農家でお手伝いしながらワーケーション (株)Perma Future 【JAアクセラレーターがめざすもの】2024年9月24日
JAグループの資源をスタートアップ企業に提供し、農業や地域社会が抱える問題の解決をめざして新たなビジネスを協創するJAグループのオープンイノベーション活動である「JAアクセラレータープログラム」は今年度は第6期を迎え、9社が優秀賞に選ばれた。現在、JA全農、農林中金職員ら「伴走者」の支援を受けてビジネスプランのブラッシュアップをめざして活動をしている。今回は「環境と経済と幸せが循環する社会の実現」を理念に掲げるPerma Future(パーマフューチャー)を取材した。

同社は日本の農村漁村をもっと知ってもらおうと、「No 農 No Life」という名の、農村漁村をワーケーションの宿泊施設として紹介するサービスを開始した。現在、北海道から沖縄まで80か所近くの宿泊先から選ぶことができる。
(株)Perma Future 代表取締役 池田航介氏
半日は農作業を手伝い、半日は自由
ワーケーションとはWorkとVacationによる造語で、いつもの職場を離れてリゾート地や観光地で仕事をすることを指す。普段と違う環境で働くことで、リフレッシュできる、新たな発想が得られる、チームの結束が高まるといった効果も報告されていて、ノートPCがあれば仕事ができるワーカーの注目は高い。
「No 農 No Life」(略称「ののの」)の特徴は、どこでも、一律7700円で2週間まで何泊でも、という安価な価格だ。ワーケーションにあこがれても、1泊1~2万円という金額には気持ちが萎えるが、「ののの」なら1泊が最低で約600円だ。この安さの秘密は「ののの」では、午前は農作業等の手伝いをする、午後は利用者の自由時間という仕組みゆえだ。
代表取締役の池田航介氏によれば「『ののの』は、農業とXという組み合わせです。午前中は指示された農作業を手伝い、午後のXは観光、仕事、研修、エンタメなど何をしてもOKです」と語る。宿泊は農家が用意したWiFi付きの部屋、交通費と食事は基本的に自己負担、受け入れ先によっては一部食事の用意があると言う。
このユニークなワーケーションスタイルは、池田氏が在学中に経験したコロナによるオンライン授業がきっかけだった。農学部の学生だった池田氏は農家との接点が多く、ある日農家から「人手が足りないので誰か連れてきて欲しい」と言われた。当時、授業は全部オンラインだったので、「授業だけ受けさせてくれれば、それ以外の時間は手伝えます!」(池田氏)ということで、農家に行って友人と1日の半分はお手伝い・半分はオンラインという日々を送った。
池田氏はもともと、農村を盛り上げたい、その魅力を広げたいと思っていたが、この「半分はお手伝い・半分はオンライン」という手法には、その可能性があるのではと感じる。そこで3 、4年前から一軒のリンゴ農家でこの手法を続け、2022年からは宿泊先をもっと広げるため「ののの」としてサービス体系を明確化し、本格的な活動を開始した。
交流こそが価値
現在「ののの」は1次産業の農家・水産家・酪農家に宿泊先を絞り、全国で約80軒を紹介している。最近は「自分たちが作る作物を食べる人たちと、リアルなつながりを持てる点に価値を感じる方も多いです」という。
当初は人手欲しさに始めた、半分はお手伝い・半分はオンラインだったが、始めてみると受け入れ農家にとっては「お手伝い」から発生する、消費者とのつながりが、「農家にとっては孤独解消につながっていますし、顧客開拓とかリフレッシュにつながっているようです」と人手以上に得るものが多いようだと池田氏は話す。
「ののの」が紹介する農家は観光地ではない。しかしそれでも人が来るということは、その地域の特色や文化、農家の生活を「手伝いながら、話をして交流して知りたいと思っているからでは」と池田氏はいう。
「ののの」の魅力は、(当初は想定していなかった)交流という価値ある体験を、全員が無理なく参加できる点にあると思われる。「人が絡んで交流が生まれて、いろんなものを肌で感じられることが、一番の価値じゃないかと思います」。
池田氏は、静岡の沼津出身、実家が青果の卸売で池田氏自身8代目の後継ぎ。
「僕は農業の魅力って何なんだろうってずっと考えていました。ですが農業を生業(なりわい)と考えると、高齢化、人手不足、環境問題等等、課題ばかりです。でも農業をやっているとウツにならない、コミュニティとしての魅力もある。とすると農業というより「農」に魅力があるのではないか、それをもっと引き出せないかと考えました。だから今回のワーケーションも、No 農 No Life(農の暮らしのない暮らしはない)と表現したのです」。
現在の「ののの」は月に30、40人ぐらいが参加しており、今までの合計は300人ぐらいという。目標は年間累計1000人。今回JAアクセラレーターに応募した理由は、「一番は、受入れ先の農家さんを増やすこと。1000人に向けて、今はとにかくどんどん受け入れてくれる農家さんを増やしたい。そのためにJAさんと一緒に、農家獲得の戦略を練っています」とのことだ。

そして「ののの」に働きにくる参加者を増やすために、池田氏は企業に向けても多様な提案をしている。このストレス社会では、どの企業にも2%ぐらいうつになる社員がいると言われている。「農業で体を動かすことには、メンタルヘルスに効果があると思っていて、それを農業ワーケーションとして企業さんに提案したい」と池田氏は話している。
「ののの」を通じて、農家やその地域の魅力をアピールしている。これも農を広げる試みだ
【伴走者のコメント】
「ののの」の提携農家拡大を目指し調査を実施、現在、北海道内で1JA、本州で1JAがアクセラレーター期間内での実証が決定。ホクレン・JAグループ各組織における研修・福利厚生での活用も調査し、ホクレン研修の採用が決定した。現在も、さらに調査を進めている。
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