シンとんぼ(122) -改正食料・農業・農村基本法(8)-2024年12月14日
シンとんぼには農業の持続的発展と食料の安定供給への切なる思いがあり、この思いが一日でも早く実現されることを願いながら、今後の農業を占う様々な事項についてして持論を展開している。現在、2024年6月に改正された食料・農業・農村基本法をしっかりと学び、同法を理解した上で農業関係者が何をしなければならないのかを思案を巡らせている。実際の具体的な内容については来年3月に出される予定の「食料・農業・農村基本計画」で明らかとなるだろうから、詳細の検討は後に行うこととし、まずは改正法から国の考え方の方向性を探っていこうと思い、条文の理解を進めている。
今回は第二条第6項を掘り下げてみようと思う。この項は、旧法の第4項がそのまま残されている条文で、「国民が最低限度必要とする食料は、凶作、輸入の途絶等の不測の要因により国内における需給が相当の期間著しくひっ迫し、又はひっ迫するおそれがある場合においても、国民生活の安定及び国民経済の円滑な運営に著しい支障を生じないよう、供給の確保が図られなければならない。」とある。
そのとおりである。是非とも確実に実行し、国民を安心させて欲しいと願っている。
ただ、条文を要約すると、「国民が最低限必要とする食料は、国民経済の円滑な運営に著しい支障を生じないよう確保しなければならない」となるが少し気になる点がある。それは、"著しい支障"とわざわざ表現してあることだ。これをうがった見方をすると、「日本国民が飢餓状態になるなど"著しい支障"はなんとしても避けるように国として努力はするが、もし、必要とする食料が十分に調達できず、なんとか命をつなぐぐらいの量しか供給できない状態になっても許して下さい。その時は、ある程度の我慢をお願いすることになるので覚悟しておいて下さい。」といっているように思える。
物が不足している時というのは、得てしてそういうものなのだから文句をいうつもりは毛頭ないが、国民が最低限必要とする食料をどうやって確保しようとしているのか、それが本当に実効性のあるものなのかが気になって何とかなく不安に感じている。後段の条文や基本計画に具体的な方法が盛り込まれるのかもしれないが、これまでも自給率を上げますといいながら、長いこと実現された試しがないので、「考え方はいいけど、本当に実現が可能なの?」と、失礼ながら疑う気持ちになってしまうのはシンとんぼだけだろうか?
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