畜産由来のメタンガス削減へ 海藻「カギケノリ」生産に関する成果を高知大学と発表 サンシキ2024年3月25日
株式会社サンシキと、高知大学総合研究センター海洋生物研究教育施設・海洋植物学研究室の平岡雅規教授らのグループは、畜産由来のメタンガス削減に効果的な海藻「カギケノリ」の生産に関する共同研究の成果を神戸大学で開かれた「日本藻類学会第48回大会」(3月22日〜25日)で発表した。
ビーカーでのカギケノリの培養の様子
サンシキは、日本の海藻テクノロジーを使って、世界に海藻ベースのプロダクトを届けるスタートアップ。カギケノリを使ったメタン削減のための飼料サプリメントを開発している。
「カギケノリ」の安定的な生産がますます重要となるなか、両者は、カギケノリの生産に関して、共同で研究を進めてきた。この研究では、高知県須崎市沿岸で採取したカギケノリから種苗を作製したところ、屋外タンクでの生産試験では、初期生重量13gが10日間で約10倍の134gに増加した。
牛などの反芻動物の胃に存在する微生物は、消化分解と同時にメタンを生成し、それらは主にゲップとして大気中に排出される。メタンガスの温室効果は二酸化炭素の28倍とされ、世界に数十億頭いるとされる反芻動物による温室効果ガス排出量は、全世界の約4%もの割合を占めている。気候変動を防ぐため、一部の国では畜産業由来の温室効果ガス排出の削減目標が設けられており、解決策が求められている。
カギケノリによるメタンガス削減のイメージ
カギケノリは、紅藻類に分類される海藻の一種で、日本を含む太平洋熱帯海域などをはじめとして、世界に広く分布。研究により、カギケノリを牛の飼料に0.2%混ぜて与えることにより、メタンガスの排出が最大98%減少することが確認されているが、カギケノリの量産技術はまだ確立されておらず、世界のスタートアップ企業や研究機関が研究に取り組んでいる。
カギケノリの安定した量産技術の確立は、畜産業由来の温室効果ガス削減に向けた重要なステップとなっており、研究の進展に大きな期待が寄せられている。
今後、同研究グループは、カギケノリの効率的な生産方法の開発や、環境条件等の最適化を目指し、カギケノリの養殖生産性をさらに高めるべく研究活動を展開する。今回の研究成果を基に、さらに大規模な商業規模の環境下での生産試験を計画。すでに高効率での生産手法を開発しているが、量産が可能であることを実証し、事業化に向けて道筋を築く。また、こうした取り組みにより、カギケノリの生産に革新をもたらし、畜産業界の持続可能性に貢献する。
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