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【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】日米関税交渉の評価で見落とされている視点2025年7月31日

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 トランプ関税に対処した日米交渉の結果について、よく頑張ったとの評価もあるが、冷静に見ておく必要がある点が多い。

輸入米しかないというストーリー
 「令和の米騒動」への対応では、随意契約米による「価格破壊」を進める一方で稲作農家を支えて生産振興する対策は出されずに生産現場の不安を放置したまま、備蓄米も使い果たし、次は輸入しかないというストーリーがつくられていたかに見える。トランプ大統領に、もっとコメを輸入しろと言われ、自動車を守るにはコメを出すしかないかのように、譲ってはならない最後のカードであるコメまでが差し出されるストーリーだ。「盗人に追い銭」外交で、すべて剥ぎ取られて、自動車も守れなくなるのは目に見えていた。
 すでに、主食用の輸入米の前倒し投入だけでなく、その他の輸入米も増やして国内の備蓄米に回し、徹底的に国内市場をジャブジヤブにしようとしている。ほぼ使い果たした備蓄米は、本来、国産の新米で補充するのが当前で、その契約も進んでいたのに、その契約を凍結して、輸入米で備蓄を補充する準備がされているのではないか。

7万トンどころか25万トン増に
 まず、TPPで約束した米国からのコメ追加輸入枠7万トンについて、トランプ氏自らのTPP離脱で消えたのだから突っぱねればよいのに、それをどう実現するか、必死に検討してきた。その結果、77万トン(これも本当は最低輸入義務ではない)の輸入枠外ではなく、枠内で、米国米の輸入を現在の「密約」の35万トン前後(77万トンの約半分)から75%程度に増やして約60万トンに、実に25万トンも増やすという。77万トンのうちの60万トンが米国産という異常な「差別待遇」になる。タイや豪州や中国などの他国のアクセス枠は17万トンしかない(図参照)。

文書に残せない「密約」
 しかも、当初から77万トンのうち約半分の35万トン前後は米国から必ず買うと約束していたが、多国間の約束の中に、米国だけを優遇する約束はWTO違反になるので、文書に残せない。そして、「そんな約束は絶対にしていない」と頑なに言い続けてきた。その「密約」35万トンへの上乗せという形になり、密約があったことも白日にさらされてしまった。今回の上乗せ分もWTO違反の2国間合意である。だから、文書に残すことはできないし、そんな約束はないと言い続けるしかない代物だ。しかし、タイや豪州や中国も黙ってはいないのではないか。

国産米に影響がないだろうか
 米国からの輸入米が店頭に並ばなくとも備蓄に回せば、その分、国産米が備蓄に回せなくなるから、国産の主食米市場を圧迫することになり、主食米の下落圧力となる可能性がある。ただでさえ、5年以内にここでコメつくる人はいなくなるという地域が続出している中で、こうした流れは、それを一気に加速してしまうことになりかねない。
トランプ関税合意

拡大される「尻拭い」
 さらに、第一次トランプ政権では、中国が米国との約束を反故にした300万トンのトウモロコシまで「尻拭い」で買わされた。日本側は、「尻拭い」とは国内向けには言えないので、蛾の幼虫の被害のためにトウモロコシを追加購入しないといけなくなったと虚偽の説明をして処理しきれないトウモロコシの追加輸入を発表した。今回は、最初から、トウモロコシに加えて大豆も「尻拭い」で買うことを認めている。「遺伝子組み換え+除草剤+防カビ剤」のトウモロコシと大豆の一層の輸入拡大は消費者のリスクを高めるし、国産トウモロコシや大豆の増産にも水を差すことにもなる。

自動車も失った
 加えて、自動車についても、TPPで日本車への2.5%の関税を撤廃する約束になっていたのを米国に反故にされたが、第一次トランプ政権の2国間交渉で、日本は「米国が2.5%を撤廃すると約束した」と虚偽の説明をして牛肉や豚肉の大幅な関税削減を行う二国間協定を国会承認した。あとで、やはり、2.5%の関税は撤廃されなかったことはバレた。
 しかし、今回は、2.5%どころか、それを15%まで引き上げられたのだから、とんでもない失敗なのであり、25%を引き下げてもらってよかったと言っている場合ではない。しかも、「何でも差し出すから許して」の外交は、「脅せば日本はもっと出す」と当然の如く足元を見られ、25%をちらつかせて、脅され、ゆすられ続けることになる。

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