「新大コシヒカリ」23年産米 一般コシより品質低下を軽減 中干し延長で食味向上も 新潟大2023年12月7日
新潟大学と刈羽村先端農業バイオ研究センターの研究グループが開発した高温耐性を持つ「新大コシヒカリ」の2023年度実証試験結果について12月6日、同大農学部の三ツ井敏明教授が新潟市内で発表した。異常な高温と干ばつが続いたが、コシヒカリBLと比べると品質低下は軽減されているという。

新大コシヒカリは従来のコシヒカリのなかから高温耐性・高CO2耐性を持つ突然変異を起こした株を三ツ井教授らが育成し2020年3月に品種名コシヒカリ新潟大学NU1号として登録し、県内の農家や法人の協力を得て実証栽培を行ってきた。
23年産は県内12市町の栽培地域を広げ7.47haの規模で実証試験を行った。協力した農家はそれぞれ一部のほ場にNU1号を作付け、肥培管理等は通常のコシヒカリBLと同じように行った。
新潟県では今年8月の平均気温が30℃を超えるかつてない異常高温に加え、少雨による渇水が各地で発生するという厳しい環境となった。
その影響は大きくNU1号玄米の平均整粒率は61%で昨年の80%から大きく下がった。未熟・被害粒38%で全体では1等に届いていないと判断された。ただ、同じほ場のコシヒカリBLと比べると整粒率は14%高かった。
精米した白米には白濁粒が見られたが、白米完全粒率は90%前後で機器分析による食味評価の総合スコアは80で炊飯米のツヤを評価する味度値は80を超え「しっかりと良食味を維持していることを示した」とした。
コシヒカリBLとくらべて食味値は2ポイント高くNU1号では品質低下が軽減されたという結果で、さらに収量も10a当たり平均453kgと昨年度の同419kgより8%の増収となった。こうした結果から、この品種は高温耐性に「やや強」と三ツ井教授は評価する。
また、今年度は中干し期間を通常の14日間に加えて、20日間、28日間の2つの延長期間を設定し、メタンガスの排出量と米の品質などを調査した。
その結果、中干し期間の延長によってメタンの排出量が通常期間より60~70%減少した。
さらに味度値を調べると通常の14日間では85だったのに対して、20日間では88、28日間で86と向上することが示された。また、28日間中干しの収量は同453kgで昨年の同じほ場の同426kgに比べて6%増収になった。
一方、コシヒカリBLでは中干し期間の延長で食味スコアが若干低下する傾向も見られた。三ツ井教授は慎重な検討が必要としながらも、NU1号では中干し期間の延長がメタンガス排出の削減につながるだけでなく、収量と品質を向上させる可能性があるとして今後、さらに中干し期間の最適化の研究を行うという。
三ツ井教授は「コシヒカリは新潟にとって重要な品種」だとして、NU1号の栽培面積を増やすにあたって中干し期間の延長など環境に配慮した農業生産に積極的に取り組む生産者とともに普及していきたい考えで「米の付加価値を高める挑戦とともに、乾燥耐性や耐塩性をつけるなど、よりよい品種となるよう研究を続けたい」と話している。
「新大コシヒカリ」は現在、新潟伊勢丹、日本橋三越、新宿伊勢丹、西武池袋などで販売している。
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