クスクス・フェスティバル ローマ在住ジャーナリスト・茜ヶ久保徹郎【イタリア通信】2023年10月14日
サン・ヴィート・ロ・カポ
古代から地中海文明の交流の中心であったシチリア島の海岸の町サン・ヴィート・ロ・カポで26年前から毎年開かれているクスクス・フェスティバルでのクスクス世界選手権で、今年はメキシコチームが優勝しました。
日本ではあまり知られていませんが、デュラム小麦の粉を水で捏ねて茹で、スパイスや肉、魚、野菜などと混ぜたクスクスは材料費が安く、中東、地中海沿岸の庶民に親しまれてきました。
素朴な味で僕も大好き。シチリアに行くと必ず食べます。
1998年に始まったフェスティバルは、イタリアではあまり食べられていないクスクスの普及を目指し、そしてまた平和な地中海の象徴として、色々な国の代表を招いています。
今年は常連のパレスチナ、イスラエル、アルジェリア、イタリア、モロッコ、チュニジアに加えメキシコとポルトガルが参加しました。
パレスチナ代表、イスラエル代表などみな仲良く楽しみながら選手権を競っていましたが、現実の社会では残念ながらイスラエル、パレスチナの間で戦闘が始まってしまいました。
現在のサン・ヴィート・ロ・カポは18世紀末に出来た、海に面した人口5000人ほどの町。しかし海を見下ろす崖には旧石器時代から人が住んだ痕跡を残す数多くの自然の洞窟があります。そして海岸から500歩ほど奥に入ったところに紀元前4世紀ころには小さな村があったようです。
1300年代に町の名前となった聖者ヴィートの小さな教会が建ち、訪れる巡礼の宿泊施設と、街を守るための壁が作られ14世紀末に完成しています。その後海賊が横行するようになり、見張りの塔が作られ、1700年代から住み着く人が出始めました。

パレスチナ代表のクスクス
クスクス・チャンピオンシップは料理専門家とチケットを買って参加した一般の人たちの二つのグループが試食して採点、専門家の評価が70%となります。
試合は先ず2チームずつで予選を行い、勝ち残った4チームで決勝戦を行います。
第1回は9月21日午後6時にアルジェリア対パレスチナ戦、8時30分にイスラエル対メキシコ戦。
優勝したメキシコ代表
9月22日はモロッコ対チュニジア戦とイタリア対ポルトガル戦。
9月23日は勝ち進んだ4チームで決勝戦が行われ、メキシコが優勝しました。
9月15日から24日まで、10日間にわたって開催されたクスクス・フェスティバルはチャンピオンシップだけでなく、サン・ヴィート・ロ・カポの町のレストランでクスクスの調理を見学して食べたり、夜には海岸の舞台で音楽のショウを見ることもできます。
もちろん白い砂浜での海水浴は最高です。
フェスティバルには10日間で10万人ほどが訪れました。
イタリアでは色々な自治体や農業生産者組合、食品メーカーなどが国際的な競技会を開きます。
ナポリではピッツァ・フェスティバルと競技会(日本のピッツァ職人が優勝したこともある)。リミニ(アドリア海岸のリゾート地)でジェラート世界選手権。また有名なパスタのメーカーが行う国外で活躍するイタリア料理のシェフ競技会(ここでも日本人シェフが優勝したことがある)など色々あります。
会場前の列
最近は世界的に日本料理が盛んになり、日本の農作物や魚介類などが海外で人気呼んでいます。
日本でも自治体や生産者組合などが協力して国際的なフェスティバルや競技会などを開いたら面白いでしょう。外国人の寿司職人や板前が優勝するようになれば日本食品の普及に拍車がかかると思います。
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