米の作況指数 「農水省発表マイナス5が新潟の実感」 新潟大・伊藤助教が指摘2025年1月17日
流通段階で米の不足感が強まりスポット価格は高騰の一途をたどるが、米は本当に足りないのか。新潟大学農学部の伊藤亮司助教は、米どころ・新潟の実際の作況は農水省発表より悪いのではないか、との見方を示す。

新潟の水田稲作事情を解説する新潟大学農学部の伊藤亮司助教(左)=1月16日、東京・日本記者クラブ
新潟大の伊藤助教は、1月16日の都内で開かれた「令和の百姓一揆」に関する記者懇談会で、新潟の稲作事情を語った。
取れてないし、集まらない
農水省は2024年12月、「作物統計調査 令和6年産水陸稲の収穫量」を公表し、新潟県の作況指数は「98」とした。それについて伊藤さんは「作況指数マイナス5くらいが現場の実感だ。数値以上に取れないし、集まらないと肌身で感じる」と述べた。
ヒエ増えた背景に人手不足
新潟の田んぼを見るとヒエが多くなっているとし、その原因として、主に大規模法人で「人手があまりに不足しているため、適期に除草剤が撒けていない。肥料が雑草に吸われ、歩留まりが悪くなっている」とした。
新潟に限らず、人手不足から農業法人の「雇い負け」が生じ、作業の手が足りないとされる。伊藤さんは「土自体が弱っている」とも指摘した。
「大規模化=効率的」の図式に疑問符
農水省は、全国作況指数は101で、2024年産の主食用米の収穫量は679.2万トンで23年産より18.2万トン多いとするが、大規模法人を中心に「実際の作況は農水省の数字より悪い」との声は多い。「大規模化すれば効率化が進み反収が上がる」とは言い切れなくなっている。
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