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地域の「和食」を、「土産土法」で一大展開しよう!【JAまるごと相談室・伊藤喜代次】2023年9月19日

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海外からの旅行者に教えられる「日本の食と文化」

A・ライフ・デザイン研究所 代表 伊藤喜代次

仕事柄、全国を旅しながら、食事はちょっと贅沢をしてきた。地元の方のご推奨のお店や料理をいただくことも愉しみだ。時に、大都市では、ミシュランも参考にした。私が住む八王子市・高尾山の情報を紹介する機会があって、久しぶりに「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」を眺めていたら高尾山は3つ星。コロナ禍で、かつて年間300万人を越え、世界一の登山客数といわれたが、近年は、2割程度減少している。

ところで、八王子市内には、「ミシュラン・ガイド」で星を獲得した飲食店が5店舗ある。このうち、3店舗(日本そば、とうふ専門店、ラーメン店)は時々伺うが、ミシュランの力は大きいと口を揃える店主たち。そのうちの一人は、「旅行者の多くが、神社仏閣は一度訪れて写真を撮ると、次は別な場所へ行くが、食べ物は別。友人や仲間に紹介し、SNSで広めてくれ、本人も東京に来ると、半日使って再来店してくれる。嬉しい」と話した。なるほど。恐るべし、食文化は強し、である。

日本来訪者が食のリピートをする理由は、多様性、繊細さ、美味で豊富なコンテンツで、ラーメンから高級寿司店やすき焼き店など、とにかく幅が広い。諸外国を旅した経験をもつ私でも、日本に勝る国(都市)はない、と思う。

ちなみに、昨年の「ミシュラン・ガイド」の都市別の店舗数を調べてみてビックリした。何と日本の東京・京都・大阪が世界一位である。3つ星の店舗数は、東京12、パリ10、香港7、京都6、大阪3などで、日本がベスト10に21店。さらに、1つ星以上の星を獲得した店舗数は、日本が402、2位のフランスが118、3位の中国は81とダントツだ。

ユネスコの無形文化遺産「和食」を地域の食文化の核に

数年前、あるJAの役職員との雑談で、文化遺産の和食について何もイベントはしていない、という話を聞いた。日本人は、すっかり忘れてしまったかもしれない。いまからちょうど10年前、和食は2013年に、ユネスコの「無形文化遺産」に指定された。この文化遺産には2種類あり、一つは建築物などの「有形の」文化財。もう一つが、民族文化財、口承伝統などの「無形の」文化財である。日本は、和食のほかに、無形文化遺産として、能楽、文楽、歌舞伎、結城紬、和紙が登録されている。

10年前ともなると、遠い昔話になってしまうのかもしれないが、農業関係者であるJAの役職員が忘れてしまっては困る。和食の無形文化遺産登録10周年を記念し、JA組織が中心となり、それぞれの地域でイベントや和食の再確認、日常生活と和食など、さまざまなテーマで「和食」を呼び起こしてほしい。その際、キーワードは「土産土法」を奨めたい。

JAは「国産国消」を謳っているが、全国ベースの会議やイベント、JA全国機関は良いかもしれないが、個々の地域やJAでのキャンペーンではピンとこないだろう。それより、個々のJA単位で取り組む際のイベントやキャンペーンには「土産土法」が最適ではないか。「その土地に産する物を、その土地の方法で食する」という意味(「身土不二」という同義の仏教用語もあるが)。

「地産地消」でも良いが、「土産土法」がイメージを膨らましやすいし、目を引きやすい。食文化に詳しいわけではないが、精進料理や京料理をイメージしたらいい。鎌倉時代に生まれた地元産の野菜や山菜・豆腐などを基本にした禅寺の精進料理。郷土料理の原点ではないか。また、室町時代に茶道から生まれた会席料理は、地場産の素材を活かす「和食」である。

「土産土法」で地域の食文化「和食」を呼び起こす

精進料理や京料理の"基本"は重なっていて、「その土地の三里四方(12km四角形のエリア)で取れたものを食していれば、延命長寿間違いなし(病いなし)」が現代まで伝えられている。私は20歳代にこの料理法を知り、以来、ずっと周囲の人に喧伝してきた。日本全国、どこの地域でも「三里四方」をベースにした郷土料理、和食があり、歴史を重ねるなかで洗練され、暮らしに浸透した。さらに、江戸の中期には、一日三食が習慣化し、庶民の生活に定着し、現代の日本人の食生活が形成される。

ファーマーズマーケットの運営や支店・事業所など、地域社会と共生する事業体であるJAが、この文化遺産としての「和食」について、どう位置づけ、活かしていくか。暮らしのなかで、美味しさ、美しさ、安心、健康などが強調され、同時に、日本文化を息づかせ、家族や地域のみなさんと「食の価値の共有し合う」。それを、楽しみ、高めるようなイベントがあれば素晴らしいことだ。

昭和の時代から、農業者数は大きく減少した。しかし、食事をとる日本人が大きく減少したわけではない。「和食」が遠い存在になったわけでもない。そこに目を向けるのが現代のJAであるべきだ。農業生産者と農業に関わる組織の使命である。しかも、文化遺産である「和食」を地域の関係業者、飲食店などとともに普及・定着させる役割を果たすこと。JAにとっては、組合員以外の地域のみなさんに参加し、体験し、協力してもらえる楽しい食と農業イベントやキャンペーンは、次代の農業を考える一つの道筋でもある。

こんなイベントはどうか。「わが家自慢の『和食メニュー』の募集やその料理の実食、「農家の季節別コメ料理あれこれ」、「野菜・果樹生産農家の『定番の和食』紹介」、近隣の「○○寺の伝統的な精進料理と料理教室」などなど。評価の高かったメニューは「自慢の惣菜シリーズ」として、調理して商品化、販売する、とか。あまり良いアイデアではなかったが・・・。

歴史を重ねてきた日本の「土産土法」の食文化は、何としても日常の生活に活かしていきたい。最近流行の「創作料理」の技を付加して、進化する「地域の和食」、「これからの家庭と和食」を提案するJAであってほしい。

JA事業に「色と味」を添え、地域のみなさんと「和食」を盛り上げたいものだ。

本コラムに関連して、ご質問、ご確認などがございましたら、お問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)より、『コラム名』を添えてご連絡ください。コラム内又はメールでお答えします。

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