シンとんぼ(152)-改正食料・農業・農村基本法(38)-2025年7月26日
シンとんぼには農業の持続的発展と食料の安定供給への切なる思いがあり、この思いが一日でも早く実現されることを願いながら、今後の農業を占う様々な事項について持論を展開している。現在、2024年6月に改正された食料・農業・農村基本法をしっかりと学び、同法を理解した上で農業関係者が何をしなければならないのか思案を巡らせている。実際の具体的な内容については先日(4月11日)に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」をもとに詳細を検討することになると思うが、まずは改正法全体の理解を深める方が先決と考え、現在も条文の内容把握をすすめている。今回は第四十三条だ。
第四十三条からは第四節に入り、この節の大テーマは「農村の振興に関する施策」である。
第四節の最初の条文となる第四十三条は、旧法の第三十四条であり「農村の総合的な振興」をテーマにしている。新法の第四十三条第1項の内容は、旧法の第三十四条第1項そのままであり、「国は、農村における土地の農業上の利用と他の利用との調整に留意して、農業の振興その他農村の総合的な振興に関する施策を計画的に推進するものとする。」となっている。この条文はいわゆる理念みたいなもので、何をやるかによって結果が左右されるだろう。旧法と変わっていないので、基本計画の方に目新しい施策が盛り込まれていることを期待したいと思う。
一方で第2項は、「国は、地域の農業の健全な発展を図るとともに、景観が優れ、豊かで住みよい農村とするため、地域の特性に応じた農業生産の基盤の整備及び保全並びに農村との関わりを持つ者の増加に資する産業の振興と防災、交通、情報通信、衛生、教育、文化等の生活環境の整備その他の福祉の向上とを総合的に推進するよう、必要な施策を講ずるものとする」となっている。旧法第2項の「農業生産の基盤の整備」に「農業生産基盤の保全並びに農村との関わりを持つ者の増加に資する産業の振興と防災」が追加されている。旧法で農業生産基盤の整備だけだったものに、その保全が追加されており、せっかく整備した農業生産基盤はきちんと保全して継続的に機能を発揮できるようにしようということなのだろう。ただ、追加された後半部分の「農村との関わりを持つ者の増加に資する産業の振興」はあまりピンとこない。農村を相手に事業を行う産業が振興されれば農村に関わりを持つ者が増加するということなのだろうが、それによって農業生産が活性化するといっているのだろうか? これも基本計画でどんな施策が設定されているのか検証が必要そうだ。
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