【今川直人・農協の核心】協同から協働へ2025年1月27日
農協が出資する会社法人は水田・畑作中心
全中は3年に一度JAの農業経営についてアンケート調査を行ってきた。令和4(2022)年12月末時調査が8回目になる。農地所有適格法人への農協の出資が法認された1993年に5法人でスタートした農協主導型(農協出資50%以上)会社法人は2008年に108に達した。直営が可能になった2009年以降この主導型に弾みが付き、今回調査では211法人となっている。主導型に参画型(農協出資50%未満)を合わせた会社型法人の主要な事業(耕種部門)に、「水田農業が中心。野菜→普通畑作の順でこれに続く」傾向が近年固定化している。下記。数字は2022年の取組みの割合である(事業は複数解答。集計数248法人)。
水田農業-水稲作(食用米)60.1%、同作業受託59.3%/水田転作58.5%、同作業受託34.7%
野菜-露地野菜44.4%/施設野菜28.2%
普通畑作(穀物・イモ類)-普通畑作32.3%/同作業受託13.3%
農協の「農業生産」は畜産酪農中心
農協の農業経営は農協が出資する前記会社法人および農協自体の活動の二つから成る。農協自体の農業経営に関する事業は農水省が、一斉調査(総合農協統計表)の「その他の事業」の『農業生産』で取り扱っている。会社法人が耕種部門中心であるのに対して農協自体の事業は畜産酪農中心である。令和4(2022)年度の取り組み農協は「預託」(家畜貸付)167、人工授精91、酪農ヘルパー71、家畜診療21となっている。これら以外では農業経営受託12農協(うち水稲11)、農業経営(農地リース直営)80農協となっている。リースによる農業経営は一斉調査では増加傾向にある。
協同から協働へ
森林組合の組合員は森林所有者及び森林生産組合である。森林生産組合は森林についての権利を組合に現物出資する者及び林業に従事する者を組合員とする生産協同組合(生産手段を共有)である。農協は個別経営間の「協同」を図る流通協同組合であるが、2009年を境に農業生産が可能になったことの意義は大きい。
昨年暮れに決定した令和7年度当初予算の重点の一つは「畜産・酪農収益力強化整備等特別対策」である。飼料自給率34%目標(令和12年度)まで5年を切った意気込みが「特別」に込められる。その中核は「畜産クラスター」である。現在全国に約一千の「協議会」が活動している。令和7年度予算では増頭から1頭当たり生産効率への要件変更、計画期間の変更等を行っている。
事業は自給飼料の増産と、ICT関連機械や施設の導入支援などの農家支援の二本立てである。農協は経済事業、利用事業(TMR=飼料配合、哺育育成センター)、飼料作コントラクター(機械と労力を持つ受託組織)などの活動が期待されている。
農水省が紹介する静岡県函南町のクラスターの事例には、農協が自給飼料生産のコントラクター事業を開始し、その後、コントラクター事業とあわせて自ら自給飼料生産に取り組み、「地域の飼料自給率の向上を図る」と記されている。
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