「額に汗」か「眉間にしわ寄せ」か【原田 康・目明き千人】2024年1月27日
「額に汗して働く」か「眉間にしわ寄せして座り込む」か。太陽の光が燦燦と降り注ぐ中での農作業、田や畑を耕し、種子を蒔き、苗を育て成育に合わせて季節の天候と睨めっこをして育て、収穫となる。
野菜も果実も手間をかけてやるとそれに応えてすくすくと成長する。葉が茂り、実が成る。花卉はきれいな花を咲かせて手間をかけたことを忘れさせてくれる。四季があり毎日の天候が大きく変化をする。雪、梅雨、酷暑、台風に耐えての農作業である。額に汗を流して働いた仕上げが収穫でそれまでの苦労に報いてくれる。農業の醍醐味である。
「マネー・ゲーム」を見てみよう。"貯蓄より投資"のキャッチ・フレーズに誘われて自身は働かずに投資で儲ける方法である。証券会社や金融機関が投資のイロハから解説をして利益の上がる方法を教えてくれる。株式の他にもいろいろな債権や投資の対象となる金融商品を揃えて売ったり買ったりで利益をあげ手軽に儲けられる。額に汗して働いた成果ではない。株式市場は文字通りの「マ ネー・ゲーム」である。定期預金より利息が高いといわれて定期を解約して株式を買う。
新規の顧客には利益の出る株や債券を用意してゲームへの参加を歓迎する。味を占めた客はさらに利益を求めてゲームの常連となる。額に汗して働かなくても金が入ってくる。株価は毎日動くので新聞の株価の欄を見て文字通りの「一喜一憂」となった。買った株券の価格が市場で下がってもこれを上げるため株を発行した会社の経営に口を出すことは出来ない。頭を抱えて座り込むことになる。高齢化に備えたつもりがこれでは裏目に出る。
更に、現在は見ておかなくてはならない情報が多いのでコンピューターやスマホを見る時間が長くなって運動不足になっている。農作業は胸、腰、足の全身運動となりトレーニング・センターへ行くのと同じような運動が出来る。
寝る前に飲む一杯の酒の味がどちらが美味いかである。
現在の生活の環境に合わせて額に汗を流す仕事を見つけ、それの積み重ねがいつかは戻ってくる。
(原田 康)
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