花市場でじわりと広がる対面・早朝せり廃止とオンライン・夜せり移行【花づくりの現場から 宇田明】第73回2025年11月20日
オランダをモデルにしてきた日本の花市場は、再編・大型化から30年を経て、新たな段階に入ってきました。
市場の命といわれる対面せりを廃止し、オンラインせりのみへの移行です。
今回は、2020年からオンラインに移行し、5年が経過した花市場のその後を紹介します。

1990年代からのオランダモデルへの再編大型化については当コラム第31回で、大阪鶴見花き卸売市場(なにわ花いちば・JF鶴見花き)が対面せりを廃止した経緯は第32回で、すでに紹介しました。
これまでは、花市場のせりは早朝せりが一般的でした。
しかし、鶴見市場はオンラインせり全面移行に合わせて、せり日とせり開始時間をも変更しました。
花市場には、「切り花」と「鉢もの・苗もの」があり、それぞれ形態も流通も異なるため、せりの曜日がわかれています。
切り花は月・水・金に、鉢もの・苗ものは火・木・土にせりがあります。
鶴見市場はオンラインせりへの移行に伴い、切り花のせりを日・火・木の19時からの夜せりに変更しました。
せりが半日早まったことで、花屋が落札した花は翌朝に引渡せるようになりました。
それらの変更は、市場にはきわめて大きなメリットがありました。
・せり運営の省力化で人員削減
・せり場の維持管理費が不要
・早朝、深夜勤務がなくなり働き方改革が進む
・地方市場などへの転送に時間的余裕が生まれる
市場には、コスト削減と業務効率化というきわめて大きな効果がありました。
では、生産者や花屋にはどんな影響があったのでしょうか。
生産者
メリット
・作業の前倒しで、ほかの市場への出荷情報をより早く正確に出せる
デメリット
・出荷作業を前倒ししなければならない
・大阪鶴見市場以外の「早朝せり市場」との出荷時間調整が必要
・丹精を込めてつくった花を直接花屋に見てもらえる機会がなくなった
生産者には、自分がつくった花をコンピュータ画面上の静止画像でしかみてもらえない取引にとまどいがあります。
花屋(小売)
メリット
・遠隔地の花屋もせりに参加できる
・店の業務終了後にせりに参加できる
・せり時間が短縮され、業務効率が向上
・朝の業務開始時には花を入手できる
デメリット
・現物を見ることができない
・市場担当者や同業者とのコミュニケーションが減り情報収集が難しい
花屋には、デメリットはあるものの、業務改善がはかられ概ね好意的に受け入れられています。
実際、大手市場では以前から、せりの比率は1割ほどで、取引の9割はせり前のWebによる相対取引が主流です。
そのため、花屋にとってオンラインせりは、決まった時間のライブ配信を見るだけであることも、円滑な移行を後押ししたようです。
輸送業者
メリット
・着荷時間が分散し、市場入場がスムーズ
・産地からの出発時間が早まり、輸送時間に余裕
輸送業者には、物流効率が向上しました。
対面せり廃止、オンライン・夜せり移行は、追随する市場が出ていることが利点の大きさを物語っています。
2022年からはJFT姫路生花が対面せり廃止、オンライン・夜せりに移行しました。
今後、福岡花市場と西日本花きが予定をしています。
大阪鶴見市場2卸とあわせた5卸の取扱高は586億円(2024年)で、全国花市場の17%、関西市場では4卸で70%を占めるまでに短期間で拡大しています。
対面せりを廃止した卸売業者はいずれも地方卸売市場で、中央卸売市場より行政の関与が小さく、改革に踏み切りやすかったことが背景にあります。
オンライン・夜せりは市場には省力化・効率化という大きな成果を生みました。
今後、この改革がより広く定着するためには、市場が得た利益をどのように生産者、花屋に還元するかが重要なポイントになります。
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