JA全国女性協・久保町子会長に聞く(2)「仲間がいる財産」糧に2024年1月30日
JA全国女性組織協議会は1月17、18の両日、第69回JA全国女性大会を開いた。大会を機に久保町子会長に思いを聞いた。
JA全国女性協・久保町子会長に聞く(1)食と農の大切さ自明 女性の観点もっと より
「安心できる生活」 生消の理解深め
JA全国女性協会長 久保町子氏
助け合い大切
また、被災地のボランティアに参加した経験を持つ人から、その体験やもしもの時にどんな備えが必要かなどを聞くといった勉強会もしています。
まずは自分や家族の身を守るために学習が必要ですが、その後、安全が確認されたら、周りを見るところまでできればいいと思います。
災害だけではなく、私はJA女性組織に入った段階から、自分は一人じゃない、仲間がいて助け合えるということを思っています。いろいろな部分で寄り添っていければということです。
――食料安全保障の学習と情報発信、そして消費者と生産者のつなぎ役になることもテーマにしました。
JA女性組織のメンバーには農業をしていない方も増えています。日本の食料自給率は38%ですが、なぜ低いのかということもあまり分かっていないと思います。それに対して輸入農産物に頼らず、国産農産物を食べるようにすれば自給率が上がっていくということや、それが食料安全保障につながるということを私たちが訴えていかなければなりません。
農業者であるメンバーは消費者でもありますから、もっと消費者として賢くなることも大事だと思います。生産者は自分の家族はもちろん、みんなに安全・安心な食料を食べてもらいたいという思いで作っていると思います。
そこを消費者が見極めて買ってもらえれば自給率の向上につながる。こうしたことを根本から勉強していければと考えています。
組合員でなくても女性であればJA女性組織に入ることができます。楽しく活動ができることが大事で、そこで学んでもらえることがたくさんあるということであればなおいいと思っています。非農業者のメンバーが増えていることを逆にいいきっかけにして、生産者からの情報発信に取り組むことも必要だと思います。
つなぎ役に
人が集まっていろいろな話をするなかで、農家の女性が野菜の作り方を教え、農業の経験のないメンバーもトマトの作り方を知るようになり、その次は子どもに教えることができるようになったという話も聞きました。むしろ農業をしていない人にもJA女性組織への参加を呼びかけていけば、消費者と生産者のつなぎ役になれるということだと思います。
――JAへの女性参画も課題です。
JAだけでなく男性の壁は厚いと感じています。確かに家庭の大黒柱はお父さんが当たり前でした。しかし、今は大黒柱は女性であってもいいと思っています。男性の役割、女性の役割はありますが、お互いの話し合いのなかで家庭がうまくいき、社会がうまく回っていればいいと思っています。
何でもかんでも男性だけで固めるのではなくて、男性にはない女性の感性もあると思います。JAも男性だけの考えで固めていくのではなくて、女性を一人、二人と入れていくと、100%女性の考えが通るわけではなくても、組織の考え方にプラスになるのではないでしょうか。
そのため地元のJA女性組織でもJAの役職員との懇談会、意見交換会を毎年設けていますし、全国的にも行われています。これはやっていくべきだと思います。一方で女性理事がまったくいないJAもあります。そこは考えていかなければならないと思います。
今、全国でJAの女性組合長は3人ですが、もっと増えていいと思いますし、3人の女性組合長は私たちのいい鑑になります。それから今もがんばって地域のために活動している女性はいるわけですが、家庭でも、がんばってこいよ、と背中を押してほしいですね。女性参画については周りの理解が必要ですが、私たちが声を上げていかなければ広がっていきません。
――今年度はどのような取り組みが重要でしょうか。
今年度は3カ年計画の最終年度です。それぞれの組織で掲げてきた目標をどのくらい達成できたかを見直し、年度の終わりに、みんなで達成できたね、という喜びを味わってほしいと思います。
それから今回、石川県で地震被害が起きましたが、そういうなかで仲間というものをもう一度見直してもらいたいなと思っています。
以前はスローガンで、一人ではできないことを仲間とともに、を掲げました。私たちJA女性組織のいちばんの願いとは、一人ではできない、やはり仲間がいるということだと思います。
重要な記事
最新の記事
-
【26年度畜酪決着の舞台裏】加工補給金上げ12円台 新酪肉近で全畜種配慮2025年12月22日 -
配合飼料供給価格 トン当たり約4200円値上げ 2026年1~3月期 JA全農2025年12月22日 -
鳥インフルエンザ 岡山県で国内8例目2025年12月22日 -
【今川直人・農協の核心】農協の農業経営をめぐる環境変化(3)2025年12月22日 -
日本産米・米加工品の輸出拡大へ 意見交換会「GOHANプロジェクト」設置 農水省2025年12月22日 -
令和7年度スマート農業アクセラレーションサミット開催 JA全農2025年12月22日 -
「JA全農チビリンピック2025」小学生カーリング日本一は「軽井沢ジュニア」2025年12月22日 -
農政無策【森島 賢・正義派の農政論】2025年12月22日 -
【人事異動】ヤマタネ(2026年1月1日付)2025年12月22日 -
国産食肉シンポジウム「国産食肉が食卓に届くために」開催 日本食肉消費総合センター2025年12月22日 -
岡山県鏡野町と「災害時における無人航空機による活動支援に関する協定」締結 福田農機2025年12月22日 -
「英国The Leafies 2025」粉末緑茶「あらびき茶」が金賞受賞 鹿児島堀口製茶2025年12月22日 -
「かごしまスマートファーマー育成セミナー」令和7年度の受講生募集 鹿児島県2025年12月22日 -
日本トリム 農業用電解水素水整水器を活用 いちご「肥後こまち」販売開始2025年12月22日 -
宅配インフラ活用 地域を見守り子育て応援 九十九里町と連携協定 パルシステム千葉2025年12月22日 -
大分県大分市佐賀関大規模火災お見舞い金100万円を拠出 コープデリ2025年12月22日 -
新春は「いちごと洋梨のケーキ」丹頂鶴をフルーツで表現 カフェコムサ2025年12月22日 -
障害者雇用支援のエスプールと持続可能な農業モデル構築へ概念実証を開始 食べチョク2025年12月22日 -
滋賀県日野町と農業連携協定 生産地と消費地の新たな連携創出へ 大阪府泉大津市2025年12月22日 -
ブラジルCOP30から世界の気候危機を知る 現地イベント報告 パルシステム連合会2025年12月22日


































