JA事業拡大に向け TAC体制の強化を【JA全国機関中核人材育成研修会(平成30年度)】(2)2018年12月3日
担い手対応、教育、労働力で提案
Aグループ発表
多様化する農業経営体の経営課題に対応し、
選ばれるJAグループになるための新たな体制の構築
3つの仮説を立てて議論を進めた。JAグループは、(1)農業経営体から経営面の相談相手として選ばれていない可能性がある、(2)経営の多角化や売上げ規模の上昇で、JAが相談相手として選ばれなくなる可能性がある、(3)JAグループは農業経営体の経営面のニーズに対して的確に対応できていない可能性がある。この3つの仮説を、調査で検証した。
その結果、仮説を裏付ける状況がいくつか浮かび上がった。まず県域では、サポートセンターの職員や単協のTACがともに、出身以外の事業への理解が不足し、農業経営体のニーズに応えられていないことが分かった。特にJA内で、担い手対応はTACが担当するものだという意識があってTACが追い詰められ、消耗している実情もみられる。
◆全国段階で共通提案
調査結果をまとめると、農業経営体の経営維持・改善のため、という目的は同じだが、JAグループとしてやりたいこと(総合事業による事業利用率の向上)と農業経営体が求めるもの(現場に即した個々の提案)がうまく一致していない面がある。こうしたことから平成31年度以降は、県域、全国ともにサポートセンターの体制の見直しが必要と考える。
特に提案メニューが、現在の「JAの総合事業」の中で扱っているものだけでは、担い手のニーズに十分に応え切れない面もある。このため、担い手の課題を的確に把握したうえ、全国段階で提案メニューを用意してもいいのではないか。一方、農業経営体は現場に即した個々の提案を望んでおり、相談はその道のプロに任せたいと考えている県域サポートセンターもある。特に専門性の高い課題はJAグループ内外を問わず、適材適所の人を紹介できる体制が必要という声が多かった。また経営を拡大していく中で社員の育て方について、相談する相手がいないという声もある。
さらに営農指導員やTACの専門領域を超える課題が多く、負担が増している。こうした現場の負担を軽くし、かつ農業経営体が求める多様で高度な経営課題をつかみ、的確な提案を行うためには、JAグループが持つ既存の資源を活用しながら、担い手サポートセンターの機能強化が求められる。
具体的には、(1)県域と全国の役割分担を明確にすること、(2)全国で具体的な提案メニューを用意すること、(3)全国担い手サポートセンターからの農業者向け広報活動を強化する必要がある。
◆サポートメニュー表で
JA段階でTACや営農指導員が農業者のニーズを把握するには「サポートメニュー表」を活用すべきである。メニュー表を見てもらうことで、JAグループのフォロー策が分かり、手ぶらで要望だけを聞きに訪問するのではなく、どのような分野で農業者が困っているかを具体的につかむことができる。
そして業種・品目、課題・ニーズ、解決方法、相談先・対応先、導入事例などを整理したソリューションカードを作成し、JA、県域サポートセンター、全国サポートセンターで共有する。そのうえで、「何が課題か、総合的に知りたい」というニーズには経営診断機能の提供、「農産物の信頼を高めたい」というニーズにはGAP(農業生産工程管理)取得の支援をJAの新規事業として立ち上げる必要がある。ほかにも労務管理サポート、従業員教育サポートが求められる。
情報誌で認知度向上
一方、JAグループは農業経営体の経営改善に必要なさまざまな機能を持っているにもかかわらず、農業経営体にはあまり知られていない。あらゆる農業経営体に対して相談機会を増やすため、JAグループの各事業(フォロー策)を知ってもらうことを第一義に、農業経営体とJA事業をつなぐ情報誌が必要である。
(関連記事)
・チーム研究の成果発表 JAの将来担う職員養成へ【JA全国機関中核人材育成研修会(平成30年度)】(1)(18.12.03)
・協同学ぶ場づくりを 全国連職員も現場へ【JA全国機関中核人材育成研修会(平成30年度)】(3)(18.12.03)
・JAの強みを活かし 独自人材派遣会社を【JA全国機関中核人材育成研修会(平成30年度)】(4)(18.12.03)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(146)-改正食料・農業・農村基本法(32)-2025年6月14日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(63)【防除学習帖】第302回2025年6月14日
-
農薬の正しい使い方(36)【今さら聞けない営農情報】第302回2025年6月14日
-
群馬県の嬬恋村との国際交流(姉妹)都市ポンペイ市【イタリア通信】2025年6月14日
-
【特殊報】水稲に特定外来生物のナガエツルノゲイトウ 尾張地域のほ場で確認 愛知県2025年6月13日
-
【注意報】りんごに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 岩手県2025年6月13日
-
SBS輸入 3万t 6月27日に前倒し入札2025年6月13日
-
米の転売 備蓄米以外もすべて規制 小泉農相 23日から2025年6月13日
-
46都道府県で販売 随意契約の備蓄米2025年6月13日
-
価格釣り上げや売り惜しみ、一切ない 木徳神糧が声明 小泉農相「利益500%」発言や米流通めぐる議論受け2025年6月13日
-
担い手への農地集積 61.5% 1.1ポイント増2025年6月13日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】生産者米価2万円との差額補填制度を急ぐべき2025年6月13日
-
井関農機 国内草刈り機市場を本格拡大、電動化も推進 農機は「密播」仕様追加の乗用田植え機「RPQ5」投入2025年6月13日
-
【JA人事】JA高岡(富山県)松田博成組合長を新任(5月24日)2025年6月13日
-
【JA人事】JAけねべつ(北海道)北村篤組合長を再任(6月1日)2025年6月13日
-
(439)国家と個人の『食』の決定権【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年6月13日
-
「麦とろの日」でプレゼント 東京のららぽーと豊洲でイベントも実施 JA全農あおもり2025年6月13日
-
大学でサツイマイモ 創生大学と畑プロジェクト始動 JA全農福島2025年6月13日
-
JA農機の成約でプレゼントキャペーン JA全農長野2025年6月13日
-
第1回JA生活指導員研修会を開催 JA熊本中央会2025年6月13日