シンとんぼ(167)食料・農業・農村基本計画(9)肥料高騰の長期化懸念2025年11月8日
シンとんぼには農業の持続的発展と食料の安定供給への切なる思いがあり、この思いが一日でも早く実現されることを願いながら、今後の農業を占う様々な事項について持論を展開している。
その一環でシンとんぼでは、大本の法律である食料・農業・農村基本法(2024年6月改正)の条文の理解を深め、シンとんぼなりに基本法をしっかりと学べたのではないかと思っている。
現在、同法の理念を実現する具体的な内容を記した(であろう)2025年4月11日に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」(以降、「基本計画」)の詳細を検討しながら、基本法の理念がどのように反映され、どうやって実現しようとしているのか等を検証し、農業現場で何がなされなければならないのか探ろうとしている。
現在、第2部食料安全保障の動向のうち「世界の食料供給の不安定化」の要因として挙げられている事項について紹介しており、前回は農地面積の増加ペースの鈍化と作物の単収の伸び悩みについて紹介したので、今回は残りの要因をみてみようと思う。
農地面積と単収の次に要因として挙げられているのが肥料原料の入手しづらさだ。肥料原料の国際価格は塩化加里など一時期軟化したものもあったが、尿素やリン安など中国の輸出規制が影響する原料などのように上昇を続けているものや再び上昇に転じたものも出てきており、その影響で肥料の製品価格は相変わらず高止まりとなっている。肥料原料は産出国が偏在しており、世界的な需要増によって長期的にも価格の高止まりが続くと予想されており、肥料不足が食料供給の不安定化につながる可能性が指摘されている。
また、バイオ燃料向けの作物需要量は、先進国では需要増加に鈍化が見られるものの、全世界でみれば今後10 年間で年率1.3%増加すると予測されている。これに伴ってバイオ燃料向けの原料作物の需要の増加が見込まれて、これも食料供給の不安定化の要因になり得ると考えられている。
加えて、干ばつや洪水、熱波など気候変動による作物の単収減や、価格の高騰をにらんだ農産物市場への投機資金の流入による国際的な食料価格の乱高下も食料供給の不安定化につながる可能性があるとみられている。
前回と今回で紹介した「世界の食料供給の不安定化」の要因は今まさに進行中であり、対策がまった無しの状況である。農業関係者も作物の生産性向上などの自らの努力で改善が可能なものはしっかりと取り組んでいかなければならないのだろうと強く感じた次第である。
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