワイトボードが会議室に置かれていないJAが意外に多い。とても現代社会でビジネスをしている組織とは思えない。ホワイトボードで図や考え方を共有することで、長い時間の会議は半減する。ファシリテーター役の職員を育てることも必要だが、見よう見まねでも問題ない。数をこなせば要領は理解できる。とにかく、ホワイトボードを使い、図を書いて共有することで、ダラダラとした何頁もの文章が不要になる。図を見ながら、発言する職員が飛躍的に増加する。間違いない。
それと、総務・人事課の職員は、月に1回ほどは、オフィス家具の展示を眺めてきてほしい。進化が早く、多様性があるから、新製品・アイデアツールがどんどん生まれているし、オーダーメイドもかなり安く製作できる。一日中、机にへばりついている総務人事課では、JAのビジネスは変わらない。
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