農薬:サステナ防除のすすめ2025
【サステナ防除のすすめ2025】施設トマト病害虫対策 換気×生物農薬で持続的管理を2025年10月3日
トマトがキュウリを抜いて、果菜類の中でのトップシェアを誇るようになって久しいが、近年では大玉系の他に、中玉(ミディ)や小玉(ミニ)のもの、高糖度を謳(うた)うものや、赤や黄色をミックスしたカラフルで洒落たパッケージの高級感のあるものなど、様々なコンセプトのトマトがところ狭しと量販店の青果物売り場に並んでいる。
このトマトは、夏場の暑い時期というのは、木が過繁茂になったり着花数が減ったりして、品質のよいトマトで収量をあげるのは難しいものだが、猛暑の夏がようやく去り、トマトの栽培に適した時期が到来する。ただし、この時期には夏場とは違った病害虫の発生もあり、この時期なりの病害虫防除対策が必要だ。
今回は、この時期に必要なサステナ的防除のあり方を整理してみた。
薬剤適正確認を
施設内は病害虫のパラダイス
秋から冬にかけては、オオタバコガなどの大型チョウ目害虫の発生が多く、冬から春にかけては、低温を好む病害の発生が多くなるのが一般的だ。
特に施設栽培では、トマトにとって快適な条件となるように設定・管理されるので、病害虫にとっても快適であることは間違いない。そのため、うどんこ病など1年を通じて発生する病害も少なくないので、自身の施設で発生する病害虫を把握し、年中発生する病害虫を中心に防除薬剤の選択(1成分で他の病害虫にも効果があるものなど)を行うようにすることをお勧めしたい。
以下、主な病害虫の防除対策を整理した。トマトには数多くの登録薬剤があるので、一つの薬剤で複数の病害虫を選択する目安とするため、薬剤毎の適用病害虫がわかるよう整理した。このため、使用方法や収穫前使用日数など実際の使用の際に必要な情報は省いてあるので、実際の使用の前に使用する農薬のラベルをよく読んで理解し、正しく使用するようにしてほしい。また、抵抗性や耐性菌対策(同じ作用性のグループの薬剤を連続使用しないこと)を意識しやすくするために、農薬の成分系列ごとに整理してあるので、ローテーション薬剤の選択の際には、この成分系列の異なる薬剤を選択するようにするとよい。また、文中は具体的な商品名について明記していないので、商品名を確認したい場合は、一覧表(JAcom掲載)で確認するようにしてほしい。
有効成分名は種類名を付記したので、あわせて確認するようにしてほしい。
農薬名が違っても有効成分が同じ場合があったりするので、ローテーション散布の検討や有効成分別使用回数を確認する場合には、必ず有効成分名を確認するようにしていただきたい。
なお、この一覧表は2025年9月25日時点での登録内容を確認して整理した。
【灰色かび病】
果実が腐敗し、商品価値が低下
トマトの果実では花落部付近から侵入して、灰色のかびが発生し、果実も腐敗して商品価値を著しく低下させる病害である。多湿時に多く発生するので、防湿ファンを設置するなど通気をよくするだけでかなり発病が減る。防除薬剤はたくさんあるが、その多くに耐性菌が発生しているので、薬剤を選択する際には、耐性菌の発生状況を指導機関に確認するなどしてほしい。
防除対策としては、AP殺菌剤(アニリノピリミジン)や多作用点接触活性(ビスグアニジン)剤など保護殺菌剤の定期的散布を中心にして、適宜、高い防除効果を示すPP剤やSDHI剤、ジカルボキシイミド系やMBC殺菌剤などを適宜ローテーションで使用するとよい。
最近では、バチルスを主成分にした生物農薬が多数登場し、化学合成農薬の薬剤耐性菌対策になることと使用回数制限が無いことから、これら化学農薬と上手に組み合わせて使用する生産者も増えている。
【疫病】
低温・多湿状態で多く発生
比較的低温で多湿状態の時に多く発生する。葉を中心にトマトの各部位に発生し、被害も大きい病害だ。灰色かび病と同様に多湿条件で発生しやすくなるので、換気ファンを回すなど施設内を乾燥気味にすることでかなり発病を減らすことができる。
最近、疫病に登録のある新規薬剤も増えたので、系統の異なる薬剤をローテーションで使用するようにしたい。この病害も、ジチオカーバメート系やクロロタロニル剤など保護効果の高い殺菌剤を防除の主体にし、適宜、QoI殺菌剤やPA殺菌剤など、効果に定評のある薬剤を組み合わせて使用すると効率的だ。
【黄化葉巻病】
近年トマト栽培で大きな問題となっているのはタバココナジラミ(バイオタイプQ)が媒介するトマト黄化葉巻病である。この病害は、トマト黄化葉巻病ウイルス(TYLCV)によって起こり、新葉が巻いたり、小葉化、黄化などの症状が起こり、株全体が萎縮する。
短期間にタバココナジラミ(バイオタイプQ)がほ場全体に病原ウイルスを伝播して発病させるため、収量が激減し、世界中のトマト農家に恐れられている。
トマト黄化葉巻病の発生を防ぐためには、側窓・入り口・天窓への防虫ネット(0・4ミリ目)の設置や苗での防除の徹底、植付時の殺虫粒剤の使用による初期防除、栽培終了後の施設の蒸しこみ処理、地域一斉対策(野良トマトの除去、周辺雑草の防除、家庭菜園への防除依頼など)などがあるが、実施可能なことはできるかぎり全部実行したい。
もし発病した場合は、ウイルスの伝播元を無くす意味で速やかに抜き取る勇気も必要である。
指導機関等が出している情報によれば、タバココナジラミに効果の高い薬剤はネオニコチノイド系薬剤であるが、その効果は同じネオニコ剤であっても有効成分ごとに効果差があるようなので、よく指導機関に確認するようにしてほしい。
いずれにしろ、非常に怖い病害であるので、地域の指導情報などを参考に防除対策を徹底してほしい。
【オオタバコガ】
果実に穴を開けて侵入する
盛夏から初秋にかけて被害が大きくなり、ナス科やウリ科、アブラナ科、レタスその他多くの野菜や花きを食い荒らす。トマトでは、果実に穴を開けて侵入して商品価値ゼロにしてしまうので被害が特に大きい。
防除対策としては、効果のある薬剤を、オオタバコガの発生初期を逃さず防除し、発生期間を通じて定期的に薬剤散布すると良い。特に果菜類では、食い入られる前に防ぐことができるように発生予察情報に注意してほしい。
効果のある薬剤としては、スピノシン系薬剤やジアミド系薬剤、ピリダリルなどがあげられている。
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