遮熱素材で農業用ファン付きウェア開発 ナノレベルの金属化合物微粒子「SOLAMENT」活用 住友金属鉱山2025年10月7日
住友金属鉱山(東京)は、太陽光をコントロールする素材「SOLAMENT(ソラメント)」を活用し、農作業用のファン付きウェアのコンセプトモデル「HOPE WEAR for Farm」を開発。10月1~3日に幕張メッセで開かれた「農業WEEK」で披露した。

農業WEEKで紹介された「HOPE WEAR for Farm」
「ソラメント」は、同社が国内外で特許を取得している近赤外線吸収ナノ微粒子。酸化タングステンを中心としたレアメタル(希少金属)系の金属化合物をナノレベルに粉砕する技術により、可視光を透過しつつ、温度上昇の原因となる近赤外線を吸収して遮熱・発熱などの機能を発揮する。
「HOPE WEAR for Farm」は、農作業現場での暑熱対策を目的とした屋外作業服で、繊維に練り込まれた「ソラメント」などにより遮熱効果を高め、ファンによって衣服内に取り込まれた空気が生地と肌の間に空間をつくる構造となっている。同社の実験では、外気温28℃の環境で作業した場合、通常の衣服内温度は44℃台まで上昇したが、「HOPE WEAR for Farm」では25℃台に抑えられた。
繊維商社の瀧定名古屋と共同で、「ソラメント」を練り込んだ糸と、紫外線を反射する酸化チタンを練り込んだ糸を組み合わせた生地を開発。ウェアの設計・監修は空調服(東京)が担当した。大阪・関西万博では、この2種類の練り込み糸による生地を使用した日傘が販売されている。「HOPE WEAR for Farm」の今後の販売については、価格設定を含め「協業先と協議中」という。
同社の機能性材料事業本部イノベーション戦略統括部事業化推進グループ戦略企画チームの石橋佳祐チームリーダーによると、「ソラメント」は「金属を取り出す当社のノウハウを生かして用途開発」を進め、これまでにフィルムメーカーのリンテック(東京)が透明性を生かして自動車用および建物用ウインドウフィルム「WINCOS(ウィンコス)」に採用している。また、能任七(石川県かほく市)が「ソラメント」を使った農業用遮熱ネット開発し、国内外で販売しており、農業WEEKでは「SOLAMENTO AgriCool Shade」として紹介した。
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