異常気象が農家を直撃【原田 康・目明き千人】2024年8月31日
今の季節の広い水田地帯は一面に緑のビロードを敷き詰めたような素敵な景色である。ここに線状降水帯の豪雨が降ると水田が大きな池になる。水が引いた後の景色は見るも無残な姿となる。果樹の地帯は収穫直前のブドウ、桃、サクランボ、リンゴ等が下に落ちる。一年の努力が1回でゼロになる無念さである。田んぼや畑に立ち尽くすことになる。農業が自然との共生であることを再認識することとなる。災害への準備は個々の農家では限界があるので地域の農協が協力をしているが、全国規模の支援体制は全農の役割である。
自然の災害は昔からあったが、特に最近の線状降水帯は豪雨と強い風である災害の直接の打撃を受けるのは農家である。収穫量が減ったうえに、流通の構造の変化により価格も安くなることが多い。
野菜や果実は農家の販売価格が安くなった時の価格補てん制度はある。食料の安定確保の政策であるので財源は税金である。安値の認定は個々の業者間の取引ではなく卸売市場のせりによる価格を基準としている。公的な機関で公開の場所でせりによる価格を基準としている。従って、野菜や果実の価格が安くなって補てんの対象となるのは農家や卸売業者による取引の価格であるが、実際の適用となると品目ごとの取引の価格が補てんの対象となるためには膨大な資料が必要となる。税金を使うので当然だが、関係者の負担は大きい。数年先には会計検査院による検査があるので適正に農家に支払われたことの書類が必要となる。
このような面倒な事務をしても農家への価格保証が必要なのは、農家が安くてお手上げとなって生産をやめることを防ぐためである。農家が主要な米、野菜、果実などの栽培をやめたら日本の食卓がカラカラになる。輸入でカバー出来るのはごく限られるし、流通も大混乱となる。
前にも本欄で指摘をしたが、個別品目の価格補てん制度は必要であるが、農家が生産をする条件が出来ればよい。農家が年間を通じて地域に合ったものを生産して販売をすれば生活が出来る体制を作ればよいのだ、農家も生活が出来ればぜいたくは言わない。必要な物は採算抜きでも生産をするヨーロッパでは、日本以上に食料問題は社会の安定の基本であるので自国の農家が生産を継続の出来る条件を工夫している。オランダが参考となる。(原田 康)
重要な記事
最新の記事
-
【第46回農協人文化賞】資金循環で地域共生 信用事業部門・埼玉県・あさか野農協組合長 髙橋均氏2025年7月14日
-
【第46回農協人文化賞】組合員の未来に伴走 信用事業部門・秋田やまもと農協常務 大鐘和弘氏2025年7月14日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 三重県2025年7月14日
-
【注意報】イネカメムシ 県内全域で多発のおそれ 鳥取県2025年7月14日
-
主食用米の在庫なし、農機の修理・メンテナンス年3000件 JA常総ひかり2025年7月14日
-
【'25新組合長に聞く】JA岡山(岡山) 三宅雅之氏(6/27就任) 地域を元気にするのが農協の役割2025年7月14日
-
JA全農ひろしまとJA尾道市、ジュンテンドーと 売買基本契約を締結、協業開始2025年7月14日
-
蒜山とうもろこしの宣伝強化 瀬戸内かきがらアグリ事業も開始 JA全農おかやま2025年7月14日
-
酪農の輪 プロジェクト 夏休み親子で「オンライン牧場体験」開催 協同乳業2025年7月14日
-
大阪府泉北郡に「JAファーマーズ忠岡」新規開店 JA全農2025年7月14日
-
食農と宇宙をつなぐイベント あぐラボとMUGENLABO UNIVERSEが共催2025年7月14日
-
岩手県産のお肉が送料負担なし「いわちく販売会」開催中 JAタウン2025年7月14日
-
【今川直人・農協の核心】全中再興(2)2025年7月14日
-
「とちぎ和牛」が7年ぶりに全国最高位 "名誉賞"獲得 「第27回全農肉牛枝肉共励会」2025年7月14日
-
【役員人事】北興化学工業(9月1日付)2025年7月14日
-
第148回秋田県種苗交換会キャッチフレーズ決定 全国906作品から選出2025年7月14日
-
無料でブルーベリー食べ放題 山形・鶴岡の月山高原で地域活性イベント開催2025年7月14日
-
農地調査AI支援サービス「圃場DX」デジタル庁「技術カタログ」に掲載 LAND INSIGHT2025年7月14日
-
クマ対策用電気さく線「ブルーキングワイヤー」販売を本格化 未来のアグリ2025年7月14日
-
屋外作業の暑さ対策製品など展示「第11回 猛暑対策展」に出展 サンコー2025年7月14日