血液中のウイルス遺伝子を検出 核酸試料の簡易な前処理法を開発 農研機構×タカラバイオ2023年6月28日
農研機構とタカラバイオは、リアルタイムPCR法でのウイルス遺伝子検出において、短時間の熱処理と遠心操作のみで血液中のウイルスから核酸を迅速に抽出するとともに、PCR反応を阻害する成分の影響を簡単に除去できる、血液試料の簡易な前処理法を新たに開発した。
豚熱(CSF)は2018年に国内の養豚場で26年ぶりに発生してから、現在まで発生が続いており、野生イノシシでもCSFウイルス陽性の個体が継続して確認されている。一方、アフリカ豚熱(ASF)は国内での発生は認められていないが、日本や台湾を除くアジア各国で猛威を振るっていることから、その侵入には厳重な警戒が必要。CSFとASFは、別々のウイルスが原因の異なる病気でありながら、臨床症状が酷似するため、両疾病の鑑別にはそれぞれのウイルスの検出を目的にした遺伝子検査が必要となる。
今回、農研機構動物衛生研究部門とタカラバイオは共同で、これまでより簡易・迅速に血液等からリアルタイムPCR検査に適した核酸試料を調製する手法を新たに開発。すでにCSFとASFとを迅速、正確に識別して診断するための検査法や国内でのCSFの流行に伴い、豚や野生イノシシの免疫力を高めるために利用されるワクチンに含まれるウイルス株と野外で流行するウイルス株とを識別するための検査法を共同で開発した。
これらの検査法は、都道府県が行うCSFおよびASFの病性鑑定に利用されているが、リアルタイムPCR法でのウイルス検出に適さない血液や保存状態の良くない試料を用いなければならないことも多く、検査に供することのできる試料を調製する前処理に時間を要していた。
今回開発した手法を用いると、試料と試薬を混和した後、短時間の熱処理と低速での遠心分離操作をするだけで、試料を検査に適した状態にすることが可能になる。 この手法を、「CSFウイルス・ASFウイルス識別検査法」や野生イノシシにおける「CSFウイルス野外株・ワクチン株識別検査法」に適用すれば、両疾病の迅速な摘発や早期の防疫措置の発動に貢献すると期待される。
なお、同技術に適した前処理試薬は6月28日、タカラバイオから発売される。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日
-
キウイブラザーズ新CM「ラクに栄養アゲリシャス」篇公開 ゼスプリ2025年4月30日
-
インドの綿農家と子どもたちを支援「PEACE BY PEACE COTTON PROJECT」に協賛 日本生協連2025年4月30日