担い手とともに地域農業を振興 TACパワーアップ大会20152015年11月27日
JA全農は、11月26、27日に「TACパワーアップ大会2015」を、新横浜プリンスホテルで開催した。8年目となる今年の大会には、全国からJAのTACをはじめ約550名が参加した。
JAグループは、国産農産物の安定供給や持続可能な地域農業の実現のために、担い手の育成・支援を通じ、地域生産振興に取り組んでいるが、その最前線で全国約10万戸の大規模農家や生産法人など担い手に出向き、これからの地域農業を担っていく「地域農業の担い手」の声や要望を聞き、担い手の所得向上などに向けた課題解決に邁進しているのが、JAのTACだ。
久保省三全農営農販売企画部長によれば、今年10月31日現在、全国254JA・1612名のTACが約7万戸の農業経営者に対して約43万回の訪問・面談活動を行っているという(大会での久保部長「今後のTAC活動について」から)。
◇
大会は、▽若手農業者や農業法人など、将来の担い手との関係強化を重視する、▽JAの総合力を発揮した部門間連携の促進やTACの活動の見える化を促進する、をコンセプトに優秀な活動をしているJAとTACの表彰および事例発表を行うとともに、今回は若手農業者や農業法人をまじえた「より実践的な」分科会を27日に開催した。 開催にあたって、中野吉實全農会長は「この大会は8年目を迎えたが、TACの活動はますます充実してきている」と述べるとともに、これからも「担い手の信頼を獲得し、JAグループが信頼できる存在であることを示すために必要不可欠な重要な取組みである」とし、全農はTAC活動のレベルアップなど、全面的に支援していくとあいさつした。
その後、来賓代表として西郷正道農水省技術総括審議官・農林水産技術会議事務局長と藤岡茂憲(公社)日本農業法人協会会長があいさつした。
表彰式では、全農会長賞受賞のJA小松市はじめ7JAが「JA表彰」、9名のTACが「TAC表彰」され、中野会長から表彰状と副賞が贈られた。
また「地産地消とごはん食文化の大切さ」と題して、櫻井稚子(㈱)ABCCookingStudio社長が基調講演し、その後、JA表彰の7JAとTAC表彰のJA秋田おばこの岩淵莉子さんが事例報告を行い、久保営農販売企画部長が「今後のTAC活動について」と題してTAC活動の現状と今後の方向について報告した。
久保部長は、今後のTAC活動に向けた全農の支援として、▽JAにおけるTAC活動のレベルアップ―STEP6到達JAの拡大(現在、32.2%)、JAにおける事業間・部門間連携の促進他。▽生販マッチングの拡大、▽農業法人への対応強化と担い手組織との接点づくり、の3点をあげた。
初日の最後に、JA秋田おばこの岩淵莉子さんが「TAC活動をとおして、一、担い手とともに経営課題の解決に取り組みます。一、担い手とともに地域農業の魅力を発信します。一、担い手の将来の夢をJAの総合力で実現します」という大会宣言を提案し、満場一致で採択された。
2日目の27日は、早朝から3会場に分かれてTAC表彰受賞者による事例報告が行われたあと、TAC管理者とTACに分かれて「参加者分科会」が行われた。
○全農会長賞・JA小松市の受賞内容
農業法人や若手農業者との関係構築に向けた「複合経営」「園芸品目の作付提案」「若手農家による無人ヘリ散布組織支援」「水田フル活用」(麦跡大豆、麦跡加工用米作付)等を実施し、地域生産振興に貢献した。また、生活者と担い手を結びつける活動として、「6次化商品の販促」「地元建機メーカー・行政と連携した商品開発」「小学校・保育園児等への食農教育活動」「未婚農家への婚活参加誘導」等、さまざまな取組みを担い手とともに行い、農家手取りの向上、地域雇用の創出や農業の理解促進、若手農業者同士のネットワーク化等に貢献したことが評価された。
「農家が何を望んでいるか」を理解し、所得向上のアイディアを提案するために、JA内部および関係機関と連携し要望に応えていった結果、米価下落等でJA全体の実績が落ち込む中、担い手のJA利用実績で販売高前年比97.1%(JA全体で86.1%)、購買高前年比91.0%(同86.5%)となり一定の分量を保った。
(「審査講評」から)
◎7JAと9名のTACを表彰
【JA表彰】
JA小松市(全農会長賞)(石川県)
JA秋田ふるさと(秋田県)
JA佐渡(新潟県)
JAとぴあ浜松(静岡県)
JAぐりーん近江(滋賀県)
JAひがしうわ(愛媛県)
JAふくおか八女(福岡県)
【TAC表彰】(「 」内は活動テーマ)
○JAあさひかわ営農企画部米穀農産課 村上達也(北海道)
「付加価値の追求と新商品開発 そば・黒大豆」
○JA津軽みらい営農部営農課TAC班 久塚和(青森県)
「『JA単独助成』『婚活応援事業』『農産物PR活動』による担い手との繋がり」
○JA秋田おばこ営農経済部営農企画課 岩淵莉子(秋田県)
「冬季農業活性化に向けて―新たな品目の開拓」
○JAさいたま営農経済部営農指導課 田島久晴(埼玉県)
「たまねぎのセル成型育苗法による農家所得増大と直売所の品揃えの充実」
○JA小松市営農部担い手対策室係長 橋本克巳(石川県)
「大規模担い手農家に対する経営改善提案―農作業オペレーターから農業経営者へ―」
○JAとぴあ浜松南営農センター主任 後藤公郎(静岡県)
「農業法人を総合事業でサポート」
○JAレーク大津営農部農業振興課考査役 市川俊次(滋賀県)
「地域農業の維持・発展に向けた農業法人支援」
○JAしまね雲南地区本部営農部営農企画課係長 藤原祥治(島根県)
「中山間地域における事業効率化、生産コスト低減を目指した『集落営農組織間連携』の提案とその成果が『地域における協同意識』の醸成までつながった意識」
○JAひがしうわ宇和農産センター 片山幸太(愛媛県)
「若手農業者と連携した酒米『しずく媛』の普及拡大と担い手の所得向上」
(写真)7JAと9名のTACを表彰、挨拶する中野会長、「JA表彰」された7JAの代表者、「TAC表彰」された9名のTAC
(関連記事)
・【特集】 地域農業を活性化するTACの活動
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