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【自民畜酪委】生乳需給緩和に危機感 業界挙げ需要拡大へKPI2025年6月23日

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自民党畜産・酪農対策委員会は、持続可能な酪農経営に向け生乳、国産牛乳・乳製品需要拡大の論点を整理した。今後、業界一体で具体的目標数値であるKPIも設定し、需要拡大を進めていく。生乳は需給緩和基調で危機感が高まっており、年度後半の生乳不需要期の対応も大きな課題となってきた。(農政ジャーナリスト・伊本克宜)

消費低迷で大手メーカーでも牛乳値下げが出てきた(東京都内スーパーで)消費低迷で大手メーカーでも牛乳値下げが出てきた(東京都内スーパーで)

■酪肉近フォローアップ

自民党畜酪委は、2025年度から5年間の新たな酪農・肉用牛生産近代化基本方針(酪肉近)のフォローアップの一環で、最大の課題である生乳需要拡大をどう担保するかで議論を重ねてきた。これらを踏まえ、6月18日の同委で実質的な論点整理となる牛乳・乳製品の需要拡大の「視点」を示した。

新酪肉近で焦点の一つとなったのは、生乳生産目標をどうするのか。これまでの酪肉近で2030年度780万トン目標が掲げられた経過があるため、生産者意欲を踏まえ増産目標を示すべきだとの意見が酪農団体から強かった。だが農水省は脱粉過剰や牛乳の需要低迷を重視し、現行生産水準の732万トンに「据え置き」とした。さらに、おおむね10年後(2035年)の「長期的な姿」として前述した780万トンを挙げた。だが、これは政治的な配慮に他ならない。

それだけ、需給見通しが厳しいことを示す。ではどうする。それが今回の自民党畜酪委での需要拡大の「論点整理」だ。先の酪肉近議論でも生乳需給緩和を招いている非系統・自主流通の対応など改正畜安法の課題、欠陥にも切り込んだ簗和生委員長の問題意識は的を射ている。「需要なくして生産なし」を踏まえ、生乳需要を再び拡大路線に乗せ、国内酪農を持続可能な増産体制にするためだ。

ここで、新酪肉近を見よう。
〈酪肉近の生乳需給変化と対応方向〉
・ソフト系国産ナチュラルチーズの競争力強化
・牛乳や脱脂粉乳の商品開発と需要拡大対策の推進
・牛乳や乳製品の輸出促進
・生乳の年間安定取引のための規律強化、脱粉、バター需要の跛行(はこう)性など全国的に生産者・事業者が取り組むべき課題への対応

「対応方向」で、まずソフト系国産ナチュラルチーズの拡大を挙げた。今後とも需要増が見込まれ、生産者乳価も比較的高いカマンベールなどソフト系国産チーズの振興を掲げた。自由化の進展で関税率が年々下がり、国内チーズ需要の主流であるプロセスチーズの関税割り当てによる国産比率が削減することへの対応だ。明治、雪印メグミルク、森永、よつ葉の4大メーカーをはじめ各乳業ともチーズ増産体制を強めてきた。

次に、牛乳、脱粉の需要拡大と輸出促進は、今回の自民畜酪委で具体的な提案が出た。最後の生乳年間安定取引の規律強化、脱粉・バター跛行性と全国的な取り組みは、極めて回りくどい表現となっているが、規制緩和で強行された改正畜安法の「欠陥」を少しでも是正するための対応だ。

■12月畜酪でも「需要拡大」課題に

こうした中、自民畜酪委で示した需要拡大への「視点」は以下の通り。
〈需要拡大へ取り組み「視点」〉※自民畜酪委
・数値目標(KPI)掲げ業界一体の取り組みを拡充
・各世代の一人当たり消費増へ酪農や国産牛乳・乳製品の価値を広く訴求
・輸出やインバウンド需要拡大へ業界の体制を充実
・国産飼料に立脚し、安定した生産基盤の実現
・政府には需要拡大関連予算の充実を求める

18日の自民畜酪委の冒頭、簗委員長は「需給緩和の中で営農継続、安心して生乳を搾れる環境づくりが重要だ。その一丁目一番地が需要拡大をしっかりやること」と強調。生乳不需要期の処理不可能、最悪の生乳廃棄なども念頭に、12月の畜酪論議でも需要拡大、不需要期対応がテーマとなるとした。
出席議員から「LL(ロングライフ)牛乳の輸出の際の手続き簡素化を進めるべきだ」「地方公共団体の役割を明記すべき」「学乳がなくなる高校生、大学生の牛乳・乳製品の需要拡大も重要だ」などの指摘が出た。

野村哲郎総合農林政策調査会顧問(元農相)からは加速する酪農家の離農を踏まえ、「農水省は全戸調査を行い後継者有無の実態把握を急ぐべきだ。酪農家が減れば消費拡大どころか生乳が足りなくなりかねない」との問題提起もあった。これは昨秋の指定団体受託農家1万戸割れとも絡む。「視点」に掲げた一つ「国産飼料に立脚し、安定した生産基盤の実現」ともつながる問題だ。

農水省は各種調査を行っているとしたが、離農加速をもっと深刻に受け止めるべきだろう。農地に着目した直接支払いと所得補償の検討、輸入飼料依存の加工型酪農からの転換は喫緊の課題だ。特に、酪肉近でも議論となった国産飼料は、青刈りトウモロコシの国産粗飼料ばかりでなく、子実用トウモロコシ増産など輸入濃厚飼料代替の政策拡充も待ったなしの課題だ。新酪肉近では、飼料自給率を現行から26%からわずか1ポイントアップと事実上の「据え置き」となった。輸入飼料との大きなコスト差の課題はあるが、粗飼料、濃厚飼料も含めた国産飼料に立脚した持続的な酪農経営実現こそが、大きな酪農行政の命題に据えるべき課題だ。

■Jミルク「需要拡大」数値目標を検討

自民との「需要拡大」の要望を受け、生・処・販で構成するJミルクは業界内で需要拡大の指標、KPIを検討する方針だ。

また、業界内外のコラボ、連携の推進として全国各地で牛乳・乳製品の新たな価値の掘り起こし、魅力あるストーリーの発信、需要低下の冬から春先のカフェラテ、ホットミルク、ミルク鍋、乳和食など飲み方、食べ方を提案。特に学校と連携した食育、流通、小売り、観光業者とのコラボで、実際の消費・利用で需要創出・拡大を図るとしている。

■政策的支援が不可欠

だが、実際の牛乳・乳製品の需要拡大には、政策的な支援が不可欠だ。

12月の畜酪論議でも焦点となるのは、具体的な予算措置が欠かせないためだ。また、乳の価値訴求、高校、大学生への需要拡大には農水省ばかりでなく厚労省、文部科学省など関係省庁の横の連携も必要となる。自民畜酪委でも省庁間の協力、地方自治体も含めた関係者一体での需要拡大対応の重要性も指摘された。

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