売り物が230%増 30万俵を超えたクリスタルライス取引会【熊野孝文・米マーケット情報】2025年10月7日
10月2日に開催されたクリスタルライスの取引会では92産地銘柄30万4931俵が売りメニューとして上場された。この数量は、前年同期に比べ倍以上の234%に膨らんでいる。

これほどまでに売り物が急増した要因は、9月末から新米の売れ行き不振が言われる中で各産地の民間業者が一斉に売り物を出してきたためと見られている。
これに対して買い手の卸は全農相対価格より割安なものはスポット的に拾うという動きも見られたが、大手卸ほど静観しており、買い控えられたことから成約率は18%に留まった模様。このため新米のスポット価格が急激に値下がりする可能性もあり、産地業者は戦々恐々としている。
主な産地銘柄の上場数量は表の通りで、いずれの産地銘柄も前年同時期に行われた取引会に比べ売り物が大きく上回っている。東北のあきたこまちは6万7994俵で322%、新潟コシヒカリは1万9153俵で713%となっている。
驚くのはもち米で、前年同期の20倍の9152俵の売り物が出た。もち米の売り物は、北海道風の子もち、秋田きぬのはだ、たつこもち、千葉ヒメノモチ、新潟こがねもち、わたぼしなどまんべんなく出ており、この売り物の数を見ると加工用もち米への出荷を止めて一般米として売りに出しているように見える。このため売り唱え価格も高く4万5000円以下はなく、中には5万円を唱えている玉もある。
もち加工業者に7年産もち米を売り込んでいる業者は「大手メーカーは4万5000円以上では買わない」としており、居所修正が必要になりそうだ。10月3日に行われたSBS入札ではアメリカ産もち精米短粒種に加え、中国産もち精米短粒種も落札されており、今後、立て続けに行われる予定のSBS入札でもち米が落札されると予想されるほか、もち米ミックス粉など調製品の輸入が増えると予想する向きもある。

取引会の結果について、量販店向けの家庭用精米の扱いが多い卸は「全農相対価格より割安な銘柄は応札しても良いと思ったが、まだ相対価格を提示してこない農協もあり様子見」としている。様子見が出来るのは今後さらに値下がりすると予想しているためで、広域銘柄でも3万1000円まで値下がりすると見ている。
この水準になれば5kg4000円以下の精米に仕立てられるためその水準が当面の買い場と見ている。買い場が見えないのが業務用米中心のB銘柄で、業務用米は備蓄米に加え、外国産米との競合が激化している。象徴的な出来事がこれも10月3日に行われたSBS入札での落札結果で読み取れる。卸への売渡価格を見るとアメリカ、豪州、台湾の中短粒種は㎏500円から505円になっている。外国産米取扱業者は「関税341円支払っても上手くやれば㎏486円で入手できる」としており、それよりも高値で落札している理由は、現地輸出業者との契約もあるが、国内の取引先へ年間通じて確実に供給する必要があるためだとしている。大口の中食・外食企業にまとまったロットを供給し続けるには毎回毎回確実にSBS入札で落としに行かなくてはならなくなっている。その分国産米の需要が失われることを意味している。
また、業務用米専門の米穀小売店も取引先が求める価格に合わせるためには備蓄米とブレンドして精米単価を落とさざるを得ず、備蓄米が欠くことのできない原料米になっている。
備蓄米の新米相場に与えている影響は大きく、おおよそ60万tの備蓄米が放出されたことにより端境期用にストックしておいた6年産米が余るようになってきた。このため卸はこの6年産の販売を優先、新米の手当てを急がなくてもよくなった。
それよりも大きな要因はコメの売れ行き不振で、農水省の調査によると卸業者の精米販売量は、8月は小売向けが対前年比87.4%、中食・外食向けが91.0%で合計で87.4%と1割以上も落ち込んでいる。精米の売れ行き不振は暑さのせいもあるのだろうが、新米に関してはいずれの販売業者も荷動きが良くないとしており、販売量が落ち込んでいる。この原因はやはり5㎏当たりの単価が高くなり過ぎたということが大きい。
今回のクリスタルの売り唱え価格は全銘柄加重平均価格(税別)で3万5117円になっているが、昨年の同時期はコメ不足で高騰していたにも関わらず2万6838円であったことを見れば、現在の水準がいかに高いかわかる。
週明けの取引では、仲介業者からかつてないほどの多くの売り物が出ており、新潟コシヒカリも3万6000円を割り込む売り物が出るなど一気に水準を切り下げている。
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