シンとんぼ(111) -みどりの食料システム戦略対応 現場はどう動くべきか(21)-2024年9月28日
シンとんぼは令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まり、みどり戦略の大義である「安全な食糧を安定的に確保する」を実現するために、現場は何をすべきなのかを考察している。シンとんぼなりの結論は、「現在ある技術を正しく活用すれば、新たな技術開発やイノベーションを待たずとも、みどり戦略の大義は達成可能だろう」ということだった。そこで、みどり戦略対応のために農業現場はどう動くべきなのかを探りながら持論を展開しており、現在は有機農業の取組面積拡大に向けた新技術をテーマに検討を行っている。
今回からは、2050年までに実用化を目指している「土壌微生物機能の完全解明とフル活用による減農薬・肥料栽培の拡大」について検討してみようと思う。余談ではあるが、前回まで新技術の「検証」という言葉を使っていたが、大した反証も示さないまま持論を展開してしまっており、いささかおこがましいのではないかと気づき、今回から「検討」に修正させて頂くことにしたので、まずは言葉使いが乱暴であったことをお詫びしたい。
さて、みどり戦略の新技術説明資料によると「土壌微生物機能の完全解明とフル活用による減農薬・肥料栽培の拡大」とは、土壌微生物叢と作物の生育情報、環境要因との相互作用を解析し、土壌微生物も持つ機能をフル活用し、農薬・化学肥料に頼らず食料増産を果たすとしている。土の中を完全制御することで、化学肥料ゼロでも食料増産が可能で温室効果ガスの発生抑制も可能だとしている。
言葉で見れば美しいのだが、どのようなメカニズムでそれを実現するのかが、どうもピンとこない。恐らく、堆肥等の有機物を施用し、それを土壌微生物の力で分解して肥料成分として活用し、土壌微生物のバイオステュミラント効果によって作物の病害虫抵抗性を高め病害虫の発生を抑制し食料増産に結びつけることができると言っているのだと想像しているのだが・・・。
ただ、これは既にある技術の延長線であって目新しいものではないし、土壌微生物機能を完全解明することがなぜ「微生物機能だけで食料増産」できるようになるのかがストンと落ちない。
そこで、キーワードとなっている土壌微生物叢のことを少し掘り下げてみようと思う。
土壌微生物叢とは、土壌に生息する顕微鏡的な大きさの微小な生物群のことをいい、細菌や放線菌、糸状菌(かび)、藻類、原生動物に大別されている。 土壌に存在する量では、細菌と糸状菌の2つで、土壌バイオマス(生体総量)の95%以上を占めている。この事実が、土壌微生物叢の有効活用を示す根拠になっているのかもしれない。(つづく)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(149)-改正食料・農業・農村基本法(35)-2025年7月5日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(66)【防除学習帖】第305回2025年7月5日
-
農薬の正しい使い方(39)【今さら聞けない営農情報】第305回2025年7月5日
-
【注意報】斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 石川県2025年7月4日
-
(442)エーカレッジ(作付面積)から見る変化【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年7月4日
-
【JA人事】JAながさき県央(長崎県)里山耕治組合長を再任(6月27日)2025年7月4日
-
人的資本を人事制度で具体化する 「令和7年度 人事制度改善セミナー」開催 JA全中2025年7月4日
-
「有機薄膜太陽電池」で発電した電力 ブドウの着色に活用 実証実験開始 山梨県2025年7月4日
-
株主優待制度を新設 農業総研2025年7月4日
-
夏の訪れ告げる初競りの早生桃 福島県産「はつひめ」販売 青木フルーツ2025年7月4日
-
ニッテン「スズラン印」ロゴマークをリニューアル 日本甜菜製糖2025年7月4日
-
「国際協同組合年」認知度調査「生協に参加したい」が7割 パルシステム2025年7月4日
-
洋菓子のコロンバン主催「全国いちご選手権」あまりんが4連覇達成2025年7月4日
-
野菜わなげや野菜つり 遊んで学ぶ「おいしいこども縁日」道の駅とよはしで開催2025年7月4日
-
北海道初進出「北海道伊達生産センター」完成 村上農園2025年7月4日
-
震災乗り越え健康な親鶏を飼育 宮城のたまご生産を利用者が監査 パルシステム東京2025年7月4日
-
神奈川県職員採用「農政技術(森林)経験者」受験申し込み受付中2025年7月4日
-
神奈川県職員採用「獣医師(家畜保健衛生分野)経験者」受験申し込み受付中2025年7月4日
-
信州の味が集結 JA全農長野×ファミマ共同開発商品 長野県知事に紹介2025年7月4日
-
障害者のやりがい・働きがい・生きがい「ガチャタマ」で応援 パルシステム埼玉2025年7月4日