農作業事故の危険をVR体験で学ぶ 都立園芸高校で安全授業 JA共済連2023年6月22日
JA共済連は6月21日、東京都世田谷区の都立園芸高校で生徒を対象にした農作業安全授業を開いた。生徒たちは、農作業事故を防ぐために開発された「農作業事故体験VR」による疑似体験を通して農作業事故の危険性を学び、「実習で様々な農機具を使うので安全に気を付けて作業したい」などと話していた。
農作業事故の危険をVRで疑似体験しながら学ぶ生徒たち(東京都立園芸高校で)
農作業安全授業は、JA共済連が、これから本格的に農業を学ぶ高校生に農作業事故について適切な知識を学び、対策を身に着けてもらおうと開いたもので、同校園芸科1年の生徒約70人が参加した。
はじめにJA共済連農業・地域活動支援部の和泉崇之次長が農作業事故の現状などを講義した。この中で、農業の死亡事故件数は10万人当たり10.5件発生し、危険と思われがちな建設業の約2倍に上っており、事故防止が非常に重要な課題になっていると強調。背景としてぬかるみや傾斜での作業が多いことや、農機具などの使用、一人で作業する機会が多いことなどがあると説明し、農作業事故を疑似体験できるVRなどを通して安全への意識を高めてほしいと呼びかけた。
「農作業事故体験VR」は、JA共済連が農研機構と開発した、トラクターの転倒事故や耕うん機の挟まれ事故など発生の多い8種類の農作業事故を疑似体験できる装置で、生徒たちは交代しながらゴーグルを装着したり、正面のスクリーンにも映し出された映像を見たりしながらそれぞれの事故の原因や安全対策について学んだ。
このうち学校の実習でも使用される脚立を使った果樹の収穫作業中の転落事故では、天板で作業したことや離れたところにあるリンゴを取ろうと身を乗り出したことが事故につながったことが解説され、生徒たちは転落シーンでは声を上げたりして事故の怖さを実感していた。
授業を終えた生徒たちは「安全を確保のすることの重要性を実感できた。実習などで様々な農機具を使うので安全に気をつけたい」「農業には危険がつきもので気が抜けないと思った。家族にも教えてあげたい」「2、3年生になると果樹の剪定で脚立を使うので気を付けたいと思った」などと感想を述べていた。
同校の並川直人校長は「農業を学ぶうえで安全管理は非常に重要なので、これから本格的に学ぶ1年生を対象にした。模擬体験を通して農作業事故の危険性を自分ごととして捉えられたと思う」などと話していた。
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