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【クローズアップ】全酪連・全農が「らくのう乳業」設立 系統主導で需給調整強化へ2025年10月3日

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系統主導で生乳需給調整機能強化へ具体的な動きとして、全酪連、JA全農など4生産者団体は10月1日、福島県郡山市に新たな乳製品会社「らくのう乳業」を設立した。3年後には新乳製品工場が稼働する予定。酪農・乳業界の大きな課題である都府県での加工処理対応が、東日本地区で拡充する。(農政ジャーナリスト・伊本克宜)

2028年末稼働予定の「らくのう乳業」郡山工場(福島県郡山市)のイメージ図2028年末稼働予定の「らくのう乳業」郡山工場(福島県郡山市)のイメージ図

■3年後に新工場稼働、画期的な総合、専門農協へ共同出資

全国連、指定団体で構成する中央酪農会議は今回の系統主導の乳製品会社、工場建設の動きを「総合農協、専門農協が共同歩調で対応するのは国内酪農需給安定にとって大きな意義を持つ。関係する指定団体も一部だが出資に加わり酪農系統挙げた対応となったことも重要だ」と見る。

設備投資は合計165億円程度で3年後の2028年末の稼働を見込む。岩手県二戸市にある老朽化した既存工場(全酪連北福岡工場)に代わり、福島県郡山市の新工場では生乳処理能力を1日当たり280トンから最大400トンに拡充する。バター、脱脂粉乳、生クリーム、脱脂濃縮乳を製造する。東日本では、北福岡工場以外にも小岩井乳業小岩井工場(岩手県雫石町)、森永乳業福島工場(福島市)、全農筑波玉里工場(茨城県小美玉市)の3工場がある。

総合農協と専門農協が共同出資する形で、系統主導で需給調整機能を高め酪農家の生産基盤維持へ具体的に動き出したことが大きなポイントだ。全酪連と全農が共同で事業展開するのは初めて。農協ブランドのバター製造など新商品開発も視野に入れる。

新会社の資本金は19億2000万円。出資比率は全酪連と全農が各49・5%。東北生乳販連と関東生乳販連がそれぞれ0・5%。全国連に加え、関係指定団体も加わった意味合いも大きい。東北、関東の両生乳販連の管内は、2023年度生乳生産量で都府県全体の51%、乳製品仕向けの販売量で64%を占めている。

■今回は東日本、課題は西日本

需給緩和期の対応を踏まえ、Jミルクの渡辺裕一郎専務は9月30日の会見で、今回の新乳製品会社設立に伴う需給調整の役割発揮に期待を示した。

同専務は「加工処理、生乳需給調整機能の発揮に期待したい。現状は都府県で7カ所の加工処理工場があるが、老朽化などもあり、生乳受け入れ態勢も限界に近い。今回の全酪連、全農などの福島での新会社設立は東日本地区を視野に入れたもの」と評価。一方で「新工場稼働は3年後だ。当面は業界挙げた国産牛乳・乳製品の需要拡大を強力に進める必要がある。既存乳製品工場の稼働率最大化や市乳工場におけるタンク貯乳量の最大化、生乳使用率の高い製品の販売促進が問われる」と、喫緊の対応の乗り切り策を具体的に挙げた。

4月からスタートした新酪肉近でも「都府県を中心とした生乳需給調整能力の維持・強化が課題」と明記。今回の新工場建設は酪肉近の問題意識と合致する。農水省も「生乳需給調整基幹施設整備事業」などで建設費を支援する方針だ。西日本でも関係者の協議が具体化すれば、需給調整工場の整備・能力拡充などで国の支援が求められる。

■斎藤全農専務「いかに酪農基盤守るのか」

全酪連、全農が4者共同出資の新たな乳製品製造会社設立を発表したのは7月25日。同月31日の24年度事業実績を了承する全農総代会後の記者会見で、筆者は畜酪担当の斎藤良樹全農専務に、新乳製品工場建設の狙いを聞いた。斎藤専務が強調したのは「生産者の全国組織、協同組合組織として、いかに酪農家の生産基盤を守り抜くか」だと述べた。

「改正畜安法で生乳流通自由化が進み、非系統の割合が増し生乳需給調整に重大な支障が出ている。指定団体傘下の受託酪農家戸数は1万戸割れで9000戸に近づく。特に都府県での加工処理施設の不足は大きな課題だ。

こうした中での全農、全酪連、指定団体共同出資の乳製品新会社、工場建設の背景と狙いについて齋藤専務は「酪農家の離農が加速している。持続可能な酪農経営には生乳需給安定が欠かせない。こうした中で都府県の加工処理体制の拡充が急務と判断した。今回は東日本地区だが、西日本地区も同様の課題を抱えている。全農も生乳需給調整対応に積極的にかかわり酪農の生産基盤維持・強化に貢献していきたい」とした。

■不需要期の加工処理に難題

酪農乳業界の喫緊の課題は二つ。夏場の生乳最需要期の北海道から本州への供給体制と年末年始、年度末の不需要期の需給調整と乳製品への加工処理対応だ。いずれも飲用牛乳の安定的な需要先である学校給食用牛乳の再開と停止が関係している。

2025年度は、二つの課題のうち夏場、特に学乳再開直後の9月上・中旬の生乳需要ピークは主産地・北海道の生産「上振れ」や都府県の生乳生産の頑張りで、ほぼ混乱なく乗り切った。

今後の難題は年末年始、3月学校春期休校の年度末の生乳需給緩和期対応だ。

■Jミルク「課題と対応」でも強調

Jミルクは、9月30日の2025年度生乳需給最新見通しの会見で「当面の課題と対応」を示した。ここでも学乳停止に伴う年末年始などの業界挙げた需給緩和期対応に言及した。

具体的に挙げたのは、今年3月の年度末での"薄氷"需給調整対応だ。実は3月の脱脂粉乳・バター等向け処理乳量は、コロナ禍で生乳需給が大きく緩和した2021年度の水準を上回る中でぎりぎりの調整が進められていた。広域需給調整をはじめ指定団体と乳業各社の生・処が協調して処理の最大化に取り組むことで、生乳廃棄を出さずに乗り切ることができた。「課題と対応」では、「処理工場やドライバー人員確保に困難な状況が続く中で、今年度は前年度以上に厳しい加工処理の対応が求められる可能性がある」とした。加工処理施設が極めて限られるため、そこまで飲用で処理できない原乳を運ぶ必要があるが、物流全体の課題である運転手のめどが立たなければ輸送できないためだ。

今回の系統主導の加工処理施設拡充の動きは、こうした課題への対応でもある。

■改正畜安法で問われる需給調整

用途別過不足が繰り返される中で、酪農の持続的経営、生乳の安定供給には全体的な需給コントロールが欠かせない。酪農不足払い法に基づく生産者補給制度のもとで一元集荷・多元販売する広域指定団体が役割を果たしていた。だが「官邸農政」による農政改革、規制緩和の一環で2018年度から生乳流通自由化を柱とした改正畜安法施行に伴い、非系統の自主流通グループの生乳取扱量が50万トン近くまで拡大。需給調整の課題が一挙に顕在化した。

今回の系統主導の需給調整強化の動きは、こうした中での具体的対応策の大きな一歩と位置づく。農水省も一層の支援強化が問われる。

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