【浜矩子が斬る! 日本経済】『タコ市理論』は経済政策使命の決定的違反行為だ 積極財政で弱者犠牲に2025年12月5日
経済活動は人間の営みだ。だから、経済活動は人間を幸せに出来なければいけない。だから、経済政策は経済活動が人間を幸せに出来る状態を常に保持することが出来なければいけない。経済政策は、この機能を首尾よく果たすために何を使命とすべきであるのか。
エコノミスト 浜矩子氏
使命は二つある。その一が均衡の保持と回復だ。その二が弱者救済である。使命その一は、使命その二のためにある。使命その二は決定的な重要性を有する。なぜなら、弱者を窮地から救えないような経済は、人間を幸せにすることが出来ない。
どうすれば、経済政策はこのミッションを全う出来るか。それは、ミッションその一を全うすることを通じてである。なぜなら、経済的均衡が崩れると、たちどころに、そして最も深く痛めつけられるのが弱者たちだからである。だから、経済政策にとって均衡の保持はマストだ。それでも、遺憾ながらどうしても均衡が崩れてしまった場合には、経済政策はその復元に全力を挙げて取り組まなければならない。
経済の均衡とは何か。それは、要するに経済活動のバランスが良くとれていることを意味する。バランスの取れた経済とは、どのような経済か。それは、インフレ方向にもデフレ方向にも大きく傾いていない経済だ。そしてそれは、大きな貧富の差をもたらしていない経済だ。格差は歪みだ。歪みを抱えた経済はバランスが取れていない。均衡が崩れている。
インフレ方向に均衡が崩れれば、弱者の生活は行き詰まる。必需物資の値段が手の届かないところに舞い上がってしまったのでは、弱者たちは生きて行けない。生活どころか、生命が脅かされる。デフレ方向に均衡が崩れても、弱者は痛む。必需物資の値段が下がれば、さしあたりは弱者の生活も楽になるかもしれない。だが、物の値段が下がれば、人々の賃金も下がる。物の値段を売れるところまで下げるには、企業はコストをカットしなければならない。その場合、真っ先に血祭に上げられるのは労働コストだ。すなわち賃下げである。人員削減も出て来るだろう。かくして、デフレは弱者たちから生活の糧を奪う。
このような事態がどんどん深化していくことを阻止する。それが経済政策の第一の使命だ。格差経済のどん底に追いやられる人々をそのような暗くて寒い場所から救出するためにも、経済政策は均衡の保持・復元というその第一の使命を果たさなければならない。
さて、以上の構図を踏まえて考えた時、筆者がタコ市さんと名づけた高市首相の経済政策はどのように評価すべきか。経済政策の二つの使命に照らしてみれば、端的に言って全くの不合格である。
タコ市首相は、ひたすら強い経済を追求する。強くて大きくて稼げる経済を構築する。それを目指して「責任ある積極財政」なるものを展開しようとしている。戦略産業の振興のための大盤振る舞い。軍拡のための大盤振る舞い。これらの財政拡張政策によって経済活動を刺激し、高い経済成長率を実現する。高い経済成長率が実現出来れば、それに伴う税収増のおかげで財政状況も健全化する。これぞ「責任ある積極財政」にほかならない。そういう論法だ。
さらには、税収増で賄えない「積極財政」実現のためなら、国債発行も問題なしだという。なぜなら、新たな国債発行で公的債務残高が増えても、高成長でかさ上げされたGDPに対する債務残高比率は上がらない。大量の追加国債発行で金利に上昇圧力がかかっても、経済成長率が金利を上回れば問題ない。これが「タコ市の理論」だ。
このような理論が経済政策の二つの使命にかなうか。とんでもない話だ。財政大盤振る舞いはインフレをあおる。金利上昇を促す。戦略分野への財政資金の集中投入は弱者救済を犠牲にする。タコ市の理論の全てが経済政策のミッション違反だ。許すまじ!
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