「大地を健康にするカーボンファーミング酪農」実証開始 道東カーボンファーミング研究会2024年10月10日
道東カーボンファーミング研究会(北海道別海町)は、2023年度実施の北海道別海町での酪農牧草地における炭素貯留量の基礎調査結果を踏まえ、今年度から日本ならではの堆肥活用による酪農法が土壌に好影響を及ぼすプロセスに着目。土壌健康度を示す指標を評価軸とした酪農法による炭素貯留量の向上を検証する。
同研究会は、酪農牧草地の炭素貯留量を計測し、今後のベンチマークとするため、別海町内6社9地点で土壌炭素貯留の調査を実施した。
2023年度の調査結果を踏まえ、同研究会は今後、「大地を健康にするカーボンファーミング酪農」を目指す。土壌健康は、土壌有機物(SOM)を分解する土壌内微生物が増加・活性することで牧草の良好な生育を促し、結果として土中の炭素貯留量を増やしていくプロセス。日本では特に道東エリアで行われている牛の排泄物を有用な有機物として土壌へ散布する酪農法は「SOMをマネジメントする循環型農法」と言える。
SOMの散布により「土壌の健康管理」を行い、土中微生物の活性と土中炭素貯留量増加の両輪を回していくスタイルが道東版カーボンファーミング。同研究会では微生物との共生や環境再生型農法も視野に入れながら、施肥マネジメントと土壌管理手法を追究していく。
7月2日に養老牛山本牧場で行われた土壌サンプル採取(北海道中標津町)
PDCAサイクルによる実践検証で多様な酪農家が導入できる手法を開発
今年度調査では飼育頭数1000頭規模の大規模農場である中山農場(北海道別海町)、同40頭規模の完全放牧型小規模酪農家である養老牛山本牧場(北海道中標津町)の2牧場計5圃場で施肥を行う前の7月、施肥後の11月の2回の土壌サンプリング調査を行う。
炭素貯留量、微生物量や有機炭素量に関する項目を分析し、排泄物の施肥による変化、カバークロップの有無など条件に変化を持たせ農法の違いによる差を検証する。
こうした調査は今後3年を目処に継続し、「土壌健康度を示す基準指標作り」「酪農規模、スタイルに応じたCF手法」の確立を目指す。また、今年度後半からは飼育頭数100〜200頭の中規模農家の検証参画も促す。一元的な手法ではなく、多様な酪農スタイルに合わせたCF手法により、大・中・小規模農家が混在する道東ならではの持続可能な酪農生産地を形成していく。
新たな連携パートナーの協力による活動の広がり
同研究会は、生乳生産の最前線である酪農家と明治ホールディングスおよび明治と協働。サプライチェーンを跨ぐ持続可能な酪農乳業を模索する活動であることが特長で、今年度からはソニーグループも研究会メンバーに加わる。ソニーグループの通信・画像解析・センシングなどのテクノロジーへの知見が加わることで、生乳生産の現場からサプライチェーンをつなぎ、サステナブルな生乳生産活動を下支えするCF手法のシステム化を図る。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日