シンとんぼ(90)みどりの食料システム戦略 現在の技術で実現可能でしょ(4)2024年4月20日
シンとんぼは令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まり、ひと通りの検証と考察が終了したので、これまでのことを整理してみている。
みどり戦略の大義は「安全な食糧を安定的に確保する」であり、それを実現するためには新しい技術開発、イノベーションが必要だとなっている。そこでシンとんぼでは、同戦略のKPIやスマート農業について、その有効性や今後の農業に与える影響などをひととおり検証し、「食の安全」とは何かというテーマとを照らし合わせて、色々と考察を加えてきたのだが、その結果たどり着いたのは、どうやら現在の技術でも「安全」な食料の生産は可能ではないか? 何も現在の技術を否定する必要は無いのではないか? ということだった。
そこで、前回までに、農薬、肥料、有機農業に関するKPIを達成することが、本当に「安全な食糧を安定的に確保する」という大義を実現するために必要なのかどうかについて持論を展開してみたのだが、読者の皆さんはどのように思われただろうか?
その後、ご批判頂くことも覚悟しつつ熟考してみたのだが、現在流通している化学農薬や化学肥料に関しては、削減するのではなく上手に正しく使用する方が、労力軽減や消費エネルギー軽減にも役立って、みどり戦略の求める大義に近づくことができると確信に近いものになった。
また、クローズアップされているスマート農業については、農作業の労力軽減や品質向上に役立つ夢のような技術といわれているが、どの技術も発展途上の感があり、今すぐに役立って、広く普及できる段階には至っていない。
例えば、畦畔雑草防除に関しては自動草刈り機を導入することで労力が大幅に軽減され、農作業上の人身事故や除草剤の使用量が減らせるとなっている。しかし良く考えると、畦畔の形状によっては使用できない場所があったり、燃料消費が増してCO2の排出が増えたり、機械の購入に大金がかかって農家の負担が増えたりと、導入に際してのデメリットも多くあり、メリットよりデメリットの方が上回っているスマート技術も多い。
それは農業経営全般に視点を据えて功罪を検討するのではなく、技術の持つ一面にだけクローズアップさせて検討しているためにおこっていることであり、それ故に爆発的な普及に結びついていないのではないだろうか?本当に効率良く、役に立つものならばもっと広がっていても良さそうなものである。
そう考えると、やはり、特に化学農薬や化学肥料については、今ある技術を正しく利用する方が、みどり戦略の大義実現への近道なのではないかとシンとんぼは改めて思った次第である。
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