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【やさしい経済の話】高齢化社会と少子化の行方(上)半世紀で人口3割減 浅野純次・元東洋経済新報社社長2023年7月28日

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経済に詳しい元東洋経済新報社社長で石橋湛山記念財団評議員などを務める浅野純次氏が解説する「やさしい経済の話」。今回は日本の将来を左右しかねない「高齢化社会と少子化の行方」について問答形式で解説してもらった。

日本の高齢化は今さらの話題かもしれませんが、農家の主婦、里花(りか)さんにとっては年々、実感が強まっているようです。それだけならともかく農村で見かける子どもの数は減る一方で、近隣の町村では小中学校の統廃合が進む気配が伝わってきます。これから日本はどうなるのか、考えれば考えるほど心配になってくるようで、誰かに聞きたいのはやまやまながら、なかなか機会に恵まれません。久しぶりに従兄でジャーナリストの大地さんがやってきたので、これ幸いと質問を浴びせ始めます。

里花 大ちゃん、相変わらず忙しそうね。おじさん、おばさんもお元気でしょ? 今日もいろいろ教えてもらえるとうれしいわ。

大地 久しぶりにいろいろ話ができそうで楽しみだな。皆さん、お元気?

里花 わが家はみんな元気よ。それで今日教えてもらいたいのは高齢化社会と少子化の行方についてなの。

大地 これはまた大問題だね。いつもくらいの時間でうまく話せるかなぁ。でも行けるとこまで行ってみようか。そういえばこの春に厚労省が人口予測を発表したのを知ってるかな。正確には厚労省の国立社会保障・人口問題研究所、ぼくらはふだん「社人研」って呼んでいるけど、ここが発表したんだ。それによると、2070年の日本の人口は8700万人と推計されるということで、今後50年間で3割も日本は人口が減ってしまうことになる。

里花 3割も! で、推計って、どうやるわけ?

大地 人口は出生、死亡、海外との人口移動で決まるので、今後どんなカーブで出生率が低下していくかが第一。死亡は主に平均寿命がどうなるか、だね。人口移動は主に日本への移民の増減で、この三つを推測するのさ。

里花 どのくらい正確に推測できるのかしら。

大地 こう言ってはなんだが、これまでの推測はあまり正確とは言えないことが多かった。膨大なデータとマンパワーを使っても人口推計というのは難しいものなんだね。

里花 推計に疑問があるとすればどういう点なの。

大地 一つは出生率で、よく話題になる合計特殊出生率、つまり1人の女性が生涯のうちに産む子どもの数がほんとに1・36で踏みとどまるかどうか、だね。もう一つの問題点は外国人が社人研の推測ほど増えるかどうかだ。外国人の移民は、母国の経済状況と受け入れ国の経済・社会・文化状況による。大宗を占めるアジアの人々が円安もあって日本に魅力を感じなくなっていることを考えると、今度の推計はちょっと甘い気がしなくもない。

里花 それにしても人口が半世紀で3割も減るなんて大変なことね。8700万人って昔でいうといつ頃かな?

大地 戦後すぐが7000万人くらいだったはずだから、昭和30(1955)年頃じゃないかな。

里花 ふーん、増えるときも半世紀で3割、4割増えるものなんだ。それにしても増えるときはともかく、減るときは経済も元気が出ないわね。

大地 GDP(国内総生産)は人口と1人当たりGDPを掛け合わせたものだから、日本のGDPの伸び、つまり経済成長率が30年も低迷し続けてきたのは人口が増えなかったことも大きな原因だね。アベノミクスが、人口問題やイノベーションのような長期的課題はそっちのけで、金融財政ばかり追求したのは大きな間違いだったと思うよ。

里花 人口減の国も一人当たり所得を増やせれば成長できるということね。

大地 そういうこと。生産性を高めるとか、付加価値の高い製品やサービスを拡大するとかすればいい。でもこの30年、日本はこの点で米欧や中国に大きく後れをとったからね。人口減少は大問題だけれど、出生率の回復と生産性の向上にセットで取り組まないといけない。何しろ2022年までの5年間での実質GDP成長率で先進32カ国中、マイナスだったのは日本と香港だけで、日本は最下位だった。世界から「日本、どうしたんだ」と思われていると思うよ。

里花 人口減は高齢化と少子化がセットなわけよね。高齢化も深刻な問題だという人もいるけど、どうなのかしら。

大地 高齢者が増えること自体は長寿化の一面だから別に悪いことではないけれど、ただ寿命が延びるだけではいかがだろうかね。健康で長生きできる健康寿命こそが大事だと言われ始めたのは知ってるかな。今、日本の平均寿命は男が82歳、女が88歳くらいだけど、健康寿命はそれより10歳くらい下だ。この差の10年間は重篤な病気で入院したりしている期間なので、医療費などもかさむことになる。

里花 高齢化社会になると医療介護費用が膨らんで、財政負担が問題になってくるわね。社会保障費が財政上の最大の問題だって言うじゃない?

大地 60代後半の人たちの医療介護費に比べて、70代後半は倍になり、80代後半はまたその倍になると言われているからね。国民皆保険はじめ日本の社会保障は世界的にも充実していて、それが世界にもまれな高齢化社会を実現させたわけで、このこと自体は大いに誇っていいことだけれど、半面で社会保障費の財源では世代間の利害が対立してしまうよね。高齢者の年金は現役世代に比べ恵まれているんだから、今、1割か3割の医療負担を引き上げることで世代間の不公平を減らすことも考えるべき時だと思うよ。

里花 でも高齢者は当然、反対するんじゃない?

大地 そうだね。だから高齢者の票を失うことを恐れて与党もなかなか踏ん切れないというのが現実だろう。それと高齢者が生きがいをもてる社会にしないと。このあたりなら年を取ってもみんな農作業で頑張っているけど、都会だとやることが少ないからね。

里花 ぶらぶらするしかないのではもったいないわ。

大地 国も社会も高齢者が気持ち良く働けるためにもっと努力しないといけない。乳幼児を社会的に面倒をみていくのも立派な社会貢献だし、在宅勤務がどんどん増えている時代なので、高齢者も経理、総務的な仕事はもちろん、データ管理なども在宅で十分引き受けられるだろうよ。労働人口が減ると心配するより、高齢者を活用する工夫をもっとしてはどうかな。さてそろそろコーヒーブレークはどう?

里花 賛成、賛成。少々お待ちを。

【やさしい経済の話】高齢化社会と少子化の行方(下)に続く

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