第14回ALL JAPANナチュラルチーズコンテスト 北海道・美瑛ファームが農林水産大臣賞 中央酪農会議2023年10月27日
(一社)中央酪農会議は10月26日に東京都内で第14回ALL JAPANナチュラルチーズコンテストを開いた。
(左から)美瑛ファーム、三良坂フロマージュ、丹波チーズ工房、CHEESESTAND
同コンテストは、国産ナチュラルチーズの製造技術の向上を図り、日本独自のナチュラルチーズ文化を作り需要拡大を図ることを目的に1997年から2年に1回開催されている。
今回は全国から109工房、248作品が出展され過去最高となった。
同日は1次、2次審査を経て選ばれた金賞9作品の最終審査が行われた。主催者としてあいさつした隈部洋中央酪農会議副会長は、最近では日本のナチュラルチーズが海外コンテストで多数上位入賞するなど高いレベルに到達してきたとして出展者らに向け、「将来にわたって競争していけるよう地域の特性や独自性を発揮し、より高いステージをめざした取り組んでいくことが重要」と呼びかけた。
最終審査で最優秀賞である農林水産大臣賞に選ばれたのは(株)美瑛ファーム美瑛放牧酪農場が製造した「フロマージュ・ド・美瑛」。夏の青草を飼料にしたミルクで作った6か月以上のハード熟成チーズ。
最終審査でこのチーズの特徴をプレゼンしたイタリア料理のシェフ、鈴木弥平さんは「審査会場に入ったとき大きさと黄色に引き寄せられた。試食するとときどきジャリジャリとチーズストーン(アミノ酸の粒)を感じた。世界に発信でき戦えるチーズ」と絶讃した。最終審査はプレゼンを聞いた後、9名の審査員が試食し点数札を上げる方式で行われたが、この作品は全員が満点の5点札、会場はどよめいた。
受賞した小熊章子さんは2000年から牛飼いとして同ファームで働き2016年から2年間、フランスでチーズ作りを学んだ。自社の生乳を使ったチーズづくりで生乳の質がチーズの質を決める。
受賞について「率直にうれしいです。牛を管理しているスタッフに感謝します」と話すとともに、飼料高騰で経営が厳しいなか、生乳の質は飼料が要だとして道内産の飼料に切り換えて生乳を生産している。「その分、より付加価値を付けていきたい。数年後には世界に挑戦できたら」と話した。
審査委員長の山本博紀北海道乳業(株)取締役製造部長は「レベルが高く甲乙つけがたかった。日本のチーズ工房は横のつながりが強く切磋琢磨して世界的レベルになってきた。向上心を忘れずにいいチーズをつくってほしい」と激励した。
会場では中央酪農会議が酪農アンバサダーに起用したアイドルグループ「高嶺のなでしこ」が
新曲「いつか私がママになったら」を一般向けに披露するライブパフォーマンスも行った。
その他の賞は以下のとおり。
【農畜産業振興機構理事長賞】
工房名:三良坂フロマージュ(広島県三次市)
作品名:「アカショウビン」(グラスフェッドのブラウンスイスの黄色い夏ミルクで作るソフトタイプのウォッシュチーズ)
【中央酪農会議会長賞】
工房名:丹波チーズ工房(兵庫県丹波市)
作品名:「丹波ブルー」(生乳の生産から一貫して取り組んだ深い味わいのブルーチーズ)
【審査員特別賞】
工房名:CHEESEDOМ(北海道久遠郡せたな町)
作品名:「瀬棚-SETANA」(ブラウンスイスとジャージーの生乳を使用。濃厚なクリームの香りの爽やかさが感じられる)
【ベスト・トライアル賞】
工房名:CHEESESTAND(東京都渋谷区)
作品名:「いちじくブッラータ」(ブッラータのなかにいちじくの葉で香りを生クリームに移したクリームとストラャチャテッラを加えた)。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日