【JCA週報】一世代を経て:『レイドロー報告』再考 #9 (イアン・マクファーソン、訳:和泉真理)(2010)2023年9月25日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長 山野徹JA全中代表理事会長、副会長 土屋敏夫 日本生協連代表会長)が協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、当機構の前身であるJC総研が発行した「にじ」2010年春号に、イアン・マクファーソン氏が執筆された「一世代を経て:『レイドロー報告』再考」です。
ボリュームの関係から9回に分けて掲載いたします。途中で他の掲載を挟んだ場合はご容赦ください。
一世代を経て:『レイドロー報告』再考 #9/全9回(2010)
イアン・マクファーソン(ヴィクトリア大学名誉教授)
訳:和泉真理、監修:中川雄一郎
#はじめに(#1)
1.レイドロー報告考察の2つの論点(#1~#4)
2.変化するグローバル社会における協同組合の位置づけ(#5~#7)
3.レイドロー報告の最も重要な部分一第V章「将来の選択」一(#7)
おわりに
(1)レイドロ一報告の重要性一彼のアプローチ、方法論の認知一(#8)
(2)協同組合の基本的目的の再考、複眼的理解に基づく協同組合運動の再考を(#9)
#おわりに
(2)協同組合の基本的目的の再考、複眼的理解に基づく協同組合運動の再考を
レイドローは、長い目で協同組合を歴史的に捉えようとしたので、彼よりも前の世代と彼に続く世代の双方の人たちから彼が学んできたことを敬意をもって論じた。
彼は、現在あるいは過去の事象に拘泥(こうでい)するようなことはしなかったが、しかし、彼が比較的若い時期に従事して学び得たさまざまなことを決して無視しなかった。彼は、今日優れた協同組合組織が明日もそうだとは限らない、とのことをよく理解していた。同じことであるが、現在の「協同組合の実験」に口ごもっている協同組合組織でも、一世代後には「協同組合の実験」の最も重要な協同組合組織になるかもしれない、とのことをよく理解していたのである。
彼は、効力のある協同組合組織を創り出す地域の人たちの大きな努力を強く確信しながらも、ローカリズム(狭い地域主義)やリージョナリズム(地方優先主義)を超越する道筋を追求してきた。彼は、重要な国際的動向を理解しようとしたし、それらに対応する国際的努力の強化を主張したし、現代のコミュニケーション・システム(通信システム)の活用を高めるよう訴えた。
彼は、協同組合の基本的目的を再考することと協同組合を複眼的に理解することに基礎を置いた協同組合運動の再生を求めた。実際、これこそが「協同組合を良く知るようになる」新しい方法なのである。
協同組合人にとって、レイドローは今でもなお依然として、彼らが実践する協同組合運動のアプローチをとう定立すべきか、その方法を示唆してくれる最良のモデルの一人なのである。これこそ『西暦2000年における協同組合(レイドロー報告)の究極の功績である。
結局のところ、レイドロー報告は、一世代を経てもなお、実に示唆に富みかつ最も有益であり続けるのである。
JC総研 協同組合経営研究誌「にじ」2017年 春号 No.658 より
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