国内景気は低迷 海外の減速 物価高の影響 農中総研見通し2023年2月20日
農林中金総研は2月17日、今後の経済見通しを発表した。海外経済の減速や物価高の影響で国内景気は低迷する予測で12月時点の見通しより下方修正した。
足元の1~3月期は、インバウンド需要の回復や需要喚起策によるサービス消費の持ち直しが想定されるが、物価高騰によって実質所得は大きく目減りしており、消費全体の動きは鈍い。また、今後は世界経済の減速にともなって輸出の減少傾向が強まる可能性があると農中総研は見込む。
また、コロナ第8波や物価高によって消費行動の抑制も続いているほか、価格転嫁の遅れが企業業績を悪化させる側面もあり、企業の設備投資も弱含むという。その結果、経済成長率は前期比率0.4%と2期連続のプラスながら、22年度の経済成長率は12月時点の1.4ポイントを下方修正し1.2%と見込んだ。
23年度に入ってからは欧米など先進国の経済は一段と減速し輸出と生産活動は影響を受けると予測しているが、春闘で一定の賃上げは実現する見込み。
大手企業の定昇率は1.8%程度とされることから、ベースアップ率は概ね1%程度と考えられる。一方、物価見通しは22年度前年度比3.0%が、23年度は同2.1%、24年度は同1.7%へと鈍化するものの、賃上げが物価高を補うには至らず、年度上期の民間消費は盛り上がりに欠けるとみる。
その結果、23年度上期は半期ベースで前期比▲0.2%のマイナス成長を予測している。
下期には中国経済の回復力が高まるほか、前述のように国内物価も沈静化が進み、持ち直しが再開され下期は半期ベースで同0.2%と見込む。その結果、23年度を通じて0.1%の低成長にとどまると予想している。
24年度は米国の利下げ転換を予測、世界経済の回復期待が高まり、国内景気も持ち直し傾向が続くとみて、1.4%成長と予測している。
雇用情勢は改善傾向にあるという。3.1%まで高まった失業率は昨年12月は2.5%まで低下した。有効求人倍率も1.04倍まで低下したが、12月には1.35倍まで回復している。
失業率は23年度2.6%、24年度2.4%と予測している。賃上げについては大企業では機運が高まったが、雇用者の7割が働く中小企業までは広がらず、消費者物価上昇率に見劣りしないベースアップ実現(1~2%)にはまだ時間がかかるという。
日銀は4月に経済学者の植田和雄東大名誉教授が新総裁に就任する見込みだが、23年内は内外景気情勢の厳しさや物価2%割れなど想定されるため、農中総研は金融引き締めとなる「政策正常化への着手は見送られるだろう」と予測している。
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