【JCA週報】一世代を経て:『レイドロー報告』再考 #7(イアン・マクファーソン、訳:和泉真理)2023年9月11日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長 山野徹JA全中代表理事会長、副会長 土屋敏夫 日本生協連代表会長)が協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、当機構の前身であるJC総研が発行した「にじ」2010年春号に、イアン・マクファーソン氏が執筆された「一世代を経て:『レイドロー報告』再考」です。
ボリュームの関係から9回に分けて掲載いたします。途中で他の掲載を挟んだ場合はご容赦ください。
一世代を経て:『レイドロー報告』再考(2010)
イアン・マクファーソン(ヴィクトリア大学名誉教授)
訳:和泉真理、監修:中川雄一郎
はじめに(#1)
1.レイドロー報告考察の2つの論点(#1~#4)
2.変化するグローバル社会における協同組合の位置づけ
(1)外部環境の変化と協同組合の成長(#5)
(2)レイドローが促した国際協同組合運動の努力目標(#6)
(3)協同組合の知的基盤の新たな探求と理論構築を(#6)
(4)レイドローの指摘は運動展開上絶えず生起する課題(#7)
3.レイドロー報告の最も重要な部分一第V章「将来の選択」一(#7)
おわりに(#8、#9)
2.変化するグローバル社会における協同組合の位置づけ
(4)レイドローの指摘は運動展開上絶えず生起する課題
協同組合にシンパシイを持っている論者の協同組合運動に対する評価は寛容すぎるほどだとの批判をしばしば受けるが、その批判は、『西暦2000年における協同組合』でレイドローが書いた内容にはほとんど当てはまらない。
しかし、そうであっても、われわれが注意してページを熟読しなければ、彼の外交的、和解的な一その意味では、男性によくあることだが一論調(トーン)に潜んでいる彼の不快感をわれわれは見逃してしまうだろう。
彼は、すぐ前で示された諸課題に関わる協同組合の説明が雑多で混同されていた事例を指摘し、また時として非常に肯定的で積極的な実例が見つかった特定の地域を指し示すことによって、自分の批判に幾分かバランスを取る一方で、数多くの協同組合運動の献身者と一彼が生涯の大半を捧げた一協同組合の大義をめぐって論争したことは、疑う余地のないところである。おそらく、彼が提起する協同組合批判はまた、レイドロー報告が比較的大規模で歴史のある協同組合には相対的に小さな影響しか及ぼさなかった理由を説明するのに役立つであろう。
言い換えれば、彼の協同組合批判は新しいものではなかったとはいえ、協同組合が西暦2000年に向かって進行していくことの重要性を彼が指摘したことによって、多くの協同組合人は協同組合と協同組合運動の欠点や短所を理解し、反省する機運を高めた、これである。レイドロー報告は、要するに、資本主義企業の発展をいかにして促進するか、といったわれわれがしばしば目にするようなものではないのである。
そのうえ、レイドロー報告にはその後の30年にわたって「協同組合の献身者」を同じように悩ませた一連の強い批判が記されている。そしてそれらの批判は一繰り返して言うけれど一依然として今日的な意味を持っているのである。
それ故、彼の批判は、協同組合の事業活動や協同組合運動の展開において絶えず生起する課題でもあると見なされるべきであろう。確かなことは、このようなメッセージは世代を超えて伝えられ、レイドロー以前の協同組合人世代とレイドロー以後の協同組合人世代の課題や関心事として彼や彼女たちに埋め込まれていく、ということである。
3.レイドロー報告の最も重要な部分一第V章「将来の選択」一
レイドロー報告の最も重要な部分の一つは、「将来の選択」の章(第V章)である。
レイドロー報告を書く際に彼が用いた広義のアプローチを前提とすれば、彼が選ぶ可能性のあるいくつかの選択肢のうち、次の4つが選ばれることになった。
すなわち、①「飢餓の世界」を満たす(「世界の飢えを満たす協同組合」)、②「生産的労働」の創出(「生産的労働のための協同組合」)、③「保全者社会」の促進(「保全者社会のための協同組合」)、そして④「協同組合コミュニティ」の建設(「協同組合地域社会の建設」)、である。
このリストは、それなりに興味のあるところである。というのは、このリストは、レイドローが先進諸国では既にしっかり確立されている協同組合論説の規範となってしまっているものを超越して考えようとした、その方法論を再度明らかにしてくれるからである。
確かに、既存のしっかり定着している協同組合は、これら4つの課題に熱心に取り組むことができるし、また熱心に取り組むべきであるが、しかし、その力点を新たな協同組合の公式化や協同組合の活動エネルギー源に置こうとする。
そこで彼は、第V章で、彼の時代の最も重要な傾向や趨勢を理解することと協同組合運動が与え得る可能性とを融和させようと試みたのである。
すなわち、彼は、協同組合運動が満たすことのできる一と、彼が確信した一具体的で明確なニーズ-良質な食料の確保、より良い雇用の促進、持続可能性の来るべき問題への取り組み、そしてより良い地域コミュニティの建設一の上に協同組合運動を基礎づけようとしたのである。それは、協同組合事業の直接的なニーズから協同組合人を引き離し、彼らに協同組合運動のより重要な目的を注視させようとするリストであったのである。
(続く)
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