今年度下期に成長加速も17年度は反動減-農中総研見通し2016年5月24日
農林中金総研は5月23日、2016~17年度の経済見通し改訂版を発表した。今年度後半に一旦成長は加速するものの、17年度には再び景気が停滞する可能性が高いと予測している。
内閣府が5月18日に公表した1~3月期のGDP速報では、実質成長率は前期比0.4%、年率換算1.7%と2四半期ぶりのプラスとなった。しかし、閏年効果によってGDPは0.3ポイントほどかさ上げされていると見られており、実態としてはほぼゼロ成長か、わずかなプラス成長だったと指摘されている。
農林中金総研では4~6月期は閏年効果の剥落で消費に反動減が出る可能性に加え、熊本地震の影響が出るとみる。さらに世界経済、欧米先進国は緩やかな景気回復が続いているが、中国経済とその近隣諸国では減速傾向が続き、輸出全体の伸びも見込めないという。
その一方で、民間の設備投資は低金利と根強い更新需要、東京五輪などに向けた需要に支えられて増加に転じるとみる。ただし、4~6月期は前期比▲0.1%、年率換算▲0.5%とわずかではあるが、2四半期ぶりのマイナス成長と予想した。
その後も中国など新興国経済の成長減速から輸出環境の改善は見込めない状況は続くが、実質賃金の上昇率の高まりや、低金利の影響による住宅・設備投資の増加などの影響で7~9月期は再びプラスに戻ると予測。
さらに年度下期は消費税10%引き上げにともなう耐久消費財の駆け込み需要が「小さいながらも発生し始める」とみるほか、消費税引き上げの影響緩和対策が実施されると見込まれるため、成長率は高まると予想する。
その結果、16年度の実質GDP成長率は0.9%、名目GDP成長率は1.5%と予測した。また今年度下期には失業率は3%割れとなると見込まれ、人手不足感は徐々に強まるという。
一方、17年度については、消費税引き上げ後の反動減からの需要水準の落ち込みが予想される。その結果、17年度の実質GDP成長率は▲0.1%と3年ぶりのマイナス成長を予測した(名目GDP成長率は1.8%と予測)。
ただし、これらの見通しは消費税が予定どおり来年4月に10%へと引き上げられることが前提だ。仮に引き上げが再延期されることになった場合、農中総研は16年度の実質GDP成長率は0.6%程度になると予測。その場合、17年度の景気停滞は回避されるとみている。
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