地域農業のデザインを 営農経済事業改革で討議 JAーIT研究会2015年11月27日
営農経済事業の改革をどのように進めるかー担当役職員の自己研さんを目的とするJAーIT研究会(代表=今村奈良臣・東京大学名誉教授)は11月20、21日、東京で公開研究会を開き、JAの取り組み報告をもとに討議した。テーマは「JAの創造的自己改革と地域農業のデザイン力」。実践事例としてJA松本ハイランド、JA遠州中央、JAそお鹿児島が報告した。
テーマに掲げた「デザイン力」について、同研究会の仲野隆三副代表員は、「人間の行為をよりよい形で適えるための設計」と解説。総合的に事業戦略や方向性を示し、組合員メリットを明確にする「農協デザイン」と、組合員の主体性と事業メリットを享受する「組合員デザイン」があり、その上で組合員と農協の相互連携の「グランドデザイン」を明確にする必要があると指摘した。
◆組合員組織が軸
JA松本ハイランドは今年、総合販売戦略研究会を設置し、販売力を強め生産者手取りを増やすため、地域農畜産物のブランド化を進め、「有利販売と販路拡大のため」の総合的戦略を研究する。
具体的には、(1)生産者が関わり販売の見える化、(2)地元市場と連携したパッケージセンター機能の整備、(3)販路開拓、新しい販売チャネルの提案、(4)共計・共販を活かした集荷対策、(5)6次加工化による新たな事業開発、(6)地理的表示制度(GI)の研究、(7)直接販売部署の組織のあり方―などを挙げる。
これらを実践していく上で大事なことは、「組合員が動く仕組みを強固にすることであり、それは組合員組織の活性化に尽きる」と、同JA営農経済担当の田中均常務は指摘する。
◆健康がキーワード
JA遠州中央では、27年度事業でキャベツ栽培研究会がJ-GAP(農業生産工程管理)に取り組んでいる。GAPは茶樹で導入しているが、今後青果物でも必要になると想定され、生協パルシステムの認証のチェックリストをベースに取り組む方針で、生産者の参加を呼び掛けている。
また、JA地域貢献活動としてエゴマプロジェクトを推進している。「健康をキーワードに食と農と人を結ぶ取り組み」と、同JA営農事業部直販課の鈴木信吾課長はエゴマを位置付ける。3年間で栽培を安定させし、商品開発等で、エゴマのビジネスモデルを確立する考えだ。
◆ピーマン産地再興
JAそお鹿児島は志布志ピーマンの産地を再興させた。志布志市農業公社による農業後継者育成の事業で、希望者を毎年3組(原則夫婦で6人)受け入れ、2年間の実践研修で独立させる。
これによって、平成2年7.5haまで落ちたピーマンの栽培面積が、25年には23.4haと、過去最高を更新した。生産者の67%を公社卒が占める。同JA営農指導販売課の東別府良美次長は、新規就農者が地域に及ぼすプラス面を評価。
特に、(1)耕作放棄地の未然防止、(2)農村部の人口維持・地域の活性化、(3)地域の園児や児童に対する「食農体験」の実施、(4)地域活動への積極的な参画などを挙げた。
(写真)営農経済事業の改革で討議するJA―IT研究会
重要な記事
最新の記事
-
令和7年秋の叙勲 西沢耕一元JA石川県中央会会長ら93人が受章(農協関係)2025年11月3日 -
シンとんぼ(166)食料・農業・農村基本計画(8)農業の技術進歩が鈍化2025年11月1日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(83)テトラゾリルオキシム【防除学習帖】第322回2025年11月1日 -
農薬の正しい使い方(56)細菌病の防除タイミング【今さら聞けない営農情報】第322回2025年11月1日 -
酪農危機の打破に挑む 酪農家存続なくして酪農協なし 【広島県酪農協レポート・1】2025年10月31日 -
国産飼料でコスト削減 TMRと耕畜連携で 【広島県酪農協レポート・2】2025年10月31日 -
【北海道酪肉近大詰め】440万トンも基盤維持に課題、道東で相次ぐ工場増設2025年10月31日 -
米の1等比率は77.0% 9月30日現在2025年10月31日 -
2025肥料年度春肥 高度化成は4.3%値上げ2025年10月31日 -
クマ対策で機動隊派遣 自治体への財政支援など政府に申し入れ 自民PT2025年10月31日 -
(459)断食:修行から管理とビジネスへ【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年10月31日 -
石川佳純が国産食材使用の手作り弁当を披露 ランチ会で全農職員と交流2025年10月31日 -
秋の果実王 旬の柿を堪能 福岡県産「太秋・富有柿フェア」開催 JA全農2025年10月31日 -
「和歌山県産みかんフェア」全農直営飲食店舗で開催 JA全農2025年10月31日 -
カゴメ、旭化成とコラボ「秋はスープで野菜をとろう!Xキャンペーン」実施 JA全農2025年10月31日 -
食べて知って東北応援「東北六県絆米セット」プレゼント JAタウン2025年10月31日 -
11月28、29日に農機フェアを開催 実演・特価品販売コーナーを新設 JAグループ岡山2025年10月31日 -
組合員・利用者に安心と満足の提供を 共済事務インストラクター全国交流集会を開催 JA共済連2025年10月31日 -
JA全農と共同開発 オリジナル製菓・製パン用米粉「笑みたわわ」新発売 富澤商店2025年10月31日 -
【スマート農業の風】(20)GAP管理や農家の出荷管理も絡めて活用2025年10月31日


































